2019年08月22日

温暖化と寒冷化のはざまで踊らされている

ブログ主の温暖化と寒冷化に関する立場は、どちらもまだ科学的に立証に至っていないことと、二つは対立概念ではなく同時に起こりうる現象だということに尽きる。科学的に立証できていないが、どちらも本格的に進んでしまえば抑制不可能になる。したがって、地球生命の存亡に関わる仮説なので、できるだけ人為的な原因を含む様々な原因を抑止するよう努力する必要があるというのは納得するところだ。二つが対立概念ではないという意味は、両者が掲げる原因は全く別のものであり、同時に起こっても不思議はない現象なのだ。温暖化は地球単独で発生するが、寒冷化は太陽フレアの影響、または極超新星爆発によって発生した宇宙線が地球を襲うことで起こる、との説が有力だ。つまり、温暖化が進行している真っ最中に極超新星爆発の影響が地球に到達することは理屈上成り立つのだから、なにを頑張って対立し合うのか、ということになる。温暖化説を過去にあった「温暖化人為説詐欺事件」なるもので貶めたところで、科学的に実証できないという根拠にはなり得ない。これを根拠に対立関係にはまるのはまこと愚かの極み。科学の概念で捉えるべきものを政治の概念で断罪する短絡思考という他ない。それより、いまは温暖化で世界が一致して行動する機運が高まっていて、それも福島第一原発事故後に原発なしで温暖化を抑止できるとする考え方が勢いづいているのだから、その部分を利用しない手はない。温暖化が原発推進派に利用され、「原発ルネッサンス」を招いたことは負の経験として蓄積していくべきもの。寒冷化で言えば、熱核融合が有力なものとして、原子力推進派が世界的な原発退潮の後を狙って食指を伸ばしている現状。世はまさに複雑怪奇。どこにでも顔を覗かせる原子力大好き人間たちとおなじ土俵に上らないようにしないと、けっきょくは利用されるだけになってしまう。
というわけで10面「社説」に「温暖化と食糧 『緑』と『農』の調和こそ」がある。「地球温暖化に伴う異常気象は食糧生産に悪影響を及ぼすが、農地を広げれば温暖化が加速してしまう。温暖化対策と食糧確保を両立するには、森林や農地のバランスを考えて土地を利用しないといけないーー。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた特別報告書である」「『人間の活動で出る温室効果ガスのうち、農業や林業などの土地利用によるものが23%にのぼる』。報告書は、そう指摘する。森林が伐採されると、本来なら樹木に吸収されるはずの二酸化炭素(CO2)が大気中に残ってしまう」「植林や森林の再生に努めつつ農作物を確保する、という二兎を追う工夫が欠かせない」「温暖化や食糧不足などの問題は、互いに複雑に絡み合っている。特定の問題だけを見て土地を利用していると、別の問題が深刻化してしまう。そのことを忘れてはならない」(本文引用)。日本的にいうなら、森林や農地を確保する工夫がまず優先されなければならず、森林や田畑をつぶして温暖化対策などはありえない。そのことは自明なのだが、森林や田畑を維持するための国家的な施策は、場当たり的であるばかりか状況が悪化するように仕向けているとしか言いようのないやり方が横行している。食糧自給率は現象傾向をたどるばかり。そして森林が消えていく。一方で、「美しい森林を守る」という理念だけが前面に掲げられ、それで生業を立てている農業者や林業者の苦境を考慮しない、ユートピア的発想の運動が先行し、末端住民の間で対立関係が鮮明になっていく傾向がある。「美しい自然」がなぜか「醜い人間関係」を生み出す矛盾を抱え込む。そんな可能性をどう阻止するか。この関係が蔓延するほど、国家の施策は自由度を増すのだと知っておきたい。「洪水や旱魃などによる土地の劣化」(本文引用)がそれを後押しする。結果として後継者のいない農地は放棄され、手入れされない山林は荒れ、期を見計らっておもむろに対策に乗り出す国家により、大規模地主制と小作農の復活が促進されることになる。140年近く前に発生した経済恐慌によって誕生し、約70年前の農地改革で崩壊した封建的システムが復活する。そのとき「美しい自然」は守られるか。それは楽天的すぎる!
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2019年08月14日

緊張が続く中、ゆるい空気を演出する

今日も我が家購読紙には力が入っていない。というわけで、本日はこういうときのために保存している記事を、8月12日1面トップ記事「原発安全対策費5兆円超」の記事とからめて、まずは書く。以下は下野新聞。興味深いのは記事に書かれている各社ごとの安全対策費集計で、下野では東電=1兆1600億円が、朝日では9690億円になっていること。他社の数字は下野も朝日も同じなので、東電だけなぜ2000億円ほど減っているのか、ちょっと疑問符。ここから連想するのが、さらに下の記事。東電はいま、柏崎刈羽6・7号機の運転再開を目指している。その対案として柏崎市は2017年6月、1〜5号機の廃炉計画を2年以内に策定するよう要請している。東電新潟本社代表は「10年先を見据えた電源構成のあり方や資金・人などの確保といった様々な要因を考えないといけない。非常に難しい作業」とし、柏崎市長は「廃炉対象や時期など具体的な数字が入っていなければ計画と呼ばない」と述べた。(以上()内は本文引用)。新潟の動きは注目に値する。泉田知事は最後の最後で立場を放棄したが、それまでの頑張りは評価できる。いま新潟が剣が峰で持ちこたえているのは、泉田知事の頑張りに負うところが大きい。それどころか、全国的な反原発運動の根幹に関わる部分で、いまも大きな影響を残している。その後、事態は輾転反側しているけれど、それでも保守の強い基盤の中にあってさえ、新潟県があることの意味は今も特筆に値する。野党共闘候補が勝利する背景も柏崎市長による1〜5号機廃炉要請も、その延長上にあるのだと思う。6・7号機再稼働の条件とは言いながら、東電には計り知れない重荷になっていることは間違いない。と、そんなことを思い出したけれど、原発安全対策費が東電だけ2000億円も圧縮された理由は、いまもすっきりと胸に落ちてこない。なにが理由なのか、知りたいところ。
☆「柏崎刈羽原発、再稼働に1兆円超 東電試算、従来の2倍近くに」下野新聞7月26日
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/200179?fbclid=IwAR1nUCFMq0AnwB6130nBM96nNsFiBToLQcjLXBCZsXCwlrErtjxk-sHaknk
☆「柏崎原発廃炉計画、東電新潟『7月以降に回答したい』」日本経済新聞6月6日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45780640W9A600C1L21000/
いまなぜか、「改憲」の空気が盛り上がらない。首相とその周辺は、相変わらずオウムみたいに「改憲」「改憲」と吹きまくっているが、口ほどに元気がないような気がして仕方ない。「もう詰んでいる」などと楽観しているわけではない。まだまだ国会発議の可能性は高い。衆参3分の2には届かなかったものの、参院でわずか4議席少なかっただけ。公明党が二の足を踏んでいるけれど、いったん権力の味を知ってしまった彼らの心根などどうなるかわかったもんじゃない。「改憲」勢力が完璧な勝利を目指すには物足りない空気感が漂っている。彼らの心情にもそんな気持ちが広がっているような気がしてならない。国内的な有効打はなんだろう。意外にもれいわの動きが効いていないか。東京で善戦をした野原氏の動きが、効果的だったか。こんな空気感のなか執拗に時期を狙い続け、とつぜん「改憲策動」は活発化したりする。自民党議席減の影響はあったか。米の強硬姿勢は今後どう動くか。米中貿易戦争も含めて確かに浮動要因は多い。ずるずる続く敗戦への道!
☆「安倍首相、父の墓前で改憲誓う 『憲法議論を進める時』」朝日新聞8月13日
https://digital.asahi.com/articles/ASM8F350ZM8FULFA002.html?iref=comtop_list_pol_n01&fbclid=IwAR1f-n-_O7PGecWH_kg2lamTTT7-6w6ib4bU5J6qGJJfTH4VZEwkbn1hgLY
☆「米軍駐留費『日本は5倍負担を』ボルトン氏が来日時に」朝日新聞7月31日
https://www.asahi.com/articles/ASM702TJQM70UHBI00H.html
☆「米軍、限定核使用へ新指針 放射線下の地上戦にも言及」東京新聞7月28日
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019072801001839.html?fbclid=IwAR2f_3wQq2lE1zP5r8Bl2AjKIMj1yCj2iWBr_IVLDNpaOnzJZ6LsvKe0w8s
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2019年08月12日

社会全体が出口のない醜悪さにまみれている

トイレのように臭いオリンピック? 今日の新聞には11日のテスト大会の驚異的有様が書かれている。テスト大会では5キロ、本番では10キロを泳ぐというが、午前10時のスタート時刻を午前7時頃に設定。国際水連では、選手が健康的に泳げる水温の上限を31度としているが、11日午前5時の段階で約30度。29・9度と書くあたり、低く感じさせようとする必死の努力が見て取れる。テスト大会実施の時点では何度だったのか。おそろしくて公表できなかったのか。泳いだ選手たちの感想がすごい。「過酷でした」「正直臭いです。トイレのような臭さ」「ぶれない気持ちが必要。検査で細菌がいないとなれば、信じてやるしかない」(本文引用)と酷いの一語に尽きる。これが「アンダー・コントロール」の周縁部のお粗末な姿というべきか。泳がされる選手たちには正真正銘の過酷。もしや海水浴場では臭かったりぬるま湯だったりしても、みんな元気に泳ぎまくり、はしゃぎまくっているのか。まして五輪の水泳選手なら臭いくらい屁のカッパ。親愛なる総理大臣閣下が「アンダー・コントロール」とおっしゃっているんだから、贅沢を言うんじゃないってところか。原発事故現場の悲惨がじわじわと被災地に広がり、知らない間に外縁部に拡散し、さらに広がっていく。そんな空恐ろしさを感じさせる記事だが、世情はこれでも儚い浮世を流れ流れていく。
☆「東京五輪会場『トイレのような臭さ』 テスト大会で不安」朝日新聞デジタル8月11日
https://www.asahi.com/articles/ASM8C513YM8CUTIL009.html?fbclid=IwAR2IDLV2VJ6ObKqHipem8qzfBnYVyRjfC4oTKsvxKePHkhgLF4xpGAy4xTk
1面トップは「原発安全対策費5兆円超 電力11社 対テロ膨張続く」の記事。原発事故後に安全対策費が増えたため、電力11社計で5兆円を超えたという。13年1月の時点で9982億円だったが「世界一厳しい基準」と親愛なる総理大臣閣下が豪語する新規制基準によって、対策費用が積み上がる。しかし、「世界一厳しい基準」とは言っても、まだまだ大目に見られている部分があって、ザルを指摘されている。例えば「コアキャッチャー」の設置は、まだ見送られたままだ。ウィキによると「コアキャッチャーまたは炉心溶融物保持装置は、炉心溶融が生じた際に原子炉の溶融材料をキャッチし、閉じ込めて冷却、原子炉格納容器から流出しないようにする設備」「物質が流れ落ちるのを防ぐために特殊なコンクリートセラミックでできている。これは、物質を冷却する冷却機構でもある。欧州加圧水型炉のコアキャッチャーは170m2の拡張領域と500tの質量を持つ」(本文要約)とあるように、既存の設備に整えるにはかなり難しい工事になり、費用も莫大なものとなる。「世界一厳しい」というなら、これらの設備も造らねばならない。表向きは「世界一厳しい」と豪語しても、実態はこんなものだ。本気でやれば、さしもの捏造偽造政府による発電コスト試算も、原発を最も安価な電源と言いつのることは不可能になる。これに事故対策が重なれば、安価などといっている場合じゃなくなる。ところで、この記事には安全対策費が膨張したことで、15年試算「10・3円以上」からどのくらい上がったかの数字は示されていない。
以下の記事は、米でも放射性廃棄物の処分が重荷になりつつあると書く。ニューメキシコ州の砂漠地帯に「ホルテック」という会社が使用済み核燃料貯蔵施設を建設するという。反対運動が起こり、まず輸送中の事故が懸念される。そして、輸送は最小限とし、現在貯蔵されている場所の安全対策を強化せよと主張する。それへの反対意見は、分散して設置するリスクを言う。人口密集地の近くに放射性廃棄物を残すのは好ましくないとする。誰もが同意するのはただひとつ「増え続ける廃棄物をどうするか。この事実を無視できない」ということ。出口のない議論が進む。わが国に当てはめると、さらに出口を見つけ難い重たい現実にぶち当たる。
☆「すべての使用済み核燃料を1カ所に、米で進む計画」ナショナルジオグラフィック8月5日
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/080200453/?ST=m_news
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2019年08月09日

