2019年04月05日

崩壊の後を考えておく覚悟が必要なときかも

3月30日紙面に以下の記事がある。「技能実習ずさん運用 失踪759人不正は扱い受けた疑い 171人死亡法務省は43人把握せず」中見出し「『日本は働き手に責任を』『死者もっと多い』」で「技能実習制度の運用状況を調べる法務省のプロジェクトチームの調査結果が29日発表され、ずさんな運用の一端が判明した」「調査では、2012〜17年の6年間に亡くなった実習生が171人で、そのうち43人の死亡を法務省が今回の調査まで把握していなかったことが判明した。また17年1月〜18年9月に失踪した実習生5218人のうち759人が最低賃金割れなどの労働法令違反を含む不当な扱いを受けていた疑いがあることも判明」「171人の死因は、実習中の事故28人▽病死59人▽自殺17人」「支援者はこの調査結果にも厳しい目を向ける」「『騒いでいるが、たいしたことはない』と伝える意図を持った報告書」「三者機関が調査しなければ意味がない」「不当な扱いを受けていた人を759人とする調査結果について『受け入れ機関側への聞き取り調査が中心だったことをうかがわせる結果だ』」「この数字はあり得ない。帰国済みの実習生から事情を聴いておらず、本気で調査したとは思えない」「深刻な人権問題が指摘されてきた技能実習制度を引き継ぐもの」(本文引用)と書く。
中見出しの記事は、先に引用した内容を具体的にしている。日本在住のベトナム人尼僧が語る。「昨年1年で約30人のベトナム人を弔った。7割は実習生。20、30代の若者が大半だ。タム・チーさんは『亡くなる人が多すぎる。連絡が入るたび、「また?」「なぜ?」としか言葉が出ない』と話す。法務省の報告書の死者数に『あり得ない。ベトナム人でこれだけ多いのだから、中国や別の国の人を含めたらもっと多いはず』(略)『借金を抱えて来日するようなシステムそのものを変えて欲しい』」(実習先で妻が死亡した男性は)「派遣先がもっと心配してくれていたら、妻は今も生きていたかもしれない。なぜもっと早く病院に連れていかなかったのか」(本文引用)。過酷なやり方を容認しているこの社会のあり方は何に起因するのか。少なくともその底流に政治が横たわっていることは間違いない。徴用工問題や従軍慰安婦問題でけんもほろろの対応をして恥じず、そのため国家間の関係にほころびを生じ、両国の国民感情にも亀裂が入る。それを利用して浅薄な庶民感情が幅を利かせ、自国民でない人々を鴻毛の軽さで扱う視点が蔓延する。国家がしっかりと対応すればこんなにはならないだろうに、国民自身を「愚民」として扱う政治ゆえに落ちる先は果てしなく深く、「愚民」たる国民は、究極のその先で最後の重荷を背負わされることになる。
☆「『なぜ?』相次ぐ技能実習生の死 ベトナム人尼僧の嘆き」朝日新聞3月30日
https://www.asahi.com/articles/ASM3Y54MRM3YUTIL026.html?fbclid=IwAR2ARZMMZ_AkjVuyAh--ByzbAOwqAZ3U9PgDk_A3Ee62lqbktaMXPiCMHkM
昨日11面「真山仁のPerspectives:視線 TOKYO2020」は「続く国難“愚直”な国民は英雄を欲した 秋葉原 露見した支持の軽さ」が、こうした流れの行き着く先を、表現者の研ぎ澄まされた感性で指し示す。「プロローグ この喪失感は何だろうか。それほどまでに、日本が変わってしまったということか」「その萌芽は、バブル経済崩壊の時には既にあった。そして、東日本大震災で、もはや後戻り出来ないぐらい日本が分裂してしまったように思う」「安倍の発言は、日替わりするし、どんどん偽善的になる」「安倍の発言には、大きな特徴がある。全ての発言を“断言する”」「何事においてもきっぱりと断言する」(本文引用)。論理的整合性など気にもかけない。それで「安定」を確保する政治の軽さは、いつか必ず「愚民」以上に愚かな姿を露呈する。じつはそのとき息苦しさを一身に背負わされるのは、定めない方向に引きずり回された「愚民たる庶民」なのだ。「愚」の連鎖の終結点はそこなのだ、ということに気づく。だが、そのときでも、次の時代を切り開く視点を確保していれば、希望はまだ手の届く範囲にあるはず。
posted by ガンコジージ at 11:04| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする