2020年11月03日

ゆがんだ「電力改革」が進む

9面に「福井の原発3基 再稼働見通せず 中間貯蔵施設受け入れ先探し難航」の記事。老朽原発の運転延長は4基が認められ、3基は関電美浜3号機と高浜1、2号機。1基は日本原電の東海第2原発。東海第2は2018年に規制委が20年延長を認めたが、県と30キロ圏の6市村から同意を得られていない。関電の3基は、「再稼働では立地自治体の同意を得ることが通例」「だが関電にとってハードルとなるのが、最終的に同意が必要な福井県が条件に掲げている使用済み核燃料の中間貯蔵施設の『県外』候補地の提示だ」(本文引用、以下同様)。候補地選びは難航しており、青森県むつ市の中間貯蔵施設を関電が共同利用する方針が出されたが、むつ市が反発し、「福井県の地元自治体から施設の誘致を求める声も上がるが、今のところ『県外』も『地元』も動きははっきりしない」。関電には、「金品授受問題で失った信頼の回復」という重石がある。「再発防止を進め、地元自治体だけでなく消費者からの信頼も取り戻したい考え。ただ子会社の金品受領なども新たに発覚し、理解を得るには時間がかかりそう」。交渉が長引けば稼働できる年数が減っていく。そのうち再稼働しても採算が取れない状況になっていく。無理に再稼働しても、最後の難関「廃炉」作業が残る。結論を先送りして後の経営陣に全部お任せする。そんなので大電力会社の経営陣としてふんぞり返っていられるなら楽なもんだと言わざるを得ない。原発が夢のエネルギーとして華々しく登場したとき以来、我が世の春が続いてきたけれど、最後の店じまいをする役目はだれも背負う気がない。
危機に瀕した原発を救うかのように新設されたのが容量市場。電力の安定供給の名のもとに電力消費者の懐を狙い、結果として新電力の経営力を奪い、最終的に4年後には原発を再稼働していないと電力供給が逼迫する状況を生み出す。新電力があわてて大規模太陽光発電などに投資する動きも出ている。待ったなしの強行が受け入れられるよう、FITと違って目立たないけれど、電力消費者にはボディーブローのように効いてくる仕組みといえる。以下のところに危機を伝える「声明」がある。容量市場とは「将来的な電源不足に備えて、日本全国で必要な電源容量の確保のために、稼働できる電源にその設備容量の対価を決めるための市場だ。この市場の費用は全ての小売電気事業者、送配電事業者が負担し、その料金は一部を除き、電気料金に転嫁される」「入札は電源単位で行われ、落札すると、約定価格に応札容量と経過措置係数(2010年度末以前に建設された電源に対して支払額を減額する。2024年は58%、毎年7%加算し、2030年に終了する)をかけた交付金がもらえる。たとえば100万kW級の原発の場合、定期点検などを考慮した80%の設備利用率で応札したと仮定すると、66億円が交付金額となる」。新電力はいま、卸電力市場で電気を調達しているが、そのため割高の売電単価になっているが、様々な経営努力で単価を抑えている状況。「容量市場は原発や石炭火力からの電気を使いたくないとして、新電力に切り替えた消費者に対しても原発や石炭火力の維持費を徴収する」。そのため新電力の負担が大きくなり、「新電力は壊滅」「石炭火力・原発が維持され」、エネルギーシフトなど消し飛んでしまい、旧来の大電力独占が復活することになる。さらに下の記事は過去の「密約」を語る。2012年1月「電力システム改革専門委員会」が発足。議論の中心は、「発送電分離」を実行するかどうかだった」。電事連は抵抗。翌年1月、茂木経産大臣が電事連八木会長に詰め寄る。「大きな改革を実行することにした。懸念があるから前に進めることができない、今はまだ決められないでは、困る」。そして電力業界は「『電力システム改革』をしぶしぶ受け入れた」とある。背景には政権との「密約」があったとされている。「発送電分離とのバーターとして、『原発再稼働の約束が結ばれた』と自民党の関係者はいう」!
☆「【原子力資料情報室声明】容量市場、引き返すなら今だ」原子力情報室9月15日
https://cnic.jp/9452
☆「『発送電分離』決定の裏で、交わされたある『密約』」PRESIDENT:2013年3月4日
https://president.jp/articles/-/8586
posted by ガンコジージ at 11:29| Comment(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする