2021年02月23日

ワクチン供給の遅れと変異株が五輪に暗雲

3面に「『ワクチン1回で効果』ファイザー製めぐり論文 ファイザー『保管、超低温以外でも』」がある。ファイザーとビオンテックのワクチンについてイスラエルの研究者らが1回だけの接種でも発症を85%減らす効果があると発表。英医学誌ランセットといえば世界的に名の知れた医学誌で、中身を精査せずに論文を載せるなんぞ沽券に関わるという敷居の高さを誇る。「9109人の医療従事者を対象に、ワクチン接種前と接種後の感染や発症状況を調査。接種から15〜28日後に、感染率は75%、発症率は85%減った」(本文引用)とある。2回目の接種を遅らせる判断をせねばならない場合、より多くの人に1回目の接種を進めることで時間を稼ぐことが可能となるとか。一方、ファイザーとビオンテックは零下80〜60度の超低温で最大半年、解凍後2〜8度で5日間保管をワクチンの運用条件としていたが、零下25〜15度で2週間までは保管が可能とする見解をFDAに提出した。記事をよく読めば、従来の運用定義を少し柔軟にしただけの話だが、世界的に富める国同士の争奪戦が激化しているみっともない現状、すこしは冷静になれという側面からの諫言というべきか。それともそれぞれの思惑が交差した結果というべきか。イスラエルはこれからパレスチナへの接種が控えており、この結果を政治的に利用しないように願う。また、ワクチンの製造と供給ではファイザー・ビオンテックの次にアストラゼネカ製がいよいよ市場に登場する。これは前者のように保管の条件がシビアーではないので、主役交代の可能性が出てくる。それゆえかどうかは知らず、供給段階に近づいたアストラゼネカ製への風当たりが強まっている。そんなこんなで混戦模様のなか、日本の立場も複雑を極めている。
4面の「ワクチン不透明 焦る自民 4月の高齢者接種『試行』に」「『1回接種』も義論」は、白熱するワクチン争奪戦の真っ只中で、自公政権の命運を賭けた迷走が続いていると書く。すでに策を失った政府にとってワクチン接種は新コロ対策の「切り札」だが、供給の見通しが立たない。記事は「医療従事者向けの対象者数が想定より膨らんだため」(本文引用)と書くが、そんなことが原因ではあるまい。「一にも二にも五輪」という頭があるから、日程がどんどん狂っていく。中国製、ロシア製、インド製などを尻目に、ワクチン独走態勢固めに必死のファイザーとビオンテックは、「供給契約先は50カ国以上で、(略)米国、日本、中国、EUの4カ国・地域だけで11億回を超える。『争奪戦をしている』(首相周辺)のが現状」(本文引用)という。昨日の航空便を合わせても、現状42万人分と、医療従事者分の1割程度しかにならない。というわけで3面の「ワクチン1回で効果」の記事に話が戻る。イスラエルの研究者が1回接種で発症を85%減らせるとしたことに飛びつき、自民党ワクチン対策プロジェクトチームは早速これを議論。「本当にワクチンが入ってこない事態になった場合、政治的な判断になる。検討していく」(本文引用)と言っているとか。
こういった政府の焦燥感が反映されたか。昨日のコロナ感染者数は740人と激減。飲食業関係が槍玉に挙げられ、いよいよ倒産の嵐が吹き荒れる中、全体にそれほど厳しい制約があるでもないのに感染者数が激減していく不思議。積極的疫学調査が縮小され、PCR検査のサイクル数がひそかに減らされ、実態としてPCR検査が縮小傾向にある。まさかのまさかだが、ワクチン供給と時間軸を合わせるように防疫体制をじわりと縮小し、「ワクチンの成果=政府の成果」を喧伝し、五輪の熱狂へ繋げていく腹があるのではないか。そんな政府の思惑に呼応するように、PCR検査に疑義を発し、検査縮小、検査手法の変更、さらに新コロ自体を2類から5類にしろと主張する人たちが出てきている。放射線には神経を使うが、コロナは軽視する不思議な思考もみられる。いやいや、新コロに関わる現状の政治的推移を知れば、あきらかに自縄自縛の政治の罠に絡め取られ、ネット上を飛び交う30年ほど時代遅れの言説に惑わされた結果が浮かび上がるのだが、それに気がつかず政府のやり口を丸呑みする彼らの意図があまりにも哀れな気がしてならない。
posted by ガンコジージ at 10:43| Comment(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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