2010年08月29日

米、イラク撤退・・・「冬の兵士」を思い出せ

いよいよ米軍がイラクから撤退するんだという。ぜんぜん居なくなるのではなく、イラク軍を訓練する部隊は残るのだという。「イラクの自由」作戦が終了なんだという。
CNNを覗いてみたら、特派員がものすごく楽観的な報道をしていた。帰国する米兵の発言として、「以前は危なくて仕方なかったけれど、いまはこうしてバスケットボールに興じることができる」と語らせていた。
ラマディにルポにはいる。「以前この町はものすごく危険だった。この通りを歩くのさえ命の危険を感じた」そして、子連れの市民が通り過ぎる映像を映していた。同時に安全になったという町並みを見せてくれた。ぼろぼろに破壊された町が広がっていた。
町の有力者のインタビューはもっと正直だった。彼は「米軍は撤退時期をもうすこしだけ延長してほしい」と、不安そうな顔で語っていたのだ。
抗議する人々の姿が目立った。CNNの特派員は5年前の映像と比べてこんなに良くなった、とほこらかに語っていた。
しかし実態は本当にどうなんだろう。爆弾テロはとどまることを知らず、一方でイラク治安維持部隊は、人数は揃えどもまったく役立たず。
政府はまったく機能していない。イラク議会は混乱状態にある。特派員が5年前7年前と比較してこれほど良くなったと語るそのすぐあとから、現状を訴える涙がある。現状に対する怒りがあふれてくる。
「もう、ここには居たくない」「サダム・フセインの時代には自由はなかったが、ルールはあった」と痛切に語る人々がいる。特派員は熱を持って5年前7年前を語り、人々は8年前を語る。7年半の戦争のほころびが丸見えになっていく。
いったいブッシュの軍隊は、この国になにをもたらしたのか。どんな成果があったから撤退するのか。いやいや、そもそもいったいなにを根拠にして、この国をこんなにぼろぼろにしたのか。
大量破壊兵器? 「そのうち出てくるでしょう」「そんなのわたしに聞かれたって、わかるわけない」「自衛隊のいるところが非戦闘地域」なんてウスラバカなことを平気でノタマッテイタ総理大臣がいた。
理由もなんにもなかった。民主主義に反する独裁者のいる国だから、この国はぼろぼろにぶっ壊していい・・・そうか、ぶっ壊して涙だらけの国に変えてしまっても、前よりマシになったでしょ、というわけか。
しかし考えるなあ。「なにと比べたら、マシになったといえるんだい?」ってね。
米軍は撤退する。イラク治安部隊を訓練する5万人(?)の兵を残して撤退するんだという。撤収した軍隊はアフガニスタンへまわされるのだという。
先が見えるようだ。アフガニスタンは泥沼状態になっていく。イラクの治安は次第に悪化していく。気がつくと、イラクへの増派がふたたび実行されないといけなくなる。だが、アフガニスタンの混乱がそのときには大きな重荷になっている。
自分が吐く炎に焼かれてのたうちまわるサラマンダー。何年か先の未来には、敗北を決定的なものとようやく気がつくアメリカ国民がいる。経済は大混乱に陥っており、その影響は世界に及んでいる。
もちろん日本も例外ではあり得ない。巷には「なんにもしなかったのに、日本とは関係がないはずなのに、平和が好きだったのに、なんでこうなるの」と嘆き悲しみ、途方に暮れる人々があふれている。
撤退だけで平和がくるか。「冬の兵士」が提起したように、撤退後、アメリカとアメリカを支持した国々が、戦火で殺し尽くした人々に、焼き付くした大地にどんな償いをするかで、ようやく未来の平和を約束できる。それもはるか遠い彼方の未来に・・・。

2009年11月22日当ブログ「『冬の兵士』が提示する指針 4の1」より引用。
「イラク戦争は、虚偽の口実のもと、米国法および国際法に真っ向から違反して開始されました。兵員としての私たちには、違法な戦争に加担することに抵抗する義務、不法な命令に背く義務があります。」284頁
「運動にたずさわる人々は、私たちが撤退すればイラクは完全な無秩序状態に陥ると主張することがありますが、私たちが本書で提供する証言は、イラクはすでに無秩序状態にあり、その混乱は他でもない占領がもたらしたものであることを示しています。「われわれが壊したのだから元に戻すまでいるべきだ」との言い分は、一度壊れたら決して元には戻せないものについて釈明できません。また、壊されたあと、「もっと壊される」場合もあるという見方にも目をつぶるものです。」284頁
「私たちは知っています。戦争と占領を無期限に継続できるのは、兵士たちが指導者を問い質さず、戦闘を続け、明らかに違法で不道徳な命令に服従し続ける場合だけだということを。」285頁
「何百万人もの人々の語られることのない苦しみに対し、中東での米軍の駐留にどれほどの責任があるか、合衆国の国民に知ってほしい。そして、これらの人々に政府が賠償を払うことを私たちがなぜ要求しているか、理解してほしいのです。」285頁
posted by ガンコジージ at 09:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック