2019年04月09日

中西会長の提言

7面に「経団連『原発運転延長を』 中西会長が主導、提言」がある。改めて提言といっても1月からこれまで発言してきた内容をまとめたというに過ぎない。しかし、彼の発言の真意を十分に吟味して対応する必要があるのはいうまでもない。1月から立て続けに発信してきて、それをまとめるかのようにこんな提言をする。なぜ周到な準備をしなければならなかったか。国民的議論と言いながら「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が申し入れた公開討論を、なぜ「エモーショナル(感情的)な反対をする人たちと議論をしても意味がない」(本文引用)と拒否するのか。この提言は政府が進めている「電力改革」よりさらに強く業界ペースの願いがにじんでおり、このまま通用させるにはかなり強引な手法をとるしかない。改憲を最優先する政権にとって、この重要な時期にこんな強引な難題を振り回されては迷惑になると考えなかったのか。原発輸出大コケのあと、18年11月19日の面談で世耕経産相は、中西会長に「このままでは事業を続けられません」と泣きつかれ、「もう少しがんばってください」となだめた。その経緯を語る下の記事には、「世耕の言葉に中西は複雑な思いを抱いたはずだ。日立と日英政府が結んだ覚書には『日本企業の出資者は日本政府が責任を持って集める』とある。経産省が役割を果たせていないことこそが、中西の悩みの種だった」(本文引用)とある。昨年10〜12月には株価が急落している。そのとき痛手を受けた輸出産業の傷は今も癒えていない。さらに今年の日米通商交渉では「為替条項」が議題に上るのは必至であり、アベノミ「為替操作」にブレーキがかけられたら、いよいよ輸出産業は追い詰められる。その危機感を背景にしないと、中西会長の提言の奥はみえてこない。
☆「民間に限界、万策尽きる 消えた原発輸出(ルポ迫真)」日本経済新聞2月14日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41217510T10C19A2EA1000/?n_cid=NMAIL007
ようするに中西会長の発言は、民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」事務局長が「身内の原発賛成派だけで議論するなら国民的議論とはいえない。経団連会長という立場を使い、自分の会社に有利になるよう『我田引水』型の提案と言われても仕方がない」(本文引用)と、簡単に一蹴できるものに過ぎない。しかし、ここでよく考えてみる必要がある。先に紹介した記事によると、英原発事業への出資について、当初期待された東電は動かなかった。また、経団連会長就任直前の昨年5月、英首相と直談判して「最大限の支援」を約束させたものの、「再生可能エネルギーの台頭で原発の競争力低下が明確になり、日立の取締役会では18年に入って英事業に反対する声が続出した。特に3分の2を占める社外取締役が『採算が不透明な事業にこれ以上、投資できない』と中西を突き上げた。設計や工事の準備で月数十億円がかかっていた。中西は浮いていたと同社関係者は証言する」(本文引用)。さらに中西経団連会長を追い詰めたのは、英原発事業を「日立のプロジェクト」として切り捨てた経産省の非情だ。東芝や三菱の事業も頓挫し、「IHI横浜工場。原子炉圧力容器や格納容器の製造が主力だった建屋内にいま横たわるのは、トンネルの掘進機だ。ピーク時に約600億円あった原子力関係の売上高は半減した。工場長(略)は『従業員のモチベーションをどう維持するのか悩む』と話す。原発産業は存亡の岐路を迎えつつある」(本文引用)という背景が、中西提言の後ろに見え隠れする。
経産省は「日立のプロジェクト」として英原発事業を土壇場で切り捨てた。上記記事の添付イラストには日立と英企業が前向きな中、日本政府・企業の非協力で事業が頓挫した実態が示されている。国に手厚く庇護されてぬくぬく過ごしてきた経済界のあり方が、国の手のひら返しで露呈したというべきか。中西会長は打つ手もなくのたうちまわっている。この状況を「原子力村の悪あがき」と看過するか、ピンポイントの穴が空いたと感知するか、反原発の論理的力量が試されている。前提としたいのは、日本経済が最終段階の危機に瀕しており、政権はそれでもなお「改憲」にしがみついているということだ。
posted by ガンコジージ at 11:12| Comment(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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