2019年12月31日

不穏な自問が通り過ぎていく師走

12面「社説 2019ー2020 観覧席にいるあなたへ」は、バンクシーから話を始める。ネズミの絵に添えられた小文を引き「人類ってやつは、もっとも愚かで不公平な類の種族だ。大半のランナーは、まともなスニーカーやきれいな飲み水さえ持っていない。/生まれつきすごくラッキーなランナーもいて、そいつらは道の途中でも手厚くケアされるうえに、審判まで味方みたいだ。/多くの人が完全に競争をあきらめて、観覧席に座り込んで、ジャンクフードを食べながらヤジを飛ばすのも不思議じゃない」「人類に必要なのは、もっと大勢のストリーカーだ」(本文引用)と書く。翻訳が優れているのと同時に「社説」の書き手が繊細な心の持ち主なのだろう。すると、それを引用しているブログ主はいったい何者なのか? 「ストリーカーとは『素っ裸で人前を疾走する人』(自然科学系英和大辞典)。勤めて穏当に意訳すれば、空気を読まず、秩序を撹乱する人、という感じか。観覧席で飼い慣らされるな。許可なく生存し、嫌われ、迫害されてもなお文明を食い破る可能性を秘めているネズミは君の究極のお手本だ ー バンクシーはそう言っている。たぶん」(本文引用)とあり、最後の「たぶん」がすごくいい。バンクシーの次に、「小さな島の小さな話」に記事は移る。「それにつけてもランナーと見物人を分かつものは何だ? 問いを携え瀬戸内海の小島に渡る。広島県・尾道港からフェリーで50分、人口500人弱の百島で、今月15日までアートイベント『百代の過客』が開かれた」(あいちトリエンナーレの「余波」が百島にも及び)「対話企画の最終回、登壇した作家と、『公金を使って不快な作品を展示するのはおかしい』という参加者が対立した」「そして最後、参加者が『同意はできないが、あなたのような人がいることは理解する』と言い、二人は握手を交わしたという」「『永久に止まらずに歩き続ける旅人』。そんな意味が『百代の過客』にはあり、企画した4人はこう思いを込めた。『芸術は時に挑発的でもありますが、それは複雑な社会を表現し、自由な精神を求めて戦い続けているからです。本企画が『私たちはどこに向かって歩き続けるべきか』という一つの問いかけとなることを期待します」(本文引用。()内はブログ主要約)。まさに「空気を読まず、秩序を撹乱する人」「観覧席で飼い慣らされるな。許可なく生存し、嫌われ、迫害されてもなお文明を食い破る可能性を秘めているネズミは君の究極のお手本だ」という言葉を体現する行為が示されている。そして記事の意図は冒頭に戻る。「東京都・日の出ふ頭の待合所で、傘をさしたネズミに会ってきた。『バンクシーらしき』落書きである。描かれた場所から切り離され、都に『落書きは許容できないが、』と注記されつつ、『お正月』の演奏が流れる中でうやうやしく展示されたネズミは生気を失っている」(本文引用)。「観覧席で飼い慣らされ」、許可の範囲で生存し、檻の中に入れられたネズミとして「ジャンクフードを食べながら」ヤジを飛ばすのも叶わなくなった姿で、傘をさして雨に濡れながらなおも立っている・・・。
ふいに12月20日の当ブログ「でたらめな言葉と研ぎ澄まされた鮮烈な言葉」を思い出す。「高橋源一郎の歩きながら、考える 隣の国のことを知らない私たち」の冒頭にある茨木のり子の詩の一節「駄目なことの一切を/時代のせいにはするな/わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」の鮮烈さ。そして「韓国には、私たちの国にはない『民衆美術』のぶあつい歴史がある。それは、自国の軍事独裁政権と『美術』を武器にして戦ってきた歴史だ。いつのまにか、敗戦によって軍による支配が終わっていた私たちの国とは異なる『戦後史』をこの国は持っている。自国の軍隊や政府と戦いながら、歴史を作ってきた彼らは、作品に強いメッセージを載せることを拒まない。その感覚は私たちにはないのである」という高橋氏の言葉。「声をあげる『弱き者たち』をうとましく」思っている私たち、そしてその社会。公平であろうとする意識に忍び込む不公平な時代の残光。ほんとうは自分に向かって研ぎ澄まされなければならないのに、培った社会意識が邪魔をする。自己表現が歪んでいる。観覧席の自由を語っている。そんな不穏な自問が通り過ぎていく師走・・・。
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2019年12月30日

「喫緊の要請」に流されて深掘りを忘れるか

1面「折々のことば」より「智は、いつも、情に一ぱい食わされる。ラ・ロシュフコー 人がなす推論や判断は、期待や恐怖、自愛や憎悪といった感情に知らぬまにバイアスをかけられ、あらぬ方向に向かう。希望的観測というのはその典型だ。知性はたわみやすいものなのだ。だからだろう、知性は自らに明確な根拠や厳密な方法を課してきた。推論や判断は、性急にではなく丹念に、そして注意深くと。17世紀フランスの公爵の『箴言と考察』(内藤濯訳)から。」(全文引用)。いまこれをやらなければいつやる、という性急さに圧されて知性が流されることは常にありうる。「喫緊の要請」は瞬間的な強風となって判断を引っ掻き回し、考えるヒマを与えずに、場を強引に支配する。駆け抜けていくうしろに、多くのゴミを置き去りにしていく。あとからみれば間違いとわかっても、自らを駆り立てるように「だからこそ、いまこれをやらなければ」の無限の繰り返しに酔いしれる。振り返って修正する余裕を持てない。暴走に付き合わされる側はたまったものではない。歴史はこうして、飽きもせず繰り返されてきた。まさか、これからも・・・?
7面「社説」は「安倍政権2019年 有権者がみくびられている」と手厳しい。「今年も荒涼たる政治の光景が続いた。歴代最長になった安倍政権の3つの問題点が、はっきりと見えている。第1に『責任の放棄』、第2は『国会軽視』、第3が『官僚の変質』だ。いずれも民主主義の基盤を掘り崩している。この1年の出来事をたどれば、事態の深刻さが増しているのがわかる」(本文引用)。「3つの問題点」の最初は「不都合に背を向ける」で、閣僚の不祥事はすべからく隠蔽される。説明責任はもちろん任命責任も口だけ。モリカケサクラは疑惑を残したまま次の疑惑に席をゆずろうと必死の逃亡を謀る。悪は次の悪でかき消される。これが彼らの経験則。記事では、「老後に2千万円必要」と「北方領土」「辺野古」「県民投票の結果を無視」「汚職」「公選法違反」「大規模な公文書改ざん」なんぞも屁のカッパ。第2の「国会軽視、極まる」もまたエゲツない。まず「桜」事件。ほぼ1年間にわたる予算委逃亡は、出席すればボロが出るから逃げるしかない。だから「政権が批判される舞台は徹底的に回避する」(本文引用)。なんのなんの「回避」なんて高尚なことばで表現するようなものではない。ほっかむりして、こそこそと国会から逃げ出し、「閣議決定」という名の「臨時緊急事態条項」でことを済ませてしまう。今年はなにしろ、業を煮やした野党が「予算委開催要求書」を4月に提出したが、国会規則を無視してやっと10月に少し開いたフリをしただけでトンズラ。その少しの開催が今年のやり納めになった。実態はあきらかに「逃げ回っている」のだが、そんなみっともなさを見て見ぬ振りか、国民はおとなしい。「いまこれをやらなければいつやるのか」という性急な問題提起はあるが、その都度積み上げる反省と改良がないから、対立する側は同じことを繰り返すばかり。そして第3の「公僕の矜持はどこへ」では、まかり間違っても過去をほじくられて旧悪を暴かれないように、公文書を「破棄、隠蔽、改ざん」する悪霊たちの焚き火の炎が燃え盛る。まっ黒なケムリが永田町の空に立ち上る。「この政権は、民主主義をどこまで壊してゆくのだろう。答えは第2次安倍政権のこの7年間で明らかだ。有権者が政治の現状を漫然と放置し続けるのであれば、どこまでも壊されてゆく」(本文引用)。だが、たとえシステムが壊されても「民主主義」は70年の歴史を刻んで人々の心に残り続ける。残す知性と、それを維持する熱があれば、消えることはない。そう信じるからこそ、いま「公共」とはなにか、本気の議論が生まれつつあるのだろう。将来、政府の公文書の歴史を検証したとき、この時代だけが底なしの暗い穴となっていることを知り、そんな悪夢の時代に後戻りしない「本気の決意」が自覚される。こうして虚偽の現状は間違いなく歴史に刻まれる真実となる。
23面に「秋元議員へ贈賄認める IR汚職 中国企業側3容疑者」が載る。議員は否定しているが、すでに外堀は埋められた。これら汚れ物のすべては、どんなに隠しても、いつか必ずまとめてあからさまになる。
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2019年12月29日

敗北感がゆっくりと広がるこの社会

辞任閣僚とは菅原一秀前経産相と河井克行前法相のことらしい。「政治とカネ」の疑惑についてぜんぜん説明せず、国会にも出てこないことについて、下村博文自民党選対委員長が「隠れている、逃げているというマイナス印象しか残らない」(本文引用)と言ったとか。こんなのばっかりだ。千島のどこかで酒飲んで暴言を撒き散らした議員も、自民党離党したけどまだ反省もなく、暴言撒き散らし続行中。いやいや、睡眠障害で長く姿を見なかった人などいまは完全復帰して、涼しい顔じゃないか。近ごろとんと忘れっぽいブログ主だから、他にもいるんじゃないかと思う。だいたいこの人たちのトップにしてからが、今年は予算委員会をほぼスルーして説明責任から逃げまくる。閣議決定なんぞで重要な案件を勝手に押し通す。そんなだから「あれが許されるなら、おれも」ということになるのか。下村氏はまず自らのトップに諫言するべきだろう。「隠れている、逃げているというマイナス印象しか残らない。国会に出てきてちゃんと説明責任を果たせ」と。なにしろ国会軽視もはなはだしく、説明責任なんか無視して(簡易な緊急事態条項よろしく)閣議決定を連発。モリカケサクラ、どんなスキャンダラスな出来事があっても辞任なんてどこ吹く風。自ら進んで居直りの術を伝授しているようなものなんだから。
☆「辞任閣僚、国会前に説明を 自民幹部」JIJI.COM12月27日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019122700997&g=pol
というわけで、本日1面トップは「ルポ カナリアの歌」として「就活で急に個性問われても『脅し』みたい」の記事。「かつて炭鉱で異変を知らせたカナリア。歌が途切れるのが、危機のシグナルだった。いま、カナリアの歌は聞こえているか。まず、大人社会からのプレッシャーに立ちすくむ若者たちの声なき声に耳を澄ます」(本文引用)。冒頭、21歳の大学3年女性は、黒糖タピオカ入りのミルクティーを夕飯代わりに「志望企業でのインターンシップを終え、向かうのは就職活動の『塾』だ」(本文引用)。読んでいて、まず「黒糖タピオカ入りのミルクティー」が夕飯がわりなんて、お腹が空かないんだろうか、と心配してしまう。インターンシップってなんだろう、と首を傾げてしまう。いや、「就職活動の『塾』」ってなんだろう。さらに、「『売り手市場』といわれる世代だ。だが(略)従業員5千人以上の企業の求人倍率は0・42倍(2020年大卒)」(本文引用)って、「売り手市場じゃないじゃん」と思ってしまう。それよりなにより、大学3年ですでに就活か。つらいなあ。いま政府は国家をあげて企業利益のために突っ走っているのに、「従業員5千人以上の企業の求人倍率は0・42倍」とは、なんでこうなるのかと考え込んでしまう。
この記事のとなりに「『賄賂のための金が必要』IR汚職 中国企業のやりとり押収」がある。「『500ドットコム』の副社長を名乗る鄭希容疑者が、本社に対して『賄賂のための金が必要だ』と伝えていた」「東京地検特捜部はこのやりとりが記録された電子データを押収。秋元議員に渡ったとされる現金が賄賂だったことを示す重要な証拠とみて調べている。秋元議員は2017年9月28日、衆院議員会館の事務所で『500』社顧問の紺野昌彦容疑者らから現金300万円を受け取ったほか、翌年2月の北海道への家族旅行の旅費計約70万円を負担してもらった疑いがある」(本文引用)。鄭希容疑者が何者かに渡す「賄賂」のための資金を要求していたということ。関連しているのかいないのか、秋元議員に計370万円が渡っている「疑いがある」という。時系列が書かれているが、詳しくは引用しない。怪しい議員が山盛りであることだけは確かで、もしかしたら、賄賂資金はもっと広範囲に届いているんじゃないのか、と思ったり。その一方で、若者の受難が続く。さらに23面「寒風 年越しブルーシート」「修理費申請5500件 支給32件 台風15号被災 千葉3市町業者不足」「眠れやしない」「海が好きだけど」の記事がある。いまは戦前か戦中か、それとも敗戦前夜と直後が入り混じる複雑な時期か。ゆっくり広がるこの社会の敗北感。皺寄せは、まず最も弱いところへ押し寄せる。
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2019年12月28日

内側から実態を奪っていく狡猾さ

1面トップに「自衛隊の中東派遣閣議決定 来月から『調査・研究』名目」がある。タイトルを見てすぐ、これはなし崩し的緊急事態条項だと思った。日本国憲法は条文そのままで中身を狡猾に弄られ、実態としてはすでに空っぽの入れ物と化しつつある。「政府は27日、中東海域で航行する日本関係船舶の安全確保のための情報収集を目的として、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機を派遣することを閣議決定した。根拠法は防衛省設置法に定められた『調査・研究』で、不測の事態になれば自衛隊法に基づいて『海上警備行動』を発令する。活動期間は1年とし、延長する場合は再度、閣議決定する」(本文引用)。2面にも関連記事があるが、12面「社説 中東海域へ自衛隊 海外派遣 なし崩しの危うさ」に注目。「派遣の必要性にも、法的根拠にも疑義がある。なにより国会でまともに議論されていない。自衛隊の海外活動の歴史のなかで、かくも軽々しい判断は、かつてなかったことだ」「派遣の根拠は、防衛省設置法4条にある『調査・研究』」「しかし、4条は防衛省の所管事務を列記した規定に過ぎない。『調査・研究』は主に、平時における日本周辺での警戒監視に適用されている」(本文引用)。そして記事は、国会論議を素通りした今回の決定について、過去と比較しつつ批判を展開する。派遣1年で延長するときは閣議決定して国会に「報告」するという。87年のペルシャ湾機雷除去での派遣に対し、後藤田官房長官は閣議決定へのサインを拒否して中曽根首相を翻意させた。その後、9条との整合性を問われつつ、じわじわ自衛隊の活動範囲を拡大。インド洋での米艦給油。イラク戦争では(自衛隊のいるところが)「非戦闘地域」と強弁して派遣。しかしこれらは、特別措置法を設けて対処した。強引ではあったが、国会で激しい議論はあった、と記事は書く。思い出せば、これまで「調査・研究」の名目で「凍土壁」をつくるなどしており、まことに「調査・研究」とは便利な言葉のようだ。そして事態は、なし崩しに後戻りできない状況へにじり寄っていく。忘れないように記録しておく。南スーダンのPKO活動で内戦状態に陥ったとき、「日報」が隠蔽されたことを。また、今回の緊張を仕掛けたのはトランプ政権で、「イランの核開発を制限する多国間の合意から一方的に離脱したこと」(本文引用)が原因だ。一方的に始めた側は、一方的に終わらせる可能性がある。イランが日本の決定を批判しないのは、外交チャンネルとしての役割を、日本に残しておきたいからではないか。全面的信頼を置かなくても、多方面に糸口を確保しておく。米の無謀とイランのしたたかさがにじむ。
本日の紙面も昨日と同様に政権末期を匂わせる記事満載だった。もちろんがんばっている他社にまだ遅れている感は否めないが、尻すぼみにはなるまいぞと激励! 次に個人的に記録しておきたい記事は、3面「核燃料搬出 最大5年遅れ 廃炉工程表改訂 福島第1・2号機」の記事。このごろは、だれかが「石棺化」を言うとすぐ、こだまのように「石棺化」を言い出す風潮があるが、もっと奥深く考える必要はないか。今日の記事には、「廃炉工程表改訂の主なポイント」として「核燃デブリの取り出し」の他に「汚染水対策」と「使用済み燃料プールからの燃料取り出し」が挙げられている。「汚染水対策」には、建屋内への地下水流入を食い止める措置が必要だし、建屋の上にある「使用済み燃料プールから」燃料を取り出しておかないと、倒壊の危険があって、石棺化の工程などすぐにはできない相談だろう。要は最初のボタンの掛け違いがここまで尾を引いているのであり、新しいボタンをかけ直すことがこの国の無謬性の神話を覆すことになるのだと、痛切な気持ちで思う。だれが最初に誤ったのか。当ブログでは何度でも言っているが、少なくとも当時の政権じゃないことは確かで、そのときも「調査・研究」が有効な案に止めを刺すお題目となったことを記憶しておきたい。
☆「【映像資料】東京電力福島第一原子力発電所における3号機原子炉建屋内調査の映像」原子力規制委員会12月25日
https://www.youtube.com/watch?v=mrWa8wFR-Pk
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2019年12月27日

山盛りの汚れは大掃除したいね!

昨日の新聞はとんでもないことが山盛りだった。まず1面トップ「秋元議員収賄容疑で逮捕 中国企業側三人も IR参入巡り」「秋元議員否認」「白須賀議員事務所も捜索」「カジノ解禁『荒っぽいがやる』」。その隣りに「辺野古工費2・7倍増9300億円 政府再試算 完成まで12年」。下に「郵政3社長辞任へ 鈴木副社長も辞任の方向 かんぽ不正」。これに「天声人語」のカジノ関連と「折々のことば」の公開の場でじっくり論じるのが必要とする一文も含めると、紙面全部が政府・政権に関わる不祥事についての記事になる。すごいね、と思いつつ開いた2面は「時時刻々 政権肝いりIR打撃」「『中枢』秋元議員 中国企業が接近」「成長戦略の目玉 首相・菅氏推進」「誘致進める自治体『いい迷惑』」でいっぱい。3面も同様「辺野古工期も工費も膨張」「政府、移設の正当性強調」「県は再試算にも反発」。その隣に「郵政社長 増田氏が浮上 元総務相 政権と関係近い『身内』」「鈴木副社長辞任の方向 漏洩詳細不明のまま」その下に「確定拠出年金受給開始 60〜75歳に拡大 厚労省」があり、その右側に「東海再処理施設廃止 作業を2年間中断へ 計画出だしから遅れ」がある。東京5輪がとんでもないカネ吸い虫に成り下がっているのと同様、辺野古も今度の試算で止まらない可能性がある。反対運動のおかげでなかなか普天間の方が進まない、という言い訳が効かなくなっている。カジノは5輪後の景気冷え込みを抑える特効薬になるか。なるわけないだろ!
4面に移っても同様の傾向が続く。まず「政権の責任 野党追及へ 閉会中審査要求 カジノ禁止法案提出へ 秋元議員逮捕」「招待区分『60』なお調査せず 桜を見る会 政府、『名簿破棄』口実に」「菅氏会見 一時紛糾」「『桜』巡る質疑中、官邸が終了要請→記者反論」。あの憎まれ役菅氏が会見を逃げ出そうとして抗議され、やむなく続行するテイタラク。その左に「北方領土交渉 米国の『圧力』 外交文書公開 55年 ダレス長官から『忍耐すること』」があり、あとは小記事散見の状況。これで息切れかと思ったが、6面「日産『3頭体制』1カ月で崩壊 関氏辞任 ナンバー3扱い、不満か」「日本電産永守氏が口説く?」がトップ。他に「関電 社長選び越年 金品受領 第3者委の報告待ち」「みずほ銀とソフトバンク『情報銀行』参入」がある。関電は金品受領問題調査の越年を公表したが、社長選びも越年となった。なにごとも年を超えたら忘れてくれる、という意図があちこちに蔓延している。カジノの秋元問題でも、政府の人事支配で独立性を失った検察がどこまでやるか。それによって、「桜」の首相疑惑に捜査が及んでも不思議はない現状。まさかの腰砕けにならないように注目続行!
7面「郵政ショック」に「『シラ切ればシロに』横行 語らぬ局員 経営陣不信も」「とぼけてきた」「内部通報しても」「体質変化が必要」があり、内部通報窓口に届けても、「経営幹部は6月下旬の問題発覚以降、不正について『知らなかった』『情報が上がってこなかった』といった釈明」「自身の責任についての言及も避け続け」(本文引用)と、お国のトップとおんなじ体質がここにも蔓延中。記事の隣に「フラット35不正融資33億円 機構発表162件すべて確認」。さらに「ガソリン150円迫る 半年ぶり高値 年末年始に痛手」と、どこまでも腐っていく政治と経済。このところ元気を失っていた新聞が、よくここまで書いた!
8面週刊誌広告に「幽霊企業に“ポスター代”4千万円の怪 進次郎政治資金で『不倫ホテル代』(中略)政治資金を精査すると8千万円の不透明なカネが?」。このスキャンダラスな記事が出てくる理由はなんだろう。9面にはトランプの弾劾訴追記事の下に、「大統領選『民主党の広島と長崎に』福音派学長がツイート」があり、反論に「(原爆投下では)何万人もの無実の人の命が奪われた」(本文引用)との批判的投稿があったという。反面教師として、原爆の非人道性が米で重い事実となるか。11面の「外交文書公開」で「ゆらぐソ連 ゆれる世界 中曽根前首相と外務省 訪ソ前の攻防 長期政権で自信深めた『首脳外交』」があり、退任直後の中曽根前首相の院政が示唆されている。これは安倍院政への予告編ともいえそう。26面に「移設『税金、湯水のよう』辺野古『工期見通し甘い』 警備費6年半で370億円超」と「オスプレイ配備容認 木更津市期間5年」。27面にも「娯楽産業 仕切った末 パチンコ業界に人脈 カジノめぐり出版も」「現職国会議員 10年ぶり逮捕」「秋元議員『利益供与、100%ない』」で締め。いま、政治・経済の世界はこれだけ汚れている。いや、きっとこれだけじゃ済まないのである。
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2019年12月26日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(17)

第15章「チェルノブイリ大惨事の25年後における住民の健康と環境への影響」
全9頁の短い章。まず冒頭で、本書の寄って立つ疫学的分析手法(すでに紹介済みなので省略)を説き、IAEAやWHOの手法を批判する。「15・1 地球規模で見たチェルノブイリ大惨事」で、世界的拡散の状況を概観。「IAEAとUNSCEARその他いくつかの団体は」「放射性降下物が自然の環境放射線に『わずか2%』上乗せされた」というがそれは、高線量の放射線が多くの地域に存在し続けていることや、数週間で高線量の放射線が遠く広く拡散したこと、何十年も恒常的な低線量の汚染が続き、放射線はあらゆる生物に影響を及ぼすことを考慮せず、放射性核種の57%が主要3国以外の地域に沈着しているのにそのデータを無視し議論しようとしない、と批判する。
「15・2 チェルノブイリ原発事故の影響分析を阻む壁」は多くの問題点を展開。ソ連邦による診療録の組織的隠蔽と是正不能な改竄(←我が国の現実と完全に一致する)、主要3国で詳細に確実に信頼できる医療統計の不足、初期被曝線量再現の困難、ホットパーティクルの影響の不確定要素、不規則で不均一な汚染分布の把握困難、放射性核種それぞれの単独影響と複合的影響の確定が困難なことを指摘。現代知識の不備として、核種それぞれの固有の作用、核種同士または核種と環境因子との相互作用の把握、集団と個人における放射線感受性のばらつき、超低線量の影響の認識、体内に取り込まれた放射能の生体システムへの影響などを指摘する。ソ連批判の次はIAEA・WHOの問題点として、不正確にしか算定できない個人の被曝線量(と集団の被曝線量)と厳密に診断される病気との間に「有意な相関関係」を要求し、主要3国で放射性降下物の影響を集約したデータ群を科学的でないとして排除する暴挙を指摘。対抗して大惨事による健康被害の客観的情報を得る方法として5点を提案する。地理的・社会的・経済的背景が等しく、過去と現在、放射能汚染の程度とスペクトルだけが異なる地域の罹病率と死亡率を比べ、事故後の一定期間、同じ集団の健康状態を比較し、複数の期間積み重ねる。放射線による障害や疾患で年齢や性別と関係ないものにつき、同じ個人の健康状態を比較。体内に取り込まれたCs137、Sr90、Pu、Amを測定、汚染地域の人々の健康状態を比較。体内に取り込まれた放射性核種の量を器官ごとに計測。主要3国以外で事故の4〜7月に放射性降下物が落ちた地域および周辺の詳細な医療統計を分析するーーーなど詳細な提案をする。
「15・3 チェルノブイリ事故の健康影響」ではすでに調査された全汚染地域で総罹病率が上昇しており、各種疾患群の発生率と罹病率が増えているとして、(血管の内表面を覆う内皮細胞が破壊される)循環器系、内分泌系、免疫系、呼吸器系、泌尿生殖器系、筋骨格系、中枢神経系、目、消化器系、先天性奇形、先天性異常、甲状腺がん、白血病、その他の悪性新生物などを列記。他の健康影響として身体の生物学的バランスにおける変化、感染性や寄生虫症の劇症化、被曝した親からの健康障害の発生、事故処理作業従事者の健康状態、老化現象を指摘する。複数の病気への同時罹患なども挙げている。さまざまな疾患が列記されているが、主要3国では「こうした調査研究が切り詰められてきている」と危機感を募らせる。放射線への懸念が薄れる一方で低線量被曝が続いており、各種罹病率が上昇し続けるのに放射線恐怖症が決定的な根拠になるなどあり得ないと指摘。
「15・5 チェルノブイリの放出物と環境影響」では、水、風、渡りをする動物によって遠方でも二次的汚染があること。放射性核種は再循環するため、汚染は大きな振れ幅で変動すること。地表から消えた核種は植物の地上部へ移動し、食用部分に濃縮されること。蓄積や移行は季節ごとに変動すること。主要3国では放射線生物学的調査が止められているが、むしろ調査を拡大強化する必要があるとする。「15・6 大惨事の影響を最小化するための、社会面、環境面での取り組み」では、体内被曝の90%は地元産食品の摂取によるため、13章に示した方法で放射性核種の除去を試みる必要があるとする。具体的にはCs137が25〜28bq /kgで体外排出対策が必要とし、少なくとも年4回、ペクチンなどで実施すべきと指摘する。「15・7 原子力産業の関連組織は一般市民よりも業界を守ることを優先する」「15・8 チェルノブイリを忘れることなどできない」「15・9 結論」の最後の言葉がすべてを語る。「原子力産業界は、原子力発電所によって人類の健康と地球環境を平気で危険に曝す。チェルノブイリ大惨事は、そうした姿勢が、理論上だけでなく実際上も、核兵器に匹敵する被害をもたらすことを実証している」
  **「調査報告」紹介終了。でも補遺が必要かも**
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2019年12月25日

ボロボロの空威張りが突き進む

10面「経済気象台」の「米中と米ソ冷戦・日米摩擦」に注目。米ソ冷戦と対比して、米中貿易摩擦・経済覇権争いを読み解こうとする。「中国は日米通商摩擦を研究し、プラザ合意のような為替調整を迫られ、経済停滞に追い込まれることへの警戒感が強い。5月の英エコノミスト誌は『プラザの確執』と題して米中関係と日米摩擦を対比する。日米は同盟関係にある▽プラザ合意は国際協調の動きで最近の米国一国主義とは異なる▽米国は人民元の大幅上昇は求めていない▽日本経済停滞の原因はプラザ合意による円高そのものではなく、その後の財政金融政策・経済政策の誤りにあった、と指摘する」(本文引用)との視点に興味が湧いた。プラザ合意について「なんだっけ?」と調べたら、「1985年9月22日、先進5か国(G5)蔵相・中央銀行総裁会議により発表された、為替レート安定化に関する合意の通称」(ウィキ調べ)とある。英エコノミスト誌は、これによる円高が日本経済の停滞を招いたのではなく、その後の財政金融政策・経済政策が悪かったとし、「中国がそこから学ぶとすれば、国内での適切なマクロ経済政策。経済成長のためには、知財や外国投資などに関する構造政策を積極的に進めることだと述べている」(本文引用)。なるほどこの論は、このごろ頻繁に目にするようになった、とある経済理論と概ね重なっている。あまり熱心に勉強していないので知らないが、とある経済理論は「国内での適切なマクロ経済政策」を中心に語り「知財や外国投資などに関する構造政策」について(本家MMTはちゃんとそこにも触れているかもしれないが)それほど語っていないのではなかったか。そして中国が、このあたりまで意識して今後の政策を実行していくようだったらなんだか世の中面白くなりそう、なんて思いもほんわかと湧いてきた。
そんななか日本はといえば、いまだに硬直している、と思わせることばかり。硬直と独断が妄想に行き着いて、後戻り困難な世界に首を突っ込んでいく直前。1面トップ「日韓『対話で解決』一致 元徴用工問題は平行線 1年3ヶ月ぶり首脳会談」で首相は微塵もブレない姿勢を演出するのに懸命で落とし所を持たないままだから、いわゆる「短期的には勝利でも長期的には???」という空気がつきまとう。経済的には日本の方が優位に立っていたはずなのに、いつのまにか肩を並べられ、もしや追い抜かれるかもしれないのが現状。それをちゃんと認識していないと、このまま「長期的には???」に落ちていくばかり。2面の「改善へ意欲 日韓演出」「首脳会談自体に意義強調」「徴用工なお開けぬ展望」には、「日本が7月に輸出規制を強化した半導体材料など3品目のうち1品目について、一部を緩和した」(本文引用)とするが「一部」は「レジスト」のこと。残る品目はフッ化ポリイミドと高純度フッ化水素で、レジストと比べてその重要性は格段に高い。2品目の規制で韓国経済がある程度停滞することがあっても、いつかそれから抜ける方策に至るだろう。そのときこちらは、振り上げたコブシをどこへ降ろすべきか。まさか、デフレ継続で長期停滞から大きな落ち込みが予測される日本経済が、気がつけば過大な軍隊を持って空威張りするだけの、貧乏国家に転落しているかもしれない。英エコノミスト誌が指摘するように、円高が日本経済の停滞を招いたのではなく、その後の財政金融政策・経済政策が悪かったというのが正解なら、硬直した現在の財政金融・経済政策が大胆に転換されない限り結果は見えている。その場その場で適当な絵を描き、無理筋を引きずっている限り、勝てるはずがない。
3面「招待者『60』は首相枠 05年小泉政権時の『桜を見る会』 公文書館で資料保存」中見出し「『私人』昭恵氏が推薦なぜ」「一度名刺交換しただけで」「続く『公私混同』疑問の声」「政治的影響力の有無問題」は、この国の政治がここまで堕落し、いまもさらに堕落への坂道を転がり落ちつつあることを示す。今朝の報道で、自民党の秋元議員に収賄罪で逮捕状が出たとあった。こうなると公職選挙法違反までが取りざたされるあの人はどうなるのか。ボロボロなのに、ドツボにはまって辞められないということか。
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2019年12月24日

忘れて諦めて今を走るのが利口なやり方か

1面トップに「郵政・総務省 馴れ合い深刻 大臣抜き 切手不正公表せず」がある。総務省と日本郵政のあいだでなにやら情報漏洩の事態があり、高市総務相がカンカンになっており、記者会見で隠蔽だと怒りをぶちまけ、漏洩した事務次官が辞職したという。「そうだ、もっと怒れ」と思うと同時に、「直近で似たようなことがなかったか?」と首を傾げた。「桜を見る会」関連で資料請求した蓮舫議員の携帯番号が漏洩した件は、その後どうなったのか。高市氏は激怒し、次官は辞職した。もしや、こっちの件は先延ばしでうやむやになるのかな。郵政では「総務省と郵政グループの馴れ合い」(本文引用)と記事は書く。「政府と民間業者との馴れ合い」って場合はどうなるの。まさか隠蔽で終わり?
☆「桜を見る会、蓮舫氏の照会が漏洩か 『政府職員を特定』」朝日新聞11月26日
https://www.asahi.com/articles/ASMCV5V9KMCVUTFK012.html
1面トップ記事の横に「安倍内閣不支持42% 本社世論調査 支持38%を逆転」がある。「桜を見る会」への世間の目はかなり厳しい。「納得できない」という強い意志がみられる。でも、「『桜を見る会』の問題について、国会で引き続き解明に取り組むべきかを聞くと、『取り組むべきだ』は40%で、『その必要はない』は50%だった」(本文引用)。3面「『桜』直撃 やり過ごす政権 『臭いものにフタ』過去も 自民支持層も石破氏 次期総裁」では、危機感を抱く自民党関係者が増えているようだが、「一方で、与党内には『年が明けたら雰囲気は変わる』という楽観論もある」(本文引用)。つまり公明党も似たような考えらしい。なにしろ実績がモノをいうわけで、15年9月の集団的自衛権(安全保障関連法)での、野党による臨時国会招集要求を拒否して越年。モリカケの17年では臨時国会の冒頭で衆院解散。傷口が大きく開かないうちに総選挙を実施して正月越え。「臭いものにフタ」作戦を成功させる離れ業を演じてきた。世論調査で不気味なのは、「桜を見る会」への批判は明確にあるものの、「国会で引き続き解明に取り組むべきか」の問いに肯定的が40%、否定的が50%ということ。このあたりに微妙な駆け引きが入り込む余地はあるわけで・・・。ということは来年早々に選挙があるのかもしれない、と誰もが思う。ブログ主もなんとなくそう思う。その一方で今度の場合、アベシの命運が尽きかけている。そんなとき、なにごともオメオメとして執念深い彼が、予算委逃亡数百日越えをさらに上回る政権かじりつきトンデモ策の挙に出るか。ツラツラ考えていたらイライラが募って仕方ないので、このあたりで考えるのは一時中止。今日の新聞で最重要の「汚染水問題」に目を移す。
2面「汚染水処分 2案絞り込み 『海洋放出』『大気放出』」中見出し「風評判断せず『前例』で」「見えぬ道筋 工事も長期に」「福島の関係者は 陸上保管続けて■魚売れなくなる」。この問題でいつも思うのだが、みんな忘れていることがあるんじゃないか、ということ。発災当初、「石棺化」が議論されていた。それと同時に、「矢板打ち込み、粘土打ち込み」による地下水完全遮断方式が馬淵澄夫首相補佐官から提案され検討されたことがあった。官僚の抵抗とそれに呼応した東電の反対で挫折した。官僚は「民間の起こした事故に国家予算を投じるのには無理がある」という理由で反対。東電は「6月の株主総会で株主の了解が得られない」との理由で反対したと記憶する。「研究費」という名目が成り立つ「凍土壁」なら支出可能ということに落ち着いたのは、安倍政権下で規制委が動き出して後のことだったと思う。株主総会云々は、当時の東電はまだ原子炉の完全放棄に及び腰だっただけの話。これも決断できずに事態を一層悪化させる無能経営者ゆえのこと。それが尾を引いて現在の状況に至る。いまからでも「矢板打ち込み、粘土打ち込み」方式で地下水流入を完全遮断し、「石棺化」するのがベターではないか。いまからでもなんらかのポイズンを投入し、空冷方式で残留している崩壊熱を冷やし、「石棺化」完成への過程で、時間を稼ぐことができるのではないか。そんなことを思う。
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2019年12月23日

中身を食い尽くされ空洞化している

高浜原発が4基全部停止するかもしれない。有料記事なので読めるのは以下のみ。「関西電力高浜原発(略)3、4号機が来夏以降に停止することが21日、毎日新聞の取材で明らかになった。国が義務付けるテロ対策施設の設置工事が期限内に終了しないことが確実になったためだ。停止中の1、2号機も、関電幹部らの金品受領問題などで再稼働に不可欠な地元合意を得られるか不透明な状況で、2020年秋以降は全4基が停止する公算が大きくなった。関電は電力供給の不足を補うため、火力発電を増強する準備に入った」(本文引用)。情報は長くなくてもいい、まず“有る”ことが必須。こういう情報が我が家購読紙にも欲しいものだと思う。
☆「高浜原発2基、来夏以降停止へ テロ対策期限内終了困難 全4基停止の公算大」毎日新聞12月22日
https://mainichi.jp/articles/20191221/k00/00m/020/227000c?fbclid=IwAR19njXGj2QX_-UNuGvES6Wpe8U9-Hu0F-tGluf8XVV-qALAOyYpZaGsgqw
というわけで、本日の我が家購読紙1面に「首相『全員がポスト安倍』 任期にらみ動き出す後継レース」がある。この3年間、政策論争抜きに「くだらないこと」ばかりで右往左往してきた長期政権。いやいや、政策論争だって、やっても「くだらない答弁」ばかりだった。空虚なこと以外は言葉にできない答弁能力の不足が露わになり、強行採決だけが取り柄となっていた。そんな状態でもいまだに「安倍4戦論」がくすぶる。そしてなんと21年9月の任期終了から1ヵ月後には衆院議員選挙もある。いやいやこれだって解散総選挙になる可能性があるという。3面「『政局の年』へ うねる年の瀬」中見出し「議員票獲得と首相批判 石破氏のジレンマ」「地方に足場作り 岸田氏を縛る『9条改憲』」「くすぶる4選論 実力者ら思惑それぞれ」があるが、裏の権謀術数しか書いてなくて、注目は週刊誌広告へ。7面「次期首相候補が安倍首相の尻拭いで急失速。党内の隠れ菅派は今、何を思う?『菅官房長官』どうする2020年のガースー」。8面「2020年を創る100人『前編』」には「『ポスト安倍』石破茂、岸田文雄、加藤勝信、小泉進次郎、田村智子(共産党)」と「『解散総選挙はあるぞ!』ギロン堂スペシャル 山本太郎vs.田原総一郎」。他3誌の広告では目立つ記事になっておらず、なんとも言えない。まだ確定要素が少ないからか。情報不足のシロウトにはよくわからない。たとえば以下の記事はどう考えられるだろう。
衆参両院ともに3分の2を確保した2016年7月以来、次々に不祥事・疑惑が持ち上がり、本来なら何回も政権がぶっ倒れる事態にまで至っても、数を頼んでオメオメと権力の座にしがみついてきた。そして憲政史上最長の任期を更新した11月。彼の表情は全くさえなくなっていた。そのころからか、ブログ主でももう詰んでるんじゃないのと思っていたところ、「桜を見る会」疑惑の噴出で、いつもの郷原節が炸裂。「“桜を見る会” 郷原弁護士『安倍“王将”は詰みの状態』『それでも検察は動かない』」(AbemaTIMES)なんて記事も出始めていた。以下は「『解散総選挙はあるぞ!』ギロン堂スペシャル」に名がある田原総一朗氏と東京新聞記者望月衣塑子氏の対談で、うっすら感じていたブログ主の気分にあまりにも符合しすぎる予測があり、少し注目。たしかに日本国憲法は「改正」前にすでに中身を空洞化されており、軍事国家へなだれこむ段階へ来てしまっている。国民を貧困に落とすのも厭わず絞りまくって企業に回し、軍需産業を育成することで経済を回す。そんな方法を目論んでいるのなら、彼らの思惑は着実に前進している。要は饅頭のあんこを食い尽くし、外の皮を食べるか否かのところにいるともいえる現状。この混沌とした状況をどう捉えどう乗り切るか、この国にあるすべての人がいま迫られている。緊張!
☆「なぜ安倍首相は『憲法を改正する必要は全くない!』と僕に語ったのか田原総一朗氏 × 望月衣塑子氏が斬る!」BESTT!ME:12月14日
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10963
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2019年12月22日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(16)

第4部「チェルノブイリ大惨事後の放射線防護」第14章「チェルノブイリの放射能汚染地域で生きるための放射線防護策」
271頁に「チェルノブイリ大惨事の結果、何百万haの農地が3万7000Bq/uを越す危険な濃度のセシウム137で汚染されている」と書いてあり、続いてベラルーシの例として「38万haの農地が5550Bq/uを超えるストロンチウム90に汚染されている」とある。「14・1 農業における放射線防護策」には「放射能に汚染された農地では、食材中のセシウム137とストロンチウム90の汚染を許容値内に抑えるため、土壌と生産過程の両面でモニタリングが義務付けられ、これが最終生産物の管理技術の一環をなしている。ここでいう『許容量』とは、年間の実効等価線量を1mSv未満に抑えるために、各食品の1人あたり年間平均摂取量を合計することによって求める」。農作物の残留放射性核種濃度を下げるため石灰/カルシウム肥料、カリウム肥料、りん酸肥料、ゼオライト、水面下の腐植質堆積土壌や天然の拮抗体、吸着体が有効という。汚染された牧草地は円盤型耕運機で耕し、有機肥料や無機肥料をすき込む。泥炭土壌のストロンチウム90にはこれらの方法はあまり効果がない。耕作された牧草地には土壌劣化が生じる。林間の空き地などで入手した牧草には放射能汚染濃度の高い場合があるなど、細かな目配りがある。
「14・2 林業、狩猟業、漁業における放射線防護策」では、「大惨事直後、放射性核種による森林汚染は木や葉の表面の汚染が大部分だった。Cs137やSr90は土から根を経て吸収され、木質部や他の部分に達する」「大惨事10年後には、樹木の地中部分に蓄積した放射性核種の量は倍増し、森林生態系に蓄積された総量の15%に達した」「林業従事者は環境の放射能汚染により、農業従事者の2倍から3倍も外部被曝している」。そして林業従事者の被曝リスクを減らすための方策を274頁に列記する。森林研究所は「森林は『生きた隔離壁』として放射性核種が生態系の中で再拡散するのを防ぐ役割を果たすことができる」と報告。「水や風による侵食で放射性核種が拡散するのを防ぐには、侵食された土地の森林を再生することが必要」「森林火災を防ぎ、消火効率を改善するあらゆる努力も欠かせない」などなど、それにしても細部にわたる視線の届き方に脱帽。放射性核種の蓄積量はイノシシやノロジカでは2歳以上の方が低く、逆にヘラジカでは若い個体の方が低いとか、河川の魚より湖沼の魚の方が高く、低層に生息する魚の方が表層魚より低いとか実に細やか。
「14・3 日常生活における放射線防護策」では多数の文献が参照され、「セシウム137の生物学的半減期は乳児で14日、5歳児21日、10歳児49日、10代約90日、若い成人男性約100日」とか「野菜類」「ベリー類」「肉類」「卵」「きのこ類」などの年齢別、生息域別、部位別等の例が並んでいる。よく知られていることでは「Cs137の生物学的特性はKやRbと、Sr90とPuはCaと似ている」「これらの特性によって放射性核種が体のどこに集まるかが決まる」とする。以下、これまでに見たペクチンその他の摂取を奨励し、興味深いのは「抗酸化物質として、ビタミンA、C、EやZn、Co、Cu、セレンといった微量元素を毎日の食事に加えるのが望ましいとあること。「14・4 結論」では、「チェルノブイリ大惨事発生後の世界各国の経験からわかるのは、放射性降下物の影響から身を守るための情報や方策を知らされなかった国の市民は、知らされた国の人々より多くの難題を抱えたことである」とし、ブルガリアとノルウェーの対応を比較している。「現在最も注意を要する汚染物質はCs137とSr90だ。しかし数年後にはAm241が極めて深刻な問題になるだろう」「さらに幅広い放射性核種による汚染もまた動的に変化していくため、不断のモニタリングと管理が半永久的に必要だろう」と締め、「第4部 結論」に至る。結論は簡単だが内容は厳しい。以下要約。
“「どう暮らせばいいのか」「どこで暮らせばいいのか」を問われる場所。何十年も何世紀にもわたって汚染が続く場所。汚染された地域では農業を安全に営むことも、林業、漁業、生業としての狩猟業に安全に従事することも不可能で、地元産の食材を使うこと、牛乳を飲み、水を飲むことさえも危険を伴う。住民への支援を主導しているのはほとんど国のプログラムだ。その問題点は、災いのもとはチェルノブイリとする非難を最小限に抑えたいとする願望を含みつつ支援を提供する二重性にある。まだ長く続けるべき支援だからこそ、国際的、国家的、州レベル、慈善によるものを含めた援助が欠かせない。”
   **その(17)へ不定期に続く**
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2019年12月21日

「野火」のことと「帰還困難区域」のこと

昨日の新聞から。1面「折々のことば」より「『信じる』ということは、仮定形の上には成り立たないのではないか。湯川豊  大岡昇平の小説『野火』は、戦地で小隊からも病院からも見放され、山中を放浪する一等兵を描く。疲労と飢餓で意識が朦朧となる中、ふと『神』らしき何かに見られていると感じた兵士の独白、『もし彼が真に、私一人のために』にふれ、文芸評論家はこう記す。信仰は聴き届けられる保証のないまま差し出されるもの。人を愛することもきっと同じ。評論『大岡昇平の時代』から」(全文引用)。「奥が深いなあ」と思って引用し、タイプしているうちに意味がふわふわし、わからなくなった。「読む」と「書き写す」でこんなに違ってくる。兵士を紙面の向こうに読んでいた自分の視点が、兵士の位置に近くなったことに気づく。その視点の変化で観念の揺らぎが生じたらしい。兵士を「視て」いたときは、彼の絶望とそれをじっと見つめる「神」の位置を感じ、観念の迷走か、迷路にはまった意識の浮遊として彼の心的風景の位置を捉えようとしていた。だが、タイプ中に別の位置に近づき、疲労と飢餓で朦朧となる兵士の意識がふと途切れ、彼の観念の最後の残りカスが、これまで囚われていた当然と思っていた通念を抜けたその先を垣間見た。そんな兵士の心を一瞬だけ感じたような・・・。まだよくわからないものの、自分の存在をすべて否定する世界なのに、彼は、それに必死にすがりついてきた。もう到底そこへ復帰することは叶わないと認めざるを得なくなったのに、彼は思考の行き止まりに嵌って戸惑い、ふと感じた啓示に「もし」という仮定で向き合う。そのとき、「もし」という仮定形を持たずに「神」と向き合っていたらどうなっていたか。ああ、そうか。「もし」という疑念が残っていたから、地平線の向こうにある「野火」に向けて、疲労と飢餓で朦朧となる意識を抱えながら、最後の力を振り絞って歩み続けたのか。たとえそれが命を消し去る地獄の炎だったとしても、彼はそれを選んで必死に歩いていったのか。「もし」と意識することが彼を生き延びさせたが、戻っていた先は「神」と無縁の場所だった。「神とはなんだったか」との問いも迷路の入口を示すだけと知り、ブログ主の気分がふわふわし、「野火」が近づいた昨日の朝・・・。
同日35面に「双葉の全町避難 一部を来春解除 帰還困難区域 初」がある。「東京電力福島第一原発事故で唯一、全町避難が続く福島県双葉町で、国の避難指示が来年3月上旬に一部解除されることが、地元関係者への取材でわかった。放射線量が比較的高く、立ち入りが厳しく制限されている『帰還困難区域』としても初の解除となる」「来年3月14日に全線再開予定のJR常磐線の双葉駅や駅前、街の北東部にある浜野、両竹の2地区(計約200ha)で、町の約4%」(本文引用)という。添付イラストを見ると、「ここはすでに示されていた場所」とわかる。2月20日当ブログ「遠い昔からボタンのかけ違いがあるような」に「第一原発が立地する双葉町は20年春ごろに町内の一部、22年春ごろに特定復興再生拠点で避難指示の解除を目指している」とある。大熊町の避難指示解除は4月10日当ブログ「意図せずに自分に仕掛ける自縛の罠」に「避難指示解除 帰還困難区域除く 原発立地自治体で初」「県の11市町村に出された避難指示が全域で残るのは、第一原発がある双葉町のみとなった」とある。双葉町の場合、この区域は津波に襲われ壊滅状態になったところ。どうするつもりなのだろう。内外に「原発事故は10年経たずに上手に収束できましたよ」と宣言するために、無理に無理を重ねるのだろうか。大熊町では「大川原地区には特例として東電の社員寮が建設され、廃炉にあたる社員ら700人」が暮らし、「同地区で帰還住民約1千人、町外からの住民約2千人が居住する計画を描く」「住民意向調査(速報板)では『戻りたい』が約1割、『戻らない』が約6割」ということだった。本日27面「福島・双葉の『全町避難』3月4日一部解除へ」に「解除対象は、駅舎と避難指示がすでに解除された住宅地とを結ぶ駅前道路(約1・1キロ)など」(本文引用)とある。「野火」の日々がせまる日常。
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2019年12月20日

でたらめな言葉と研ぎ澄まされた鮮烈な言葉

昨日の新聞14面に「桜を見る会 許されぬ政権の居直り」がある。「国民の代表として行政監視機能を担う国会議員の質問を、あまりにも軽んじていないか。疑惑に頰被りする政権の居直りとしか言いようがない」「野党が提出した質問状に政府が答えたが、事実上の『ゼロ回答』だった。実態解明に本気で取り組む気があるとはとても思えない」(以下本日の「」内はすべて本文引用)。(要約開始)“ジャパンライフ元会長に送られた受付表の番号「60」は「首相の推薦枠を示す数字」とされるが「政府の回答は『調査する必要がない』」実務担当の確認は「その必要は感じない」。資料請求した直後のシュレッダー処理。PCの履歴確認は「実務的には可能だとしながら(略)履歴の調査は行わないと答えた」。「質問主意書への答弁書も同様」で、昭恵氏の公費支出や公用車使用については、「(質問の)意味するところが明らかではない」「回答は『困難』」とし「はなから答える気がないとしか思えない」と指摘。「大本に、説明責任から逃げ回る首相の存在があることは間違いない。首相は先週の講演で、森友・加計問題、統計不正、桜を見る会を列挙し、『この3年ほど、国会では政策論争以外の話に審議時間が割かれてしまっていることを、大変申し訳なく思っている』と語った。陳謝の体裁は取っているものの、政権がまいた種で、自らが納得の得られる説明をできていないことに原因があることを考えると、あまりに人ごとのいいぶりだ」と断定。森友問題で高裁が「一審の大阪地裁より踏み込んで、国の情報不開示を違法と認める判決」を出したが「不都合な情報を隠したがる政府の体質はまったく変わっていない」「首相が来年の通常国会で、実のある政策論争を実現したいと本気で考えているなら、国会の閉会中審査に応じるなど、まずは現下の桜を見る会の問題に正面から取り組むべきだ」と締める”(要約終わり)。幼稚な言い訳で逃げ回り、高級料亭で贅沢三昧、周囲が総出で支える裸の王様。これを恥としないこの国の哀れさ鮮明。
そして次の面に「高橋源一郎の歩きながら、考える 隣の国のことを知らない私たち」の記事。茨木のり子の詩の一節「駄目なことの一切を/時代のせいにはするな/わずかに光る尊厳の放棄 自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」は胸に響く。そして文は「平和の少女像」へ続き、「韓国には、私たちの国にはない『民衆美術』のぶあつい歴史がある。それは、自国の軍事独裁政権と『美術』を武器にして戦ってきた歴史だ。いつのまにか、敗戦によって軍による支配が終わっていた私たちの国とは異なる『戦後史』をこの国は持っている。自国の軍隊や政府と戦いながら、歴史を作ってきた彼らは、作品に強いメッセージを載せることを拒まない。その感覚は私たちにはないのである」。最後の言葉が、また胸に響く。だが、文はこれだけでは終わらない。次の「二つの像が問う弱き者への視線」で、済州島にある「ベトナム人の母子の像(『ベトナムのピエタ』像)」に触れ、「その像は、ベトナム戦争での韓国軍の民間人虐殺を記憶し犠牲者を鎮魂するために作られた」。像の作者は「日本大使館の前の少女像と同じ」「この像を設置する場所を求めて、キム夫妻は済州島にたどり着いた。『少女像』とは異なり、自国の歴史的加害責任を問う像を喜んで受け入れてくれる場所を見つけることは難しかった」「ふたつの像は切り離され、片方を支持するものの多くは、もう片方を見ないようにした」「このことの意味も考えたい、とわたしは思った」。島は「南北に分断されることに抗した島民を韓国軍と警察が弾圧・虐殺した『四・三事件』で知られる」「1948年に起こり、50年代半ばまで続いた一連の悲劇で虐殺された島民は数万人」「軍・警察が公式に謝罪したのは、事件発生後半世紀以上たつ今年だった」「わたしたちは、『弱き者たち』をどう見ているのだろう。いま、わたしたちの社会は、声をあげる『弱き者たち』をうとましく思っていないだろうか」。「『像』たちは言葉を持たないが、それゆえに、わたしたちから言葉を引き出す力を持っている」「それは、怒りや憎しみや蔑みに満ちた、わたしたち自身の社会が発することばなのかもしれない」。ラストの文が、またも厳しく胸に響く。
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2019年12月19日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(15)

第13章の続き。「13・2 ペクチン含有腸内吸着剤による体外排出の成果」から
ここでは、「ペクチンは消化器の中でセシウムのような陽イオンと化学的に結合し、排便を通してセシウムの排出量を増やすことが知られている」とある。WHOは大惨事の5年前に、ペクチン含有腸内吸着剤の日常的使用は効果的で無害であると公表している。ただし別の本では、ペクチンの種類によってセシウムと同時にビタミンも排出してしまうなどがあり、使用には注意が必要なようだ(ブログ主調べ。さらに詳しく調べたい)。なんにしても、放射線をただ忌避するのではなく、第12章の冒頭にあったように、地域が放射能モニタリングの力をつけ、自ら情報や手段を得、食品チェックをするなど積極的に取り組む必要がある。つまり、自らに降りかかる危機と、自律的に積極的に向き合うことが求められているのを自覚するのが先決なのだろう。「13・3 直接測定にもとづく放射線防護の新しい展開」では、「ベルラド研究所の長年にわたる経験から、汚染地域で実効性のある放射線防護を行う際には、公式の危険限界(体重1Kgあたり15〜20Bq)の30%を、子ども用の介入基準値として確立しなければならないことがわかった」「公式の地域被曝線量一覧は、個人の年間集積線量を実際の3分の1から8分の1にまで小さく見積もっており、放射線防護を実効性のあるものにする上で拠り所にできる数値ではないことがわかった」とし、ホールボデイカウンターの意義を強調する。
「13・4 チェルノブイリの子どもたちにとって国際的な援助が特に効果的な分野」には、チェルノブイリ大惨事の長期的影響は、どの国であれ一国だけで対処できるものではなく「事故がもたらしたものは規模においてあまりにも大きく、また多岐にわたるため、こうした支援の効果を一層大きくするにはどうすべきかが常に問われる」として、ベルラドの経験に基づき、「国際的および国内的なプログラムの効果促進に向けて以下の提言を行う」ーーー(1)放射性核種と体内蓄積量との相関に注目し、疾患の発生頻度と重症度を、とりわけ子どもたちについて解明するための共同研究 (2)汚染地域の住民一人ひとり、特に子どもに対する定期的な放射能測定評価の実施 (3)人々の放射線防護の最も効果的な方法の一つ、ペクチン食品添加物をベースとしたさまざまな食品や飲み物を製造投与 (4)公的なシステムを補完する独立機関で、放射能モニタリングと地元食材の放射能検査を行う (5)予防的な健康管理のために、ペクチン含有補助食品による定期服用コースの実施ーーーの5項目を示す。
「13・5 結論」では、大惨事から25年経っても、地元産食物の摂取によって「国際的に許容されている個人の線量当量限度である1mSvを超えてしまう実態がある」「汚染のない食物の入手が不可能な状況下では」「取り込まれ、蓄積された放射性核種を可能な限り多く取り除くために、放射性核種を吸着して体外へ排出させる食品添加物を用いるべきである」と指摘する。たとえば、「アルギン酸ーーアルギン酸塩(ほとんどは海産褐藻類から)を用いた各種製品はストロンチウムの減少」「また鉄やシアン化銅(例えばプルシアンブルー)はセシウムの低減」「活性炭やセルロース、さまざまなペクチン類も、蓄積された放射性核種の吸着に効果がある」。なかでもりんごペクチンの食品添加物は「セシウム137の排泄に卓効」という。しかし、先に書いたように「ペクチンの種類によってセシウムと同時にビタミンも排出してしまうなどがあり、使用には注意が必要」という気がしている。素人判断にならないよう、医療的行為として考えるほうがよさそうだ。
最後の「結論」として、「われわれに何ができるか」として、4点が列挙されている。
(1)乳牛に吸着剤を含む混合飼料を与え、また牛乳からクリームやバターを分離、残った水分を廃棄する (2)子どもと妊婦には、汚染されていない食材や、放射性核種および重金属の排泄を促す添加物含有食品を与える (3)現状で手に入る食材や地元の生活様式を考慮しながら、地元産食材の放射性核種による汚染程度について、また住民(特に子ども)の体内における放射性核種の蓄積状況について人々に知らせる (4)チェルノブイリ事故で汚染された地域に住む人々のための放射線防護策の一つとして、放射性核種の定期的な体外排出を生活に組み込む。
このなかで(2)は小出氏の◯禁説を思い出させる。氏の主張には根拠があった。(3)は市民放射線測定所の活動を思わせる。そして国家はほとんど手を打たない。(4)は今も各地で続く保養の活動につながっている。
   **その(16)へ不定期に続く**
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2019年12月18日

12月とはいえ空気は生ぬるく変な陽気

1面左側に「森友 特約不開示も違法 大阪高裁判決 ゴミ巡る条項『重要』」の記事。臨時国会が終わったと思ったら、こんな判決が出た。なんでかなと思いつつ、とりあえず悪いことではないし、などとハスに構えて見てしまう。「一審判決は売却額の不開示のみを違法とし、特約条項の不開示は適法と判断していた。高裁判決はさらに踏み込み、情報開示に消極的だった国の姿勢を厳しく批判した形だ」「判決によると、木村真市議は2016年9月に売買契約書の開示を求めて情報公開請求した。しかし財務省近畿財務局は『学園の権利、競争上の地位や正当な利益を害する恐れがある』として売却額や特約条項などを不開示とした」(本文引用)。13〜16年の国有地売却104件中モリトモだけ非公表なのは不開示の理由が漫然としているとして違法判断し、近隣地価より格段に安い価格も疑いが生じるのだから、公表するのが当然とした。財務省はもちろん「判決の内容を精査するとともに、関係省庁と協議し、今後の対応について検討して参りたい」(本文引用)とコメントしている。関連記事は29面「森友問題『追及続ける』 原告市議ら判決を評価」で、大阪高裁が一審判決より踏み込んだ評価を示したことに対して、「森友問題を追及してきた木村市議は判決後の会見で『(国が)情報を隠すのは違法だと判断したいい判決だと思う』と笑顔を見せた」(本文引用)。財務省は「今後の対応について検討」としているが、どう検討するんだろう。まだ抵抗するつもりではあるんだろうけれど、雲行きがなんとなく怪しい方向にあることは確かなような気がする。
BESTTIMESというところの配信記事で、興味深いものがあった。「ジャーナリスト・田原総一朗氏と『「安倍晋三」大研究』の著者で東京新聞記者・望月衣塑子氏の二人が、安倍政権の行方を徹底討論する!」(本文引用)として、一番目の表題は「●『憲法改正をする必要は、全くない』と安倍さんは小声で言った」というもの。その理由は、うるさかったアメリカの要求を「集団的自衛権の行使」を可能にしたことで、無理しなくてもよくなったから、とか。うーん、そういう見方もあるのかね、という感じ。当ブログでもかなり前から、「すでに日本国憲法の中身は空っぽになっており、『あらためて改憲することもないんじゃないか』と思える。それでもなぜ困難な改憲にしがみつくのか」などと書いたりしていたから、「そういうこともあるかもね」とは思うものの、やっぱり半信半疑なのである。改憲を否決されて、戦争できない国のくびきをけっきょく外せなかったら逆効果。「『集団的自衛権の行使』にいくらかでも煩わしい縛りが残りはしないか」などという懸念を、彼は払拭できないかもしれない。綱渡りなのは確かだろう。二番目の表題にその回答がある。「●日本は憲法改正を行うべきなのか? アメリカ、日本会議の影響は?」で望月衣塑子記者は言い、田原総一朗氏が頷く。「安倍さんは、今の世論では憲法改正はできないと分かっていますよね。それでも憲法改正を掲げるのは、その旗を降ろした瞬間に自分を支えている日本会議のような人たちから、支持を得られなくなると思っているからですよね」「そう、捨てられてしまうだろう」(本文引用)と。さりげなく、かつ厳しい御宣託。
そうはいいながら動き出したら止まらない坂道の雪だるまの例えがある。勢い頼みで「瓢箪から駒」の改憲に突っ込んでいくかもしれない。でないと逆に「日本会議のような人たち」は彼を見限って、別の誰かに託すかもしれない。これだけ悪辣なことを平然とやってきてしまった後始末を、自分だけでやるなんてできるわけない。考えると彼の余生は茨の道になる可能性が大きいな、などとふと考えた、やけに暖かい日の続く12月中旬の朝。別にこれを気候変動とか温暖化の影響とか、単純に結びつける気は無いんだけど。スタッドレスタイヤに早々と付け替えちまったので、気になっていたりして。
☆「なぜ安倍首相は「憲法を改正する必要は全くない!」と僕に語ったのか田原総一朗氏 × 望月衣塑子氏が斬る!」BESTTIMES12月14日
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10963
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2019年12月17日

とっくに東海第二原発はお荷物だろうに

3面に「東海第二 想定超える見積額 原発安全対策工事費 予定額との差700億円」「随意契約でのズレ『極めて異例の事態』」がある。「電力会社の大型工事は競争入札をせず、指名したゼネコンの発注する『特命発注』といわれる随意契約が多い。電力会社の予定額とゼネコンの見積額が違うことはほとんどなく、大幅な金額に違いが生じた東海第2原発の安全対策工事のケースは『極めて異例の事態』(工事関係者)という。予定額の1740億円でも黒字の工事ができるというのが原電側の見解だ。しかし、大手ゼネコン幹部は取材に『原電側の見通しが甘く、ゼネコン側の見積額が妥当だ』と反論。両者の主張は平行線をたどってきたとされる。原電を資金支援する電力会社関係者は、工事費が適正かどうかを判断する材料として『工事ごとに複数のゼネコンから見積もりをとる「相見積もり」を行い、価格競争をさせる方法がある』と指摘する。だが、原電はそのような対応はしていないという」(本文引用)。東海第2原発は東日本大震災のとき、海側取水口付近の護岸を、4・2メートルから7・2(または6・1?)メートルにかさ上げする作業中で、到達した津波の高さは5・4メートル。あと70センチで津波が超えた可能性があった護岸には工事用の穴があり、そこから津波が流入し、非常用ディーゼル1台停止。残る2台が稼働して原子炉の冷却は保たれた。工事が遅れていたら被害は甚大なものとなり、首都圏3000万人以上が避難(東日本全体が総避難、列島中央で東西が分断される事態)に至る寸前だった。「13年7月に原発の新たな規制基準が施行された。これを受け、東海第2原発では標高20メートルの防潮堤建設や非常用設備の設置といった、原発本体の安全対策工事を実施することにした。工事計画は18年10月に原子力規制委員会の認可を受けた」「見積額は18年11月ごろまでに出そろったが、」合計額は原電の予想を大幅に超える2500億円になった」「分割発注される予定の防潮堤建設の土木資材費、工作機械費、作業員数などが膨らんだ」「再稼働を急ぎたい原電は20年3月までに工事契約を結ぶことを目指しているため、予定額を大幅にオーバーした契約になることは必至とみられている」(本文引用)
東海原発は首都圏にすごく近い。東海村にある各種施設込みで考えると、原子力関連施設群の周辺には、多くの民間施設がひしめいている。たとえば「放射性同位体漏洩事故」を起こしたJ−PARCも然り。事故時には職員らが逃げ回ったと記憶しているが、さて周辺住民はどうだったか。「2013年5月23日11時55分、ハドロン実験施設において、装置の誤作動により放射性物質が漏れる事故が発生、作業していた研究者6人の被曝が確認され、施設外にも漏洩した。24日22時40分になって関係機関への通報がなされた。25日に茨城県と東海村、水戸市、日立市など7市町村が立ち入り調査を実施、構造上の不備を指摘し対応の遅さを批判した」(ウィキ引用)。事故発生からおよそ34時間後に関係機関への通報があった。その通報があるまで周辺住民は? 直近には高速道路か国道が走っていなかったか? 以下の記事には、「2011年度からの8年間で発電がほぼゼロだったにもかかわらず、大手電力5社から受け取った電気料金が計1兆円近くになった。「基本料金」を支払う仕組みがあるためだ」(本文引用)とある。なんにもしなくても8年間で1兆円。「再稼働は、テロ対策施設の建設問題で不透明感が増している」(本文引用)とあるが、今日の我が家新聞には「これらの本体工事とは別に、テロ対策施設の建設費約610億円(試算)も加わるため、総額は3千億円に膨らむとされる」(本文引用)。大手電力会社5社は資金支援計画案を出しており、3月には3千億円だった案を10月に3500億円へ増額している。この記事の流れを見ると、先に決まった工事費にあわせて事態が動いているような気がしてならない。総額がわかっていて資金支援計画案も知っていて、それで「相見積もり」が安くなるのかどうか個人的には疑問符。
☆「発電ほぼゼロで収入1兆円 日本原電8年間分、本紙集計」朝日新聞5月23日
https://www.asahi.com/articles/ASM5R54GKM5RULFA01Z.html
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2019年12月16日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(14)

第4部「チェルノブイリ大惨事後の放射線防護」第12章「チェルノブイリ事故による食物と人体の放射能汚染」第13章「チェルノブイリ事故に由来する放射性核種の体外排出」
第12章冒頭で「体内に取り込まれたセシウム137とストロンチウム90の平均値は、1991年以降2005年まで減少するどころか、むしろ増加した。現存する放射性降下物の90%以上がセシウム137」(半減期30年)「これらの汚染地域は今後およそ3世紀にわたって放射能の危険に晒され続けることがわかる」とし、汚染地域に住む人たちが放射性核種に汚染された野菜や果物や魚介類、狩猟鳥獣肉を食べているとき、完全な放射能防護を提供できる政府などないと断言。地域が放射能モニタリングの力をつけ、自ら情報や手段を得、食品チェックをするなど積極的に取り組む必要があるとする。「12・1 食物の放射能モニタリング(監視)」では、それらの具体的成果が語られる。個別の地域の傾向は一般化できるものかどうか、よくわからない。しかし、247頁「各地の食品の放射能汚染程度には季節ごとの変動がある。通常は例年、第3および第4四半期に、高濃度に汚染された食材(キノコ類、ベリー類、狩猟鳥獣肉、(略)冬季飼料によって汚染された牛乳)の割合が増える傾向にある」というのは参考になる。「12・2 体内に取り込まれた放射性核種のモニタリング(監視)」では、子どもの食品監視をするだけでなく、体内に取り込まれた放射性核種の直接監視が必要という。ベラルーシの場合、子どものセシウム137体内蓄積量を左右する因子に(1)セシウム137の環境汚染度 (2)居住地が都市か農村か (3)家庭の特徴 (4)近くに森林、冠水する牧草地などがあるか (5)放射性核種を減らす調理法の習熟度(中略)(6)放射線防護剤や排出剤の使用。など列記されている。260頁に日本の例が出ている。それによると、大惨事前にはセシウム137の身体負荷量は30Bqだったが、1986年には50Bq超。翌年も上昇し続けたとある。この数字にはKgあたりの単位がついていない。次の「12・3 結論」では、Bq/Kgとあって、重大なことが書かれており、これとの関係をどう考えるか、ブログ主には判断がつかない。大惨事から25年を経ても多くの人びとが持続する低線量放射線の影響に苦しんでいるが、主な原因は汚染された食物の摂取にあるという。「同じ食事を摂っても、子どもの被曝量は成人の3倍から5倍多くなる」「体内のセシウム137蓄積量が50Bq/Kgになると(居住地域の汚染濃度が3万7000〜55万5000Bq/uの地域ではまれなことではない)、さまざまな病気の発生率や死亡率が高くなり、実質的に健康な子どもの数が減少する」との結論は重い。日本のデータで、大惨事前でも身体「負荷量」30Bqとあり「蓄積量」とどう違うか、調べる必要がある。この文献(Uchiyama and Kobayashi,1988)は日英を比較をしており、少しあとの英国関連でも出てくる。
第13章「チェルノブイリ事故に由来する放射性核種の体外排出」には、第12章で触れた食物由来の体内被曝を如何にして防御、低減するかが語られている。まず、「放射性核種の94%は食物、5%は水、1%は呼吸を介して体内に入る」とある。これはベラルーシ、ウクライナ、ロシアの放射能汚染区域のデータによる。そして、体内の放射性核種の量を提言する基本は(1)摂取する食物に含まれる放射性核種の低減 (2)体外への排出促進 (3)免疫系その他の防御系を刺激する、とまとめる。「13・1 食物に含まれる放射性核種の低減」には、「きのこ類や野菜など」は「水に浸したり、茹でたり、塩漬けにしたり、ピクルスにしたり」「また牛乳やチーズの場合は脂肪分を調整することで(略)放射性核種の量を数分の1に低減できる」「食品添加物を用いて」「自然免疫力を刺激することも有効だ。フリーラジカルの生成を妨げる(略)添加物には、抗酸化性のビタミンAとC、(略)I、Cu、Zn、セレン、Coなどがある」「添加物は、被曝による有機物質の酸化を防止する」「免疫を刺激する補助物質は」「植物のもやし、海藻、マツの針葉、菌糸体などがある」と指摘。
“放射性核種の排泄を促すための3つの方法は(1)安定した元素量を増やす。たとえばKやRbはセシウムの体内取り込みを防ぐ。CaはSr、3価鉄はPuの摂取を防ぐ (2)放射性核種を吸着する食品添加物の使用 (3)煎じた飲料やジュース、食物繊維を強化した食品の摂取” “極端な汚染に対する治療には効果の高い体外排出剤がある”
この章には気になることがたくさん書かれており、「その15」へ続けて書く。
   **その(15)へ不定期に続く**
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2019年12月14日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(13)

第3部「結論」
「結論」の主要な部分を抜き書きし、ブログ主の主観的な解釈を後ろにつける。
1「チェルノブイリ原発事故に由来する放射性降下物は、北半球全域の動物相と植物相に甚大な影響を与えた。ヨーロッパ西部、北米、北極圏、アジア東部の動植物(微生物含む)において放射能の体内蓄積量が記録され、その数値は事故前に『正常値』とされていた自然のバックグラウンド放射線[環境放射線]量の何百倍にも達することが多かった。こうした高線量放射能の大規模な放出は、それに続く持続的な低線量被ばくと相まって、植物類、哺乳類、それに細菌やウィルスも含むすべての生物に、形態的、生理的、遺伝的障害をもたらした。研究対象となったあらゆる動植物が例外なく明らかに悪影響を受けていた」
==事故前の環境放射線量の何百倍という表現は大雑把でよくわからない。でも、ここまで読んできて、チェルノブイリ由来の放射性核種が与えた多様な影響を忘れていなければ、ウィルスを含むあらゆる生物のほぼすべての生体機能が影響を受けたことは理解できる。
2「チェルノブイリに由来する放射能が水系、大気、土壌に及ぼす総体的影響は、放射性核種の崩壊の点から動的であるばかりでなく、生物学的、地質学的、化学的にも、さらには多様な食物連鎖への移入をはじめ、生態系全体における放射性核種の移動や濃縮などの生態学的な過程という観点からも動的である」
==生物の生息環境に及ぼす影響は、放射性核種の崩壊を含む多様な変化を経て、さまざまな影響を生物に及ぼす。例えばトリチウムが有機物の一部となって生体に取り込まれ、遺伝子に入り込み、崩壊してヘリウムに変化し、修復能力を超えて遺伝子を壊す場合など。
3「チェルノブイリ由来の放射線照射による慢性的な低線量被曝は、ゲノムの不安定性を世代をまたいで蓄積させる結果を招き、その影響は細胞性および全身性の異常として表れている。事故当初の数世代の間に被曝した動物のゲノムに比べ遠い将来の世代のゲノムはごく微量の放射線にも感受性が高まっていく」
==ゲノム不安定性は世代を経て蓄積され、遠い世代になるほど放射線への感受性が高くなっていく。次の4はその逆の現象を指摘。
4「一方、汚染地域では、より放射線感受性の低い個体の生き残りに向けた積極的な自然選択(自然淘汰)、すなわち放射線適応の過程も進行している。持続的な汚染状況下に置かれた生物群集の放射線適応は、多くの世代を重ねるうちに放射線感受性を低下させるだろう。これは進化論が予測するとおり、感受性の高い遺伝子型の排除と、遺伝子プールの貧相化[集団内における遺伝子数の減少]を伴う特殊な適応の結果である」
==自然淘汰によって放射線耐性の強い個体が生き残る。遺伝的多様性に富むほど多様な遺伝子系を持つ個体が生まれる可能性があるが、この場合、逆に多様性が失われていく。
5「チェルノブイリゾーンには、先祖帰りした原始型の遺伝系への回帰を示す植物や動物が見られる」「微生物の1世代が短寿命であることを考えると、この急速な小進化の過程はより原始的な型の生物を活性化させるとともに、新型のウィルス、細菌類および真菌類を出現させる可能性がある」
==放射性核種の影響は、進化も退化も含む様々な変化を示す。次の6は読んで字の通り。
6「第3部で提示した資料は、チェルノブイリの放射能汚染ゾーンを、動植物が生育し反映する自然保護区とみなすことが危険かつ近視眼的であることを裏付けている。チェルノブイリの汚染ゾーンで現在進行中の数多くの過程をより深く理解するためには(略)予期せざる危険な事態の連鎖を理解し、予見し、回避するために[そうした研究を]支援、拡大、強化すべきである」
==7と8はまるで黙示録の記述のようだ。
7「チェルノブイリ事故による汚染条件下で飼育された実験用ラットの70%以上が、2、3年のうちにがんを発症し、さらに複数の疾病と免疫障害を患った。チェルノブイリ周辺で事故後5年から7年の間に生じたこれらすべての経過は、その後、被曝した人間集団に起きたことの明らかな前兆だった」
8「チェルノブイリは、一方では小進化の孵化器として、遺伝子プールを盛んに変容させながら予測不能の結果をもたらし、もう一方ではブラックホールとして、大型動物を加速された遺伝子退化へと呑み込みつつある。こうした知見を無視するなら、我々は危機に陥るだろう」
==人間以外の生物の変化は、その後、人間集団にも発現することの前兆という。「結論」を読み、暗澹とした気持ちになる。しかしこれを忘れて未来をどう望めるか。絶望を超える努力!
   **その(14)へ不定期に続く**
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2019年12月13日

貧しいが高望みせずお上に従順な国民を創る

14面「安倍政権 道理失う御都合主義」を「面白くもない紙面を面白く、読みなすものは読者なりけり」と受け止めた今朝。「無理が通れば道理が引っ込むという。道理ある政治を手にするには、理屈に合わぬ政権の説明は見過ごせない。『桜を見る会』をめぐる安倍政権の弁明は詭弁に満ちている。その最たるものが、『反社会的勢力』の定義をめぐるやりとりであろう。この会に反社会的勢力とみられる人物が参加し、要人と撮影した記念写真まで流布している。対象は功績・功労があった人という趣旨に反しており、事実ならなぜ招かれたのかを究明するのは当然だ」(本文引用)。招待者名簿は廃棄済み。07年の「指針」も無視して反社会勢力の定義は困難との答弁書を閣議決定。キテレツな辻つまあわせで言い逃れ。文書提出を求められたその日に紙文書はシュレッダー行き。電子データは削除。バックアップしてあるのを復元すれば済むのに、「行政文書じゃない」と言い切る。「それならバックアップってなんのため?」。「反社会勢力」の定義はゆるゆる。逆に行政文書はぎっちり締める手前勝手。首相夫人は「私人」だが招待者推薦は可能。森友問題では「私人」だから公的なことに口を出さない、なんて閣議決定してたのと矛盾する。というわけでラストは「当座の責任逃れのために、御都合主義で言葉の定義をゆがめる。その先にあるのは政治不信だけだと、首相は知るべきだ」(本文引用)と締める。久しぶりの「べき」。曖昧表現の「かもしれない」なんかでないのがいい。「桜を見る会」関連では疑惑が山盛りで、全部網羅しようとしたら記事は2倍くらいスペースを必要としただろう。モリカケで露呈したお友だち優遇の再現。前夜の飲み食い会は買収饗応。その他のガラクタが山盛りで、紙面1つをすべて使っても足りないくらい。それは1月以降に先送りしたか。国会閉幕後の記者会見で指名されたのは産経、NHK、読売だけ。朝日、毎日、東京の記者は質問されず仕舞い。政府がシカトで公然と報道をいじめる。そんな仕打ちを受けて黙って引き下がるなんぞ、報道人のホコリがぜったい許さないはず。記者たちよガンバンベー!
なんというか、見るも無残な政権末期にもかかわらず、当の本人は以下のような夢を見ているらしい。いやいや表向き「そんなわけない」と笑い飛ばしていることになっているので詳細はわからない。でも「首相の取り巻きなどは“次の銅像になるのは安倍先生ですよ”などと、半ば本気で持ち上げているそうです」(本文引用)とあり、推測すれば、気持ちがグラついている首相をおだて、なだめ、すかし、必死になって野望を遂げようとする取り巻き連がいるようで、これぞまさしく日本的権力構造の典型。おだてあげ、その気にさせて、ボロボロになるまで使いたおして野望を遂げさせ、あとは使い捨てられる運命の操り人形の姿が浮かび上がる。取り巻き連の目的が叶ったら、満足げに去る彼を銅像にでもなんにでも仕立て上げ、一転して彼がボロクソの極地に追い詰められようと知ったこっちゃない。彼の苦情を適当にあしらいつつ、ついにやってきた我が世の春を堪能し、操り人形には歴史の彼方へ粛々と消えてもらうという寸法か。だとしたら冷酷なものよ。中心不在の妙手。結果として失敗しても、「責任はあの銅像にあり」とする巧妙さ。この世がどんなになろうとも、権力構造はひっくり返らないで維持されていく。明治維新や先の敗戦がそうであったように、社会の上層部は揺るがず連綿と生き続ける。そんな目論見が仄見える今日この頃。かつての軍事国家を再現するには、国民から「豊かさ」を徹底的に奪い、すべてを軍事力につぎ込む政治が当たり前となるまで搾り取らないといけない。「貧しいけれど高望みせずお上にひたすら従順な国民性」が、かつてのように復活するまで、彼らの執拗な挑戦は続けられる。そんな気がしてならない今日この頃。
☆「安倍晋三『国会の銅像になりたい!』仰天野望」日刊大衆12月9日
https://taishu.jp/articles/-/70787?page=1
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2019年12月12日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(12)

第3部:第10章「チェルノブイリ由来の放射能による動物相への悪影響」と第11章「チェルノブイリ由来の放射能による微生物相への悪影響」および「第3部 結論」
最初に、チェルノブイリ大惨事が動物相に与えた影響は今後何十年も続く、と指摘し、さらに「ホモ・サピエンスもまた動物界の一員である以上、動物に見られたのと同様な健康上の影響に苦しむことをしっかり心にとめておくべきである」とする。最初の節で「放射性核種の蓄積量」次に「汚染地域の動物の繁殖力の低下」最後に「その結果生じた遺伝的変化」について論が展開される。「10・1 放射性核種の取り込み」では、哺乳類をはじめ鳥類、魚類、昆虫などは「捕食ないし採食可能なあらゆる食物に依存して生きている。そのため動物の健康状態及び生存状況は、生活環境の放射線量とその影響を知る1つの手がかりを与えてくれる」。ここから、人間が生きる上で、食物や生活環境においてできるだけ安全を心がけることが必須であることを改めて知る。いま、福島ではどうなっているんだろう。放射線計測がおろそかになっていないか。計測したとしても環境放射線くらいなものか。環境線量としては、せめて全ベータも測るべきではないかと思った。そう思ったのはネズミの調査で、「セシウム134と137の濃度は大惨事後1、2年間に最大となり、その後、急速に減少した。しかし、体内に取り込まれるストロンチウム90の濃度は大惨事の10年後まで増加し続けた」と書かれていることによる。魚類の場合は別の現象がある。「セシウム137が魚類からは速やかに(7、8年で)除去されるとの当初の予測は正しくなかったようだ。3年から4年は急速に減少したが、その後の汚染値は驚くほどゆるやかになった」とある。なかでも湖沼などの閉鎖系にいる魚類のセシウム137は長年に渡って増加し続けたという。「10・2 繁殖の異常」で、3万7千〜18万5千Bq/uのセシウム137と1480〜2960Bq/uのストロンチウム90で汚染された豚の調査が記載されており、影響があったことが書かれている。これをそのまま人間に当てはめるのは早計だが、安全と安全でないの境界線を安易に引く前に、日常的に気をつけることの重要性を理解する方がいいのではないかと思った。動物で顕著に現れれば危険の可能性が浮かぶ。だがその逆もある。動物でさほどの影響がなくても、人間で大きく影響が出ることもある。
「10・4 その他の生物学的特徴の変化」で、「実験用C57BL/6系マウス」というのが出てくる。これを環境放射線量毎時100〜12mR(ミリレントゲン)のチェルノブイリゾーンで40日間飼育したところ」という記述が出てくる。C57BL/6系とはなんのことかと調べたら「ヒトの疾患のモデルとして使用される遺伝子改変マウスの『遺伝的背景』として最も広く使用されている。遺伝的背景が同一の血統が入手可能であること、交配が容易であること、頑健性などの理由によって、最も広く使われ、最もよく売れているマウス血統である」(ウィキ)とあった。それにしても1mR=10μSvだから、これは1〜1・2mSv/hrということになる。そのような実験における結果として理解した。次に目についたのが「実験用ラット」の表記。詳しい説明がないのでよくわからないが、一般的な実験動物として飼育されたものかと思う。234頁にちょっと注目する記述がある。「高放射線量環境下に7〜8年間生息していた湿原のカエル(略)の個体群に対し、実験的に追加照射したところ、脾臓と骨髄の死細胞の割合が、同じ追加照射を受けた対照群とは有意に異なった」とある。「結論」に「動物個体群では、ゲノム不安定性が世代の進行とともに蓄積され、細胞や全身への悪影響として表れる。後の世代の動物のゲノムは、超低線量放射線の影響に対する感受性がいっそう高まるため、このような世代を超えた長期的影響はさらに悪化する可能性がある」という。ヒトとの関連を連想した。
「第11章 チェルノブイリ由来の放射能による微生物層への悪影響」はわずか3頁。土壌1gに25億個ほどの微生物がおり、成人体重の最大3Kgは細菌とウィルスと微小菌類という。急速に世代交代する微生物の重大な変化は「他の生物種の健康と生存にとって吉兆ではない」とある。あとは個々の観察結果が続き、「第3部 結論」に至る。この章はわずかな頁しか割かれていないにも関わらず、結論が示す内容は、他の章の結論に増して重い。ある意味、これまで各分野で検討してきたすべての事柄が関係する、網羅的な内容になっているがゆえに、総括的な意味を持つのだと思う。したがって、「その(13)」で特に引用しつつ紹介したい。
   **その(13)へ不定期に続く**
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2019年12月11日

核のごみ、経済のごみ、政治のごみ

31面に「『核のごみ』研究機関 存続へ 幌延深地層研 北海道、7年間延長容認」。高レベル放射性廃棄物の地層処分を研究する施設で01年に開設、地下350m超の坑道に数万〜数十万年超、安定的に保管できるかを研究中。いまは放射性物質ではなく、模擬保護パックを置いているとか。模擬パックが放射線によって劣化するかは別の場所で試験しているのかな。最長数十万年をわずか30年に満たない年月で、どういうふうに試験するんだろう。いろんなことを試みているが、そんな研究せねばならないこと自体がアヤシカラン、とは言いつつ、すでに膨大な高レベル放射性廃棄物が出来上がっている以上、なんとか「数十万年超」を過ごす設備をどこかに造らにゃならぬ。もちろんすべての場所で反対運動が起こる。となると人間の文明ある限り、数十万年以上どこにも受け入れられないお荷物が、あっちウロウロこっちウロウロ移動し続けるか。それとも何世紀か後に「核の錬金術」の研究が実を結び、数万年程度か数千年程度か、あわよくば数百年とか数十年とかの半減期の放射性物質に変換することが楽にできるようになる・・・か。いまでも本気で研究している機関があるんだな。現状では、かえってややこしい放射性物質がたくさんできあがるというオソマツな段階。逆の結果が関の山とか。困ったもんだ。
☆「核のごみ、毒性消す『錬金術』 実用化には高い壁」朝日新聞2013年7月1日
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306300096.html
「核のごみ」ではないけれど、「利益を追求する」ことを本音丸出しにやると1面トップ「セブン 残業未払い4・9億円 12年以降 アルバイトら3万人 ミス70年代から 01年把握」みたいなことになる。カネにまみれて見境いなく儲けたくなるというゼニ餓鬼道を突っ走る。「セブン本部の説明によると、未払いは、それ以前の70年代から続いていた。セブンの創業は73年だ。加盟店には01年、労基署からの指摘があった。本部もそれを把握していたが、公表せず、指摘された未払い分の支払いもしなかった」(本文引用)。要約すると、「知っていたけど隠していた。未払い分は支払わないで済ましていた」ということになる。いったん懐に入れてしまったものを後から出すというのは、最初に出すよりずっともったいなさが身にしみるもの。記事には「ミス」と書いてあるが、「ミス」なんかじゃない。やらずぼったくりと言うんだな。この国の経済的発展はそうして築き上げられてきたのか。
するってえと、政治屋業界筋の成り行きも、推して知るべし。3面の「政権 国会軽視の『ない』尽くし」中見出し「衆参予算委 開かない」「資料や名簿 示さない」「辞任閣僚出てこない」には「議論するための委員会を開かない、議論を深めるための資料を出さない、疑惑を向けられた政治家が国会に出てこないーー。9日に閉幕した臨時国会は、3つの『ない』に象徴される安部政権の立法府軽視の姿勢が、際立った」(本文引用)とある。開かない、示さない、出てこない、釈明しない、根拠を示さない、答弁からは逃げまわり、金はしっかり受け取って、悪政のツケは後回し、改憲にだけはしがみつく。それを合理化するために、国民からふんだくって票の確保にばらまく。これほどあからさまなやり口になったのはこの政権になってからか。地肌は同じでも過去の巧妙さで隠せなくなった。つまり、彼ら自身がそれほど切羽詰まっているってことだろう。言い訳が振るっている。「(国会の)規則は委員の3分の1以上の求めで、委員会を開かなければならないと定める」「1週間前、首相は記者団に『国会から求められれば、説明責任を果たすのは当然』と語ったばかり」(本文引用)。つまり「求められれば出席するけど、求められっこないもん」と、これはガキの屁理屈、総理大臣の言葉じゃない。改憲については4面「#政界ファイル」の「麻生氏、『首相4選』後押し」に「首相が、誰かが憲法改正をやれると思ったら岸さんの二の舞になる。そう言う可能性があるなら自分でやらねばいかん」(本文引用)と語ったとか。麻生っていう人も首相と同じタイプなんだな、と思う。
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2019年12月10日

個人の妄想を利用して組み立てられている?

1面トップ「桜を見る会 説明従来通り 首相会見 名簿『適正に廃棄』」と「視/点 『信なくば立たず』どこへ」には、「記者会見は約33分間行われた。首相は約13分間の冒頭発言で、今国会で承認された日米貿易協定などの成果を誇ったが、桜を見る会に自ら触れることはなかった」(本文引用)とある。記者の質問に答えたのは約20分間。2面「説明責任 なおざり」中見出し「『桜を見る会』終始逃げの姿勢」「閣僚辞任・『身の丈発言』・・・型通り答弁」によると、桜を見る会関連はたった2分間、幹事社による質問に答えだだけで、おまけに「朝日新聞の記者は手を上げ続けたが指名されなかった」(本文引用)とある。しかし、参加した他の記者のツイッターでは、質問で指名されたのは日経とNHKと読売だけで、東京、毎日、朝日は指名されなかったという。この国にかつてなかったほどの重しになって君臨し続ける人物としては、逃げてばかりいるその姿がいかにも小さくみえる。1面「視/点」では桜を見る会の疑念を晴らす今年最後の記者会見で、オウムみたいにこれまでと同じ言葉を繰り返し、潔白の証拠をしめすこともなかった。「信なくば立たず。国民の信頼を得るためには、私が責任をもって全容を解明する」(本文引用)と大見得を切ったのは1年半も前のこと。桜を見る会の疑惑が吹き出て以来1ヶ月。予算委開催を拒否し、国会で答弁したのはたった2回だけで、ひたすら逃げ回った。逃げ回って通算在職日数が憲政史上最長といっても、それでだれも褒めてくれるわけないでしょ。歴史に名を刻んでいるあいだにみっともない部分を闇に葬って、「名宰相」だったかのように粉飾するつもりでいるのかな。稀有壮大な計画だね。
16面「社説」の「臨時国会閉幕 政権の専横を忘れまい」の冒頭には「説明責任を顧みず、論戦から逃げ回る。安倍政権の立法府軽視も極まった感がある」「本会議などで一方的に弁明することはあったが、一問一答で詰められる委員会質疑に応じることは最後までなかった」「異様なまでの論戦回避である」(本文引用)と書かれる始末。辞任した経産相と法相までが真似をして、「国会で野党の追及を受ける矢先に辞表を提出」「両氏とも『今後、説明責任を果たしていきたい』と述べたが、1カ月以上たった今も、空手形のまま」(本文引用)。そのほか日米貿易協定の質疑でデータ隠し。でたらめデータが本格的に発覚したのは昨年末の臨時国会だった。今年は予算委開催を数百日にわたって延々拒否し続け、その少し前は打ちつづく災害なんぞ目もくれず、さらにその前はモリカケ騒動でしっちゃかめっちゃか。けっきょく2016年の衆参3分の2確保がピークで、ここから17年モリカケ勃発、大災害での無為無策、18年赤坂自民亭、原発輸出総崩れ、10月株価大暴落、12月無茶苦茶臨時国会、19年1月国会からは予算委全面逃亡路線の始まりへ至り、いまは桜を見る会でふたたび予算委逃亡、議論抜きで強引に国会閉幕、それでもなお「改憲改憲」と叫ぶ姿や哀れ、という状態。周辺の有象無象が「彼以外にバカをやれる奴はいない」と担ぎ上げているとしか思えない。本人はただ必死に自分を支え、第1次政権投げ出しの屈辱を再現したくない一心で、口先だけの思い込みに生きているといった寸法。「信なくば立たず」も「責任もって解明」も、空虚な言葉遊びと自ら認めたら、必然的に自己崩壊に至ると知っているから、その言葉に酔うしかないが、付き合わされる庶民はたまったもんじゃない。
3面「復興費 5年1兆円台に急減 大型公共工事ほぼ終了」には「被災3県の知事や有識者からなる復興推進委員会が9日開かれ、年内に閣議決定する『復興の基本方針』の案を復興庁が示した」「被災地にとっては投じられるお金が年平均約3兆円から、21年度以降は3千億円ほどと一気に十分に位置に減ることになる。大型公共工事による『特需』も期待できなくなる」(本文引用)とある。これは以下記事と関連するのか。過去を次々に清算していく強引さを感じる。
☆「経済対策、事業規模26兆円 災害復旧、景気下支え―GDP1.4%上げ見込む」時事ドットコム12月5日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019120500841&g=eco
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2019年12月09日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(11)

第3部「チェルノブイリ大惨事が環境に及ぼした影響」第8章「チェルノブイリ事故後の大気、水、土壌の汚染」と第9章「チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響」
第8章の冒頭には「大惨事から何年も経て、森林火災で発生した放射性エアルゾルが数百Kmにわたり拡散した」「放射性核種は地表堆積物、水、植物や動物中で濃縮され」「春季の増水でCs137やSr90が流出」「淡水生態系が二次的な汚染を受ける」「土壌中の放射性核種が垂直下方向に移動すると、根の深い植物が放射性核種を吸い上げ、地中深くにある核種を再び地表へ戻す」。「8・1 チェルノブイリ原発事故による地表の空気中の放射性汚染」では「大惨事の現場一帯で、地表の空気中におけるイオン、エアロゾルおよび気体の構造にきわめて重要な変化が見られた」とあり、事故1年後でも現場7Kmゾーンの空気中の電気伝導率が数百倍も高かったとしている。ベラルーシの項で、「地表付近の大気の放射能量は(略)(耕作、砕土等)など粉塵の舞い上がる作業のあとに著しく上昇する」「地表の空気中に」「放射性核種の量が上昇する」とある。また、「森林火災が大気中の放射能量に及ぼす影響は極めて大きく」「呼吸を通じて人の汚染も増大させた可能性が高い」「数年後には放射性のダストやエアロゾルからの二次的な放射能汚染が重要な因子となった」。カナダの例で、降下物中の核種にBe7がある。これは極超微量で肺がんを誘発する元素として知られている。ここで最も重要なのは「現代科学は、チェルノブイリ原発事故による各種の放射性核種がもたらす固有の放射線影響をすべて理解するには至っていないばかりか、中には記録さえできていないものもある」ということだ。
「8・2 チェルノブイリ原発事故による水界生態系の放射能汚染」のベラルーシ・ウクライナ・ロシアの項では湖沼の堆積物は年ごとに濃縮が進み、放射能量が増加した一方、春の増水で堆積物中のセシウム137が浮動し、可溶性のストロンチウム90は溶解して移動した。さまざま核種が個々の特性に応じて水や大気中を移動した。加えて土壌中の核種も、森林火災や農作業などの動きで複雑な挙動を示した。「8・3 チェルノブイリ原発事故による土壌の放射能汚染」では、土壌汚染は「牧草地より自然放牧地のほうが」高かったとある。「8・4 結論」では、現代科学が何も理解していないし記録さえ正確にできていないと批判。生物濃縮によって、一見無害な放射性核種においても、汚染された生態系に生息する生物が甚大な影響を受けることは避けられないと指摘する。
第9章「チェルノブイリ由来の放射能による植物相への悪影響」の冒頭は211頁の記述と重なる。「植物類とキノコ類への放射性核種の蓄積は、土壌、気候、個々の生物圏、季節、不均一でむらのある放射能汚染、それぞれの種や各個体群(亜種、栽培品種)などの違いに左右される。放射性核種にはそれぞれ固有の蓄積傾向がある。蓄積係数と移行係数は時間とともに、また場所により大きく異なるため、個々の植物類あるいは菌類についてそれぞれの地域や時期におけるCs137、Sr90、Pu238、Pu239、Pu240、Am241の実際の値を予測することは、不可能ではないにしろ困難である」というわけで、植物に明るくないブログ主には、よくわからない部分が多い。たとえば、203頁に「大惨事後、すべての重度汚染地域において、植物による放射性核種の取り込みが急上昇した」として、C14の取り込みが従来の5倍まで上昇した例を挙げているが、これがよくわからない。その他いろいろ指摘されているが、植物オンチゆえに割愛。214頁に10mRと130mRのγ線照射を比べて前者(100μSv)の突然変異発生頻度は6年で自然の水準に戻った一方、後者(1・3mSv)では事故後8年にわたって最大8倍高い状態が続いたとある。「9・4 汚染地域の植物類やキノコ類に見られるその他の変化」はこの章のまとめのようなものか。☆針葉樹林は混交林や落葉樹林に比べ、被曝の影響を最も強く受けている ☆汚染地域には代謝過程を撹乱された植物が認められる ☆30Kmゾーンでは慢性的低線量被曝でDNAの修復能力が徐々に失われるため、放射線に対する感受性を高める傾向にある ☆重度汚染地域の樹木は放射状の成長が鈍った。
そして「大惨事から25年経ったが、放射線が植物に及ぼす変化を包括的に把握できたか否かを見定めるには時期尚早である。大惨事がもたらした影響のすべてを理解するには、まだほど遠い」と指摘する。
   **その(12)へ不定期に続く**
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2019年12月08日

詐欺説やSDGsと違うけど柔軟に構えたい

再エネ発電は資本の下請けという論理があるが、こちらに引き寄せれば武器になるものを完全に手放してしまえばいうまでもなく相手の手の内に落ちてしまう。あたりまえのことだ。本日2面に「原発アピール 躍起だけど 『CO2と戦う』COPで業界訴え」中見出し「福島事故後しぼんだ機運」「廃止でも温暖化抑制試算も」がある。「地球温暖化対策として、発電時に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を出さない原子力発電は欠かせない『切り札』だと、原子力業界がアピールに躍起だ。だが、高いコスト、長期にわたる放射性廃棄物の管理をはじめ、原発に頼るには壁が多い」(本文引用)。21世紀初めごろ、温暖化対策には原発こそ決め手とばかりに原子力ルネッサンスで沸き立った世界の原子力業界だったが、2011年の福島第一原発事故で勢いは一気にしぼんでしまった。それまで温暖化CO2原因説は原子力業界の「陰謀」と勢い込んでいた反原発勢力も攻撃の矛先を見失いそうになる変化だったと言える。そしていま、世界の原子力業界はCO2原因説を原発有利に引き戻そうと躍起になっており、反原発運動の一部はCO2原因説詐欺を根拠に、原発業界の再エネ発電否定と同列に並んで、再エネ発電追い落としに励んでいる。なかには新電力を崩壊させる意図を自ら主張して、大手電力からの離脱さえ阻もうとする勢力さえある。ようするに両者は、福島第一原発事故前の構図を再来させようとする立ち位置で同一線上にあるといえる。一方で、対抗する再エネ発電も技術的に発展途上にあり、社会的にも運用上の不十分さがあることは否定できない。CO2原因説詐欺を根拠に再エネ発電を否定するのは、福島第一原発事故以前の論調を原子力業界が転換できないままでいるのと同じくらい、時の流れを受け止められない頑迷さに取り憑かれているのではないか。そんななか、2021年には石炭火力発電の多くが耐用年限を迎え、次々に運転停止するという。誰がなんのためにする主張なのか、記憶しておきたい。
2面の記事は開発中の「従来の10分の1規模の小型モジュール炉(SMR)」に言及するが、「グレゴリー・ヤツコ氏は『我々は後10年、15年で(温暖化の)問題に対処しないといけない。原発に頼っていては解決できない』」(本文引用)とする。また一方では、「みずほ情報総研や国立環境研究所による研究では、50年までに原発を段階的に廃止しても、気温上昇を1・5度に抑えられるとするシナリオが出ている。その場合、石炭火力は廃止、太陽光や風力など再生可能エネルギーが8〜9割を占める。木を燃料にするバイオマスとガスの火力発電にはCO2を回収、貯蔵するCCSと呼ばれる技術も活用する」(本文引用)とある。これに森林が吸収するCO2が加わえられているとしたら、健全な森林の育成が今考えられているよりずっと大きな価値を持ってくるはず。国や地方自治体が率先して山林や耕作放棄地を活用する方策もありうるわけで、原発に対置できる可能性が高まるのではないか。福島第一原発以降の世界的な流れの変化に乗り遅れた、事故以前への回帰現象は、こんな動きの足を引っ張る可能性があることを認識したい。日本政府が温暖化阻止など本気で思ってはいないことを、まずは認めるべきかと思う。
上記と関係ないけれど、12面の週刊誌広告が面白い。「逆説の政治オピニオン 批判に耳をふさぐ権力者には、こう対抗するしかない『今こそ安部総理を讃えよう』 妻とお友達を大切にする慈悲深さ。花見に反社会勢力も呼ぶ広い心。資料破棄しても仕事を滞らせない断捨離力。さすが歴代最長宰相」もうひとつ皮肉と読める見出しに「大勲位の遺言『安部君、個人的感情を抑えなさい』重鎮の証言『中曽根康弘にあって、安倍晋三にないもの』山崎拓&村上正邦」死ぬとどんな人でもここまで讃えられる。でも生きているあいだに「讃えよう」なんて言われる人は幸いか。いや、不幸のどん底の人か。この頃の首相の表情は、喜んでいるというより泣いているように見えることがある。周囲が必死で担ぐものだから、いやでも権力の座にしがみついているようで、「ぼくちゃん、いい加減に辞めたいよう!」と心で叫んでいるのかと思ってしまう。気持ちの奥底では「ねえ、はやく改憲やろうよ」と駄々をこねているような。ただの個人的空想だけど・・・。
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2019年12月07日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(10)