経験を積み上げて過去を克服する努力

原発関連が多い。1面トップ「汚染水タンク 3年後に満杯 福島第一原発 東電、初の見通し 処分法 国に迫る」。関連で3面には「汚染水長期保管 東電が難色 海洋放出は漁業者強く反対 『風評被害続く』懸念」と「燃料デブリ除去 21年2号機から 機構が計画」と「原発の共同事業化検討 東電・中部電・日立・東芝」と「第2廃炉交付金『しっかり検討』 経産相、福島側に」、さらに「火力発電の石炭灰 韓国輸入検査強化 日本への対応措置か」がある。1Fで汚染水タンクが3年後に満杯になると、東電が見通しを示した。経産省の小委員会は16年から海洋や大気への放出など5つの処分方法について議論してきたという。地元公聴会では保管するべきとの意見が多く、「直前にタンクの水に取り除くべき放射性物質が排出基準を超えて残っていたことが発覚」(本文引用)して、地元の不審に拍車がかかり、経産省は敷地外での長期保管も選択肢に加える必要があると判断し、9日の小委員会に示す予定。だが、東電はゴネている。3年と年限を切って「処分ありき」の議論にしようとしているのか、といった趣旨のことが3面に書かれている、とブログ主は理解した。
トリチウム(3重水素)は陽子1個中性子2個で、水素原子の陽子1個に対して3倍の重さがある。これが安定した元素になるには中性子1個がベータ線を出して陽子に変わる過程を経る必要がある。半減期は12・32年で、「非常に低いエネルギーのベータ線を放出して、ヘリウム-3(He)となる」「現在の降雨中の濃度は1〜3ベクレル/リットルであるが、核兵器爆発の前は0・2〜1ベクレル/リットル」。カリウム40も同様の性質を持ち、「ベータ線を放出してカルシウム40となる(89・3%)。また、軌道電子を捕獲してアルゴン40にもなり、この時にガンマ線が放出される(10・7%)」「天然に存在する放射能として、内部被曝による線量が大きいものの一つと考えられる」(半減期は約13億年で)「半減期は長く、同位体存在比が小さいので、カリウム1gあたりの放射能強度は低い。必ずしも放射能測定をおこなう必要はなく」と原子力資料情報室にある。つまり、トリチウムと比較すると、同じベータ線を出すとしてもカリウム40の影響は低いといえる。とはいえ「最近の雨水中のトリチウム濃度を2ベクレル/リットルとして、この水を1年間摂取すると、実効線量は約0・00004ミリシーベルトになる。ふつうの人がトリチウムによって受ける年間実効線量はこの程度であろう」と資料室の見方があり、再処理工場の例を引いて、「放出される水を摂取しても大きな被曝線量にはならないとしても、このような放出はよいことではない」と慎重姿勢を示す。
ブログ主個人としては、トリチウム自身の危険性を過大に感じるのはどうかな、と思う。ただし、タンクの汚染水にはトリチウム以外の放射性物質がどうしても含まれる。基準値以下になったと言っても、その基準値が怪しく、また全量検査はできないからやらない。つまり「ざっくり大枠でもいいじゃないか」とは、決してならない。カリウム40やインジウム115、なかでも後者は441兆年の半減期から、限りなく安定同位体に近いと考えられる。ただしインジウムはスズと共存する環境下で健康障害が発生する可能性が指摘されている。横道に逸れたが、このあたりを念頭に汚染水問題を意識しておきたい。原発事故の風化は、市民運動にも影響を及ぼしている。科学的な視点が低下するにつれて、皮膚感覚の忌避感が大手を振るうