4面「表看板 経済を優先」の「安保・改憲へ野党にも触手」に「経済政策で高い支持率を得て、首相肝いりの安保・外交を推し進めていく。これが政権運営の基本戦略だ。『集団的自衛権までたどり着けば、日本の安全は50年は大丈夫だ』。普段はあまり感情を表に出さない菅氏は最近、周囲に熱く語った」とある。(以下「」内はすべて本文引用)
1面には「信頼の礎 壊しかねない」の表題で「首相は東京裁判を『連合国側の勝者の判断による断罪』と公言し、『歴史認識は歴史家に任せるべき問題だ』としてきた。日米同盟強化をうたう首相が、本質的には『反米主義的』であるとの受け止めが広がるゆえんである」と書かれている。
「米声明『失望している』」では、米はこれまで日本の首相の参拝に公式に反対したことはなかったが、今回は極めて異例の対応をした。「歴史認識をめぐる問題に慎重に対応するよう求めてきた。にもかかわらず安倍首相が靖国に参拝した」ことに「失望している」と表明するに至った、という。
ここで最も気になるのがアベ首相の本音、反米主義的指向性についてである。菅官房長官の発言にあるように、「集団的自衛権までたどりつけば・・・」の先を読むと、よく言われるアメリカべったりなどではなく、アメリカのクビキからハズレて軍事的に突出していく機会をうかがう、そのような意味での「日米は真の意味での同盟国になる必要がある」に辿り着くような気がする。アメリカと一緒に戦争するのではなく、米より先に突っ込む意図が見えてくる。
2面記事「安倍政権ちぐはぐ」の「『経済最優先』路線から変質」には、「米国の意向通りにはならないという思いがにじむ。米国の制止を振り切っての参拝は、そんな首相の『地金』をあらわにした」とあるのも、そんな意図の実在を感じさせる。
一方、このところ北朝鮮に対する経済制裁と同じ手法で国内を締め付けるやり方が、彼の戦術にあらわになってきている。電源3法交付金で地方自治体を締め上げてきたのと同様に、直近では沖縄振興予算を2021年まで毎年3000億円台確保、来年度は県側の要求を上回る予算を計上し、米軍普天間飛行場問題の決着を強要する。
☆「沖縄選出の自民5議員、辺野古移設を容認 石破氏と会談」(朝日11月25日)
http://www.asahi.com/articles/TKY201311250074.html
カネで横面を叩くやり方だ。震災復興、福島復興を名目に巨額のカネを東北に注ぎ込み、バブルの様相を演出しながら、カネはアブクとなって消え去り、庶民には届かない。
原発事故被災者を被曝の危険を顧みずに強制的に帰還させようとする。オリンピック景気を沸き立たせ、東北復興、福島第1原発事故収束作業への人員確保も危うい状況を作り出し、なおも「アンダーコントロール」などとうそぶいてみせる。
祖父の夢みた“絶対に負けない戦争をする国家”実現が最優先課題となっているのではないか、と思う。あらゆることが、その一点に集中・従属させられているのではないか。目標を達成するためには、いかなる犠牲も問わないつもりでいるのではないか。沖縄の犠牲も、原発事故の人体への影響も、“祖父の夢”の前では軽微なことと看做されているのではないか。そんな主観を感じる。
彼のやり方は中韓との危機を増大させ、米の意向を無視した軍事的衝突という不測の事態を招くかもしれない。その前にまず米を敵に回すことになるかもしれない。軍事衝突は計算外のところで起こる。彼のように、気分で舞い上がりながら行動するものがもたらす結果が、この国を最後的に滅ぼすことになるとしたら・・・。
2013年12月27日
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先の総選挙結果の責任の大半は民主党のだらしなさに起因しますが、自民党に票を入れてしまった人にも次回はよくよく考えて行動してほしいと思います。
映画評を読ませていただきました。丁寧でやわらかで、なるほどこういう書き方があるんだなあと、うらやましく思いました。
つい最近ネットでまとめて小津作品を見ましたが、「東京物語」とサイレントの「浮草物語」がよかったです。
いつかブログに書きたいと思いつつ、なかなか書く時間がありません。記憶力が落ちてきたし・・・トホホです。