第2部:第7章「チェルノブイリ大惨事後の死亡率」
冒頭に「ウクライナおよびロシアの汚染地域における1990年から2004年までの全死亡例のうち、3・8%から4%がチェルノブイリ大惨事に起因することが詳細な研究によって明らかになっている。この事故の影響を受けた他の国々で死亡率が上昇した十分な証拠がないことは、放射性降下物の影響がなかったとの証明にはならない。1990年より今日まで、リクビダートルの死亡率は(略)他の人びと[対照群]の死亡率を上回っている」とある。ここまで感想をまとめてきて思う。客観が基本の「調査研究報告」ではあるが、各章の執筆者の感性が、行間からじわっと滲み出すのを感じる。この章には、アレクセイ・ヤブロコフ氏の静かな怒りがある。大惨事から25年を経て、「ごく限られた調査を除けば、核降下物に曝された地域での死亡率について公式の出版物はない」という事実が執筆者の心を揺さぶるようだ。「7・1 出生前死亡率(胎児死亡率)の上昇」で「これらの影響は、全身の被曝線量がわずか5mSvといったごく低い線量によっても生じることがあるが、その理由はまだわからない」しかも「大惨事のはるか以前にも、大気圏内核実験の降下物に起因する出生前死亡率の上昇が認められた」とある。「5mSv」の根拠はウクライナの事例分析から「妊娠12週未満における5mSv以上の蓄積線量の被ばくとの関連が推測されている」という記述とつながっているようだ。ドイツでは「1988年の周産期死亡率は、予測値を7・4%上回っていた。この過剰はソビエト連邦から輸入した牛肉缶詰の摂取によると考えられる」とあり、出典も記されている。これを読んですぐ、小出氏の◯禁説を思い出した。日本のように狭い地域で政府が真剣に対応しなければ、汚染の拡散は防ぎようがない。そのことを感じた小出氏の発言だったと思う。近未来の現実を先に認識してしまった科学者の思いを、そのとき多くの人たちは受け止められなかった。ヤブロコフ氏の切実感はどうだろう。
次の「7・2 周産期・乳児・小児死亡率の増加」の「7・2・2 乳児死亡率」で、乳児の過剰死亡率が増えた可能性を想定しつつ「しかし、チェルノブイリ大惨事がなかった場合の仮想的な推移予測が不明のため、正確な過剰死亡例を算定することはいかなる研究でも不可能である」とあり、十分なデータを得られない歯がゆさがにじむ。「7・3 リクビダートルの死亡率」ではベラルーシの項で、「1986年に作業に従事した男性リクビダートルの死亡率は、1987年に従事したリクビダートルより高い」とある。初期の対応がいかに過酷なものだったかを物語っている。「7・4 総死亡率」では「セシウム137で55万5000Bq/u(15Ci/㎢)」というこれまでと違う表記の数字が出てくる。とにかくすさまじい汚染。そしてまた、福島大惨事のことを思う。
「第2部 結論」は冒頭で「(第2部で)これまで述べてきた個々の疾患の発生率と罹患率をもってしても、チェルノブイリ原発事故の影響を受けた地域における住民の健康状態の全貌は依然として見えてこない」と書く。さらに「チェルノブイリ大惨事は、世界の医療[現場]に新しい用語群をもたらした」として183頁に以下のように記す。
☆︎自律神経循環器系失調症 ☆長寿命核種の体内取り込みによる各種臓器障害症候群 ☆上気道の急性異物吸入症状(ホットパーティクルなどの放射性核種の吸入と関連がある) ☆チェスナット(栗の葉)症候群(略)。眼球脈絡膜の特殊な形態の障害。
☆マークで特記した以外では(a)原爆ぶらぶら病と呼ばれる症候群 (b)初期「チェスナット症候群」または「網膜格子様変性」と呼ばれる症候群。その他疾患群に「子宮内被曝」「チェルノブイリ・エイズ」「チェルノブイリ・ハート」「チェルノブイリ認知症」
大惨事が人々の健康に与えた影響について複合的な全体像を突き止めるには、第1に以下を実施する必要がある」として、
☆医学的・生物学的・放射線医学的な研究の拡大 ☆内部被曝線量と外部被曝線量、また各種放射性核種の影響ごとに再現。正確な被ばく線量を同定する ☆汚染された行政区域の大惨事前後の月別医療統計を比較分析する。
次に、住民医療関係者に次の兆候について注意を喚起する。 ☆現在と86〜87年の被ばく線量には相関性がない ☆低レベル汚染地域居住者の集団被曝線量が増え続けている ☆汚染地域の居住者の多くで個人被曝量が上昇している ☆異なる発がん物質への被曝でそれぞれ潜伏期が異なるから、がん(皮膚、乳、肺等)の進行に20年の潜伏期間があるとの予断を捨てること。以上、重要な指摘と思うが、教訓は顧みられていない。
   **その(11)へ不定期に続く**
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2019年12月06日

惜しい人がいなくなり惜しくない人は・・・

昨日の1面に「中村医師 銃撃され死亡 NGO代表 アフガンで活動中」の記事。危険地帯での活動だっただけに、常に紙一重の環境下だったとはいえ驚きを隠せない。「今年10月、同国のガニ大統領から自由に入国できる名誉市民権を授与されたばかりだった」(本文引用)とあるので、逆にこれが災いしたのか、とも思ったが、不確定なことを言っても仕方ない。感想はもっと後に書きたい。このごろの新聞記事は、真芯に当てる直球勝負の感触が少なくなっている。それゆえか、記事の奥を探ろうとすると不穏な空気を感じて、気持ちが微妙に揺れてしまう。不思議なものだ。まさかこれが「情報操作」の典型的やり方か、などという思いが湧き上がる。記事の奥になにかしら記者が描きたい真実が潜んでいるのを感じるが、紙面の裏側にあやかしが宿るかのように、表面の薄膜がその中身を異様に歪める。中村氏の記事の下に、「5輪『国支出1兆円超』 検査院集計 公表予算額の4倍」がある。「会計検査院は4日、2020年東京五輪・パラリンピックの開催事業に関する国の支出が約1兆600億円に達しているとの集計結果を公表」「来年の五輪・パラリンピックにかかる費用は、国の支出のほかに、東京都が約1兆4100億円、組織委が約6千億円を支出する予定」「今回の検査院の検査結果を加えると3兆円を超えることになる」(本文引用)。トイレのように臭い水泳場。高い放射線が測定される地域を聖火が走り、地獄の猛暑が襲う。観客を含めた全員の忍耐が試される大オリンピック。最初に公になった数字は7300億円だったとか。それが膨らみ続けて3兆円超。福島事故現場から遠いから大丈夫、なんて誰か言ってたっけ。招致をめぐる買収疑惑が噴出して風向きが一気に変わった人。仏司法当局に身柄拘束される可能性があり、怖くて海外渡航できなくなったややっこしい人。
ややっこしい人脈はいまも連綿と続いている模様。五輪記事の下に「バックアップ 菅氏『行政文書でない』 データあっても開示は不必要 桜を見る会で見解」がある。バックアップデータは行政文書じゃないので「職員が電子データを削除した時点で廃棄したとみなしている」(本文引用)と居直り全開。もう屁理屈こねるしかなくなっている。それなのに、会期末が迫り、首相が責められてボロが出る可能性がなくなり、「やった、逃げ切り成功」なんて声が与党内部で公然とささやかれ始めているとか。世も末だ。ところでこの1面記事の署名記者は「安倍龍太郎」というらしい。もしかして皮肉? 関連で4面に「『政府見解 全くの間違い』 桜を見る会 バックアップデータ 専門家が指摘・批判」がある。政府はぐちゃぐちゃと言い訳しているが、根拠がないのは明白で、専門家は「(バックアップであっても)資料請求が来ているのだから、出さなければいけない義務が発生する」(本文引用)と指摘する。それを首相は、「シュレッダーの空き状況や、担当である障害者雇用の短時間勤務職員の勤務時間などの調整を行なった結果」(本文引用)などと発言し、「れいわ新選組」の船後議員から批判される。首相はいま、適切に言葉を選ぶ力も喪失しているようだ。それゆえ、予算委での質疑応答に耐えられる状況にないのだろう。それを周辺が懸命に支える。彼が首相でいることで利益を得る連中が寄ってたかって持ち上げる。しかし、「7年近く政府のスポークスマンを務めてきた菅義偉官房長官の発信が、大きくぐらついている。『桜を見る会』をめぐり、場当たり的になったり、答えに窮したり」「官邸関係者からも『質問への答えがかみ合っていない』との声が漏れるようになった」(本文引用)
てっぺんグラグラ。周囲もグラグラ。そのグラグラのまま、3面「日米貿易協定を承認 来月発効 農業支援積み増し」の仕儀。4日の2面「『成果』強調 疑問は放置」の中見出し「『第2段階』も米に主導権」には、来年11月大統領選までは交渉本格化の機運は高まらない見通しだが、再選されたら状況は変わる。(2期目は)「日本は極めて困難な事態に直面するだろう」(本文引用)と米自動車関連筋まで言う始末。「今回の合意で終わり」という政府交渉関係者の言葉は、やっぱり「再選なし」との読みが言わせているのか。あちらの動きもなんだか虚しいなあ。
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2019年12月05日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(9)

第2部:第6章「チェルノブイリ大惨事後の腫瘍性疾患」 その3
(8)を書いていて気づいた。「調査報告」の(4)からは「第1部:第2章」ではなく「第2部第2章」と書くべきだった。第2部は第2章から始まる。後日訂正の予定!
ここまで書いている間に、古い資料を漁っていて2年前の12月21日付朝日新聞の切り抜きをみつけた。「チェルノブイリ事故直後のサミット 『反原発』恐れたG7 声明、『懸念』削除 外交文書公開」というもの。事故は1986年4月26日に起こった。そしてG7はその8日後の5月4日に東京で開かれた。議長国は日本で中曽根康弘が議長。「4月29日、外務省は在外公館に宛てた公電で『仮に炉心溶融、爆発といった事故であれば、深刻な影響を我が国原子力政策にもたらしうる』と明記。サミットに向けて5月1日に作成した『ソ連原発事故対処方針案』では『原子力発電を推進することの必要性を再確認する』という基本方針を固めた」「政府は事故を機に反原発に世論が振れることを懸念」(その結果)「採択された声明からは放射能の危険性について指摘した一文が削除され」「原発については『将来ともますます広範に利用されるエネルギー源』と位置付けた」とある。これの取りまとめに奔走したのがG7議長中曽根康弘。チェルノブイリ事故対策に彼は重要な役割を果たしていた。
本文に戻ると、冒頭に重要な指摘がある。“いくつかの国際機関が1986年から2056年の期間で、発生する致命的ながんの症例数を9000〜2万8000例としている。だがこれはリスク係数と集団被ばく線量を過小評価しており、これまで述べてきたデータに基づいた試算はもっと多くなる。「多くの放射性同位体が安全な程度にまで減衰するのに半減期の10倍を経過する必要がある」”という指摘。そして「6・1 腫瘍の総罹患率の上昇」で、データを駆使してその実証を試みる。示されるグラフや表は、たしかに対照群と比較して有意な差があることを示している。「6・2 甲状腺がん」は多くのページを費やして検証する。「6・2・1・4 その他の国々」でフランスの状況が示されている。フランスは自国の被った影響を過小評価しているが、本書はこれに反論する。6頁の「図5・1」は4月26日から5月6日にかけてヨーロッパ全土を襲った放射性の気体とエアロゾルの分布を示しており、147頁の分布図6・13はよりわかりやすく示されている。そして1975年から1995年にかけて甲状腺がんの発生率が数倍になったことが指摘され、「にもかかわらず、原子力大惨事との関連は公式に否定された」とある。G7東京サミットでいち早く団結した原発マフィアたちは、こうして意志を貫いた。ドイツはこのときどうだったか。目を皿にすると、このあとの「白血病」の項で出てくるがわずかに3行。156頁表6・16でかなり目立つ。その一方、フランスが信じられないほど目立たないのに気づく。
「6・2・2 チェルノブイリ原発事故による甲状腺がんの今後の予測」では、「大惨事発生後第2日と第3日に、多くのヨーロッパ諸国が野菜と牛乳の摂取に厳しい制限を設けた」「チェルノブイリに起因する甲状腺がんの増加やその発生形態は、広島や長崎の参照データとは大きく異なる。チェルノブイリの甲状腺がんは(1)ずっと早く発現し(被曝後10年ではなく3、4年で)(2)はるかに侵襲性が強く、そして(3)被爆時に子どもだったものだけでなく成人にも発現する」「甲状腺がんが1例あれば[その背景には]他の器質性甲状腺障害が数百例存在する」とする。5章では「1例あれば、他の種類の甲状腺疾患が約1000例」と書かれている。
「6・3 血液のがんーー白血病」の冒頭には重大なことが書かれている。要約すると、大惨事後3年間、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアでは機密主義とデータの組織的改ざんによって白血病症例はいかなる公式登録簿にも記録されなかった、という。広島と長崎の経験では原爆投下数ヶ月後に確認され、罹病率のピークは5年後。被曝から発症まで数カ月から数年。発生率は被曝6年目から8年目までに最大になる、にもかかわらず、データがほとんどない。「6・2・4 その他の国々」でも、データはそれほど多くないように見える。関連して「6・4 その他のがん」の冒頭には「乳がん、肺がん、およびその他の主要の発生数増加については、断片的な報告が数多く存在する」と、これも微妙な表現でデータの過少を訴えているようだ。「6・5 結論」はUNSCEARの不実を暴露、そのことを切実に訴えている。
   **その(10)へ不定期に続く**
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2019年12月04日

「聞く」と「読む」と「書く」の違い

1面「天声人語」に注目。世界の15歳が挑んだ国際調査PISAの問題でイースター島の森が消滅した原因を問う出題があった。ネズミの食害か、住民が乱伐したせいかどちらが正しいかを論じさせ「『両説とも不十分、さらなる研究が待たれる』も正解とされた」「筆者の世代は教室で出会うことのなかった設問形式で」「03年調査で日本は大きく順位を下げ、激震が走った。中国都市圏が好成績なのはなぜか、日本のデジタル教育はなぜ遅れるのか。結果に振り回される必要はないが、今後はそんな究明が欠かせまい。自分が学生時代に受けた試験との『哲学』のあまりの違いに考え込む。学ぶとは何なのか。根源的な問いを突きつけられた」(本文引用)とある。で、紙面トップを見たら「『読解力』続落 日本15位 15歳対象国際学力調査 デジタル設問 情報精査に課題」がある。18年は順位が大幅に下がり「ネット上の多様な文章を読み解く力や、根拠を示して考えをまとめる自由記述形式が弱い。思考力や表現力が伸び悩んでいることを示す結果だ」「文部科学省は『複合的な要因』とした上で、日本の生徒がコンピューターを使った回答に不慣れな点や、SNSなどの普及で長文に触れる機会が減っている点などを挙げ、『言語環境が急速に変わってきている』としている」(本文引用)。「天声人語」はこのことを受けて書かれたとわかった。
これって、ブログ主がほぼ毎日やっている作業に関わることじゃないか。新聞を読んで、ネットで情報をかき集め、自分の考えを紡ぎ出す。そこで実感するのは、文章にするということは、ただ読んだだけより少し重たい思考をせにゃならぬ、ということ。ただずらずら書いていると、おおむね矛盾を生じる。考えている本人が元記事に影響されすぎ、自分の文章に引きずられ、意味不明の言葉を無意識にすっ飛ばして都合のいいところだけ手繰り寄せて書いたり。「これはなんという意味かしら?」という自問がめんどくさくなるせいだろうか。ときには途中まで書いた文章を破棄し、頭を切り替えるためにパソコンから離れて部屋中をうろつき、体操をし、気分転換する。一番の典型は「全球凍結と氷河期」の記事だろうか。英BBC放送の番組を見たのは10年近く前のこと。それまで「地球温暖化」説にかなり近かったブログ主は、「こりゃ説得力ある。温暖化なんぞより寒冷化の方が正しいかも」と思い、(その1)を書いた。かなり前のことなのではっきり覚えていないが、書いたもののなんとなく不十分に思えて、続編を書かないといかんと考え、資料をあちこち漁って、ふと気づいた。「寒冷化説もなにやら不十分じゃないか」と。それで「全球凍結と氷河期」の続きは休止。ようやく次に書いたのは何年も経ってからだった。そのくらい長く、考え方をまとめられなかった。自分なりの結論は「天声人語」にある「両説とも不十分、さらなる研究が待たれる」とまったく同じになった。関連で温暖化CO2説で詐欺行為があったことをもとに温暖化CO2説全体を葬り去ろうとする言説にも、陰謀論に偏りすぎる不十分さを感じた。「どの説が正しいかを選ぶ」のに「主観的な基準で選ぶ」という早計さを感じたのだ。
話がかなり個人的になったが、「国際学力調査」の結果に対する文部科学省の見方が気になる。「複合的な要因」が原因か。「言語環境が急速に変わってきている」のが原因か。そうじゃないだろう。英語民間試験導入とか数学や国語の「記述式」試験実施で見られるように、画一的な答えを要求する社会環境では、「どの説が正しいか」を選ぶのに「主観的な基準で選ぶ」のさえ否定され、要求にかなった答えのみが正解となる。そんな環境下で育てば、「言語環境が急速に変わってきている」のではなく、2つあれば2つの資料からしか選べないようになる。これも単純化しすぎかもしれないが、2つの材料から3つも4つもの方向を選び出す力が育ち、とりあえず方向をひとつに決めなければならないときには、それらのなかから当面の判断をするくらいの柔軟さが必要になっているのではないか。その判断をするには、異論に分け入る労力が重要になる。まず論証を心がけ、結論を急がないこと。ただし、論理の相対化で芯を失わないのも重要と思う。難しいね。
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2019年12月03日

東電福島第一原発事故現場のいま

1面に「デブリ取り出し 2号機から 福島第一 21年内に」がある。いよいよデブリ取り出しが始まる。炉心溶融した1〜3号機中でも2号機は内部の調査が進んでいるほうで、格納容器下部にあるデブリらしきものをロボットでつかめる状態にあるとか。試験的にまず取り出すのは数グラム。凄まじい放射線を放っているし、水中でいちおう形を成してはいるものの、掴んだらすぐボロボロと崩れる可能性もあり、取り出してどこへどう収容するか見当もつかず、取り出し作業はこれまで以上に困難を極め命がけ。ポロっと落としたらどうなる。「1号機はカメラの調査でデブリを直接確認できておらず、3号機はデブリがあるとみられる格納容器下部に深さ6メートル以上の水がたまっている」「取り出しを終える時期や、1、3号機の開始時期は示していない」「(廃炉工程表の)改定案には新たに、31年末までに1〜6号機のすべての使用済み燃料プールからの燃料取り出し終了を目指すことも盛り込んだ」「4号機はすでに取り出しを終えており、3号機も今年取り出しを始めた」(本文引用)とある。これまでも何度か指摘しているが、凍土壁なんてものを作るからややこしくなる。デブリを取り出して更地にして、なんてことを考えるから、現場作業に無理がかかる。当初の段階で矢板を打ち込み、内部を粘土で囲み、炉心には鉛でもホウ素でもなんでもぶち込んで、空冷式の冷却方式なり汚染水循環で冷却するでもいい300年かけて、放射能が減衰するまで待つ方がどれほど無理がなかったか。TVドラマ「チェルノブイリ」ではホウ素が使われていたっけ。じっさいには鉛も大量に投入したらしい。「調査報告 チェルノブイリ被害の全貌」は投入された鉛による環境被害を指摘する。基本的に民間の事故だから国費を投入するには無理があるとかなんとか、理屈をこねて原子炉を殺すことができなかったツケが回ってきている。東電自身、直近に迫った株主総会で廃炉にしたら株主から了解が得られないからと反対があったと記憶する。ホウ素や鉛を投入した原子炉は2度と復活できず、まさに「原子炉を殺す」のに等しかったので、これらは「(原子炉にとって)ポイズン」と呼ばれている。原発維持に奔走する政治家や官僚や電力会社など原子力界隈の「延命願望」が民主党政権の矢板打ち込み案を寄ってたかって葬り去り、汚染水海洋放出とかデブリ取り出しとか、今の困難な事態を生み出している。
困難な事態としては、排気筒切断作業も壮絶なものになってきた。1、2号機建屋脇の排気筒(高さ110メートル強)は、事故時の1号機ベント実施によって凄まじく汚染されている。8月1日から筒頂部に設置した切断装置で少しずつ切断を開始していたが、11月27日に筒を輪切りしているとき、回転ノコギリの1台が切断面に挟まり抜けなくなってしまったという。立木の切断ではよくある現象で、切断途上の筒上部が切断面にのしかかって刃が抜けなくなったようだ。筒の輪切りはすでに8割超進んでいて、残りは1・3メートルというから下記記事の写真の最上部青い筒の部分の8割超ということになる。つまり高さ110メートルのうち最上部8メートルを切断終了した時点でトラブルに見舞われ、ニッチもサッチもいかなくなったということのようだ。3人の作業員が充電式電動工具(ディスクグラインダー)を持って鉄製カゴに乗って約100メートル上空の作業現場に移って作業する。完全重装備の防護服を着用する作業は過酷を極める。「排気筒解体は頂部から本体を2〜4メートルずつ輪切りにし、2020年3月までに高さを半分(約60メートル)にする計画」(本文引用)というが、現状でまだ頂部から10メートルも進んでいない。筒頂部の装置へ燃料補給するのに約2時間半かかり、作業員は最大0・2ミリシーベルト被曝したとある。作業員たちの終生に渡る医療的フォローはしっかり行われているのだろうか。とても気になる。
☆「排気筒を人力で切断へ、装置トラブルで 福島第一原発」東京新聞11月28日
https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/1208?fbclid=IwAR15_-FZay-3dIDXXNqNDlUKbrTsYzm-teUUCCE66ybozdwsRRRfDdmH2MM
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2019年12月02日

群がるコバンザメが浮き足立つ

4面月刊誌広告がすごい勢い。トップに「米中『形勢逆転』が招く乱世■貿易戦争は『裏切り』の結末へ 中国の不公正な貿易慣行を正すはずだった米国は、自らの劣勢を悟り、『金めの話』で手打ちへ。中国は貿易交渉で一層強気となり、日欧にもしわ寄せがくる。トランプ再選の我欲が世界経済をかき乱す」があり、続いて「与党・官僚『安倍離れ』の早足■徐々に佗しき長期政権の『晩節』 『モリ・カケ』と『桜の会』は似た構図だが、周囲の態度は違った。官邸も官僚も『何としても安倍を守る』という姿勢が見えない。与党からも援軍はなく、政権の遠心力は予想より早く強まり始めた」。「安倍政権も触れぬ『日米地位協定』ーー米軍機『違反横行』でも沈黙の官邸」。「『桜』騒動にみる安倍長期政権の虚しさ」。「巻頭インタビュー『終わりの終わり』を迎えた安倍政権ーー藤井裕久(元財務大臣)」。「情報カプセル●ホルムズ海峡周辺への海上自衛隊派遣『検討』のまま実施しない可能性」。さらに「JR東海がひた隠す『リニア・リスク』ーー実用技術『完成』は嘘八百」。「反省なき関西電力『首脳人事』の行方ーー事件『幕引き』と組織防衛の不埒」。「メガ銀行で始まる『預金者切り捨て』ーー口座維持手数料『導入』の本音」。「日米貿易協定『ウィンウィン』の大嘘ーー米国『隷従』で売国の安倍政権」。「再び日本を狙う『空売りファンド』ーー株価『過大評価』企業を脅かせるか」。最後の「危ない『再生医療』が蔓延る日本ーー科学誌『ネイチャー』が鳴らす警鐘」も、なにやら胡散臭い。引用するだけでこんなにたくさんの情報が目に入った一方、いつも元気な週刊誌は低調。12面は「徹底解剖 安倍晋三『宣伝工作隊』の素性 『桜を見る会』に芸能人を集め、ネットを監視し、反乱分子を粛清する」の記事がちょこん。13面では「大特集 これから3年 この国で起きること 経済はスコンと落ちる/コンビニは半分に/AIで失業者が急増/年金受給はさらなる繰り下げ/どんどん働かなくなる日本人」が小さく怪気炎。
やはり「米中形勢逆転」の印象が強い。「貿易戦争は『裏切り』の結末へ」に関心大。少し離れた記事「米国『香港人権法』で激震の中国■貿易戦争の具にされる『市民デモ』」と関係がありそうだ。「裏切る」のは米か。記事からはそんなふうに読める。いよいよ米の落日が鮮明化してきたか。でも、すぐさま没落するとは考えにくい。悪あがきが続き、世界は延々それに付き合わされ、人的・経済的に莫大な損失が積み重なる。それでもその先の未来を見通す目を持たないと、望むべき明日は訪れない。「与党・官僚『安倍離れ』の早足」の記事は、たしかにそれを予感させるものの、首相出席の予算委員会を徹底的に拒否する愚策横行。次々に出てくるボロは、隠そうとしても隠せる状況を超えている。今日の我が家購読紙は、2面「桜を見る会 疑念膨張 きょう参院本会議 首相答弁へ」中見出し「首相・自民党など半数推薦 地元優先の『私物化』」「名簿要求当日に内閣府が廃棄 重なる森友問題」「夕食会 後援会の収支なし」と特集しているが、なんとなく勢いがない。読めば分かる通り、一つ一つが政権崩壊を必然するほどの不祥事だらけ。すべてを丁寧に検証していたら、「桜の記事を見る新聞」になってしまう。これもあちらの作戦か。となると読者は記事の合わせ技で事実を読み取らないといけなくなる。
米中貿易戦争は「香港」を捨て石にする可能性がある。日欧が被る不利益は莫大なのもになる。そんなとき日本では長期政権の末期が迫り、無策ハリボテ政権のツケが、日本経済をスコンと落ち込ませる。与党・官僚の逃げ足が速くなったのには、直近に迫った破局を背負いたくないゲスの心情が見え隠れする。日米貿易協定「ウィンウィン」の関係も、神通力が通じるのはあとわずか。「日米地位協定」に触れられない政権の実施するホルムズ海峡派遣は、けっきょくやらない可能性さえでてきた。たしかにこのままではジリ貧しか見えてこない。というわけで、さすがのコバンザメ集団も、危険を察知して離れていくか。でも、もう遅いかもしれない。美味しいものを持って逃げ得はできない!
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2019年12月01日

読書「チェルノブイリ被害の全貌」(8)

第2部:第5章「チェルノブイリ大惨事後に見られたがん以外の各種疾患」その3
(7)でそのままにしてきたことがある。「5〜15Ci/㎢[=18万5000〜55万5000Bq/u]」の意味だ。Ciはキュリーという放射線の古い単位。Bqはお馴染みのベクレル。CiとBqは換算できるとか。でも「Ci/㎢」と「Bq/u」では㎢とuで広さの単位が違う。なんでかと思ったら、1Ci=370億Bq。広さの単位が同じだと、Bqの数値がでかくなりすぎる。だからBqはuで表しているんだと理解した。見易い数字にすると1μCi=37000Bq。手持ち資料を漁って福島原発事故直後の実測値「90μCi/u」を換算してみると「3330000Bq/u」になった。これで「調査報告」に出てくる数値がすこしわかった。福島原発事故に係る数字は、いったいどこでどのように試料を採取し、どんな測り方をして検出した値なのだろう。参考にしたのは全ベータの測定値。放射能雲の影響を受けていない地域での数値と比較したらどんな関係になるのか。それはこれから個人の能力の範囲内で理解していくことになる。「調査報告」の数値はβ線かγ線か。後に「セシウム137で55万5千Bq/u(15Ci/㎢)」との記述が出てくる。それとの違いは不明。
「調査報告」は「5・7 骨と筋肉の疾病」に移る。この節の記述は限定的で、「骨と筋肉の疾患は取るに足らない問題ではない」とし、これから新たな資料が公開され、追加のデータが得られることは間違いないと書く。「5・8 神経系と感覚器の疾患」には「中枢神経系には放射線によって特に損傷を受けやすい部分がある」とする。要約するにはこれも医学的な理解が必要で、ブログ主の力に余る。感覚器の疾患についても影響があるという。そのなかで、白内障は福島原発収束作業にかかわる作業員に増加の傾向があるとの指摘があったと記憶する。ベラルーシの項で「15Ci/㎢[55万5000Bq/u]を超える汚染地の地域でよくみられる」との記述がある。かなり高い汚染地域のデータである。結論として「様々な認知的評価項目[認知能力]に影響する中枢および末梢神経系の気質的な障害が、チェルノブイリの電離放射線に直接関係していることはほとんど疑いがない」としている。それにしても、ここに至るまででも、無数の疾病について、なんと徹底的に調べたものだと思う。放射線・放射性核種が影響しない疾病を探す方が難しく、内部・外部を問わず全身くまなく多様な影響が出ると考えるしかない。そして、放射線・放射性核種の挙動を知るほどに、総被ばく線量だけで直線的に疾病を括れないのを皮膚感覚で感じるようになる。また、その挙動があまりに多様で複雑で、読み解く力の不足を感じて怯みそうになる。
「5・9 消化器系疾患とその他の内臓疾患」の冒頭に「消化器系の疾患は放射能汚染地域における主要な病因の1つだが、これらの疾患を放射線が引き起こしたものと確信をもって分類するのは、ほかの病気より難しい。しかし、汚染地域で収集したデータは、そうした推断の確かな根拠を示している」とあり、「結論」で「チェルノブイリ由来の放射線による被曝が原因で、消化器系疾患の発生率が上昇していることに疑いの余地はない」とする。ストロンチウム90については、とくに詳細な記述がある。個別に詳しく知られている部分と、まだ不十分な部分があるということだろう。以下「5・10 皮膚と皮下組織の疾患」「5・11 感染症および寄生虫症」と続くが、「5・11」の冒頭に「チェルノブイリ由来の放射性核種による汚染は、動物性・植物性を含む微生物相のほか、人間の共生生物(寄生生物や片利共生生物)に大きな影響を与え、われわれの生物学的な共生社会を一変させた」との記述には納得。これは11章で詳しく語られる。「結論」は「データは、危険な感染症の活性化と広がりを示している。これが病原体の突然変異による感染力の強まりに起因するのか、人々の免疫防御機構が損なわれたせいか、あるいはその両者の組み合わせによるものかについて十分な答えは得られていない」とする。「5・12 先天性奇形」はかなり複雑で、「大小あわせて数千種類」と書き、「結論」には「まだよくわからない事実」と書かれている。「第5章」の「結論」は、「ほぼすべての生理系が悪影響を被り、障害から死亡まで様々な結果が現れている。こうした疾患群を社会的経済的要因や行動性ストレス要因に帰すことは不可能だ」とする。不十分さを自覚する記述だからこそ全体的指摘として納得できる!
   **その(9)へ不定期に続く**
posted by ガンコジージ at 09:37| Comment(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする