2020年11月18日

30年を超える落魄の果ての迷走なのに

1面「天声人語」が書く。「『五輪は最大の政権浮揚策』との認識が政府・与党に広がっているという。来年夏の五輪・パラリンピックの後、それを菅政権の成果として衆院を解散すれば、選挙に勝ち、政権を長期化できるというもくろみ」「バッハ会長に対し、菅首相は『大会を実現する決意だ』と語った。『人類がウイルスに打ち勝った証し』にするという。しかし世界を見渡すと、打ち勝つという言葉がむなしく思えてくる」「開発中のワクチンを頼りに五輪を開き、海外からの観客も招くつもりだという。しかし忘れてはいけない。欧州では夏季休暇で多くの人が国境を越えた後で、感染が拡大した」「無理なサーカスで医療崩壊を招くようなことがあれば、暮らしそのものが危うくなる」(本文引用、以下「」内同様)。ローマ帝国の時代、皇帝たちが好んだ民衆の懐柔策に「パンとサーカス」というのがある。記事はそれをベースに「サーカス」を一種のスポーツイベントであろう、として菅政権のもくろみを看破する。しかし、本来の意味に後から付け加わった「綱渡り」の意が文中から浮かび上がり、危うさをいっそう際立たせる。30年も負け続けて、ついに打つ手がなくなった。「政権浮揚策」はさまざま試みられたが打つ手は尽き、いまやオリ・パラのみ。理屈などなんでもつけられる。「復興五輪」としての意義は消え去り、「人類がウイルスに打ち勝った証し」の「世紀の祭典」といつのまにか目標が変わる。民衆は沈滞した生活を「パン」=株価、「サーカス」=オリ・パラの熱狂でつかのまやりすごせたればいいと思い定め、姑息な政権浮揚策に寄りかかる。
1面トップ記事は「核ごみ処分場 初の文献調査 経産相 北海道2町村で認可」で、「パンとサーカス」の故事に倣えば、20億円が「パン」、「核のゴミの処分場がないまま原発再稼働を進める」が「サーカス」というべきか。2面「文献調査 透ける地ならし」「交付金や地域発展で『対話』」「『場所探し』優先 原発推進が前提」には、地方を貧困のまま放置してきた政治をそのままに、最も危機的な状況にある地方を狙い撃ちするように金で縛り付け、「対話活動」という猫なで声を繰り出す。“最大20億円ですよ。2年後に調査を終えたとき、概要調査に進まなければ交付金はおしまいですよ”と耳元でささやき続ける。識者は言う。「『対話の場』という文献調査が、実質的には交付金の『味』を自治体に覚えてもらい、地域を懐柔していく仕組みになっている」。まさに「パン」=カネ。「核のゴミ処分場」=サーカス。ただし、「パン」で浮かれた庶民が危険な「サーカス」を演じさせられ、その一方で、当該町村から離れた全ての地域の民衆は、「パン」もないかわりに「サーカス」の当事者にならないで済んだという安堵感に、ほっと胸をなでおろし、すぐに『なにがあったか』を忘れてしまう。「サーカス」の危なっかしさがしだいに身近になっていくことのゆるゆるした不安感だけが、人々の心の奥に残る。
新コロの脅威は、「パン」=株価にも影響する。“安全じゃないの”“ただの風邪みたいなもんだよ”とうそぶきながら、内心では不安を抱える心理に、「ワクチン」の甘い誘惑が押し寄せる。まだ確実なものはほとんど無いのに、いまにも完成を予感させるような情報が巷に流れる。そんな情報はすぐに否定されてしまうだろうが、沈滞した株価に架空の期待感を持たせる。それで株価が上がれば、わずかな隙間を縫って売り抜く。いまのところ利益確保の有効打は、そんなあたりにしかない。架空でも上がった株をもっともうまく捌いたものが、もっとも多くの利益をかすめ取る。いくら景気が悪くても、株で儲かる方法は事欠かない。ただそれだけのことだ。3面には「学術会議に『軍民両用検討を』 井上担当相、見直し巡り梶田会長に 軍事研究 過去に禁止声明」の記事もある。「デュアルコース」とはなんぞや。「軍民両用」ではインパクトが強すぎる。都合の悪いことは横文字で表現するに限るか。「まずは学術会議自身でどう検討をされるか、待っている」などと、自らは問いに答えず、返答を逆投げするイヤらしさ。それを通用させるようでは、この国の民意も見下げ果てたものというしかない。そんなはずはないだろう?!
posted by ガンコジージ at 10:49| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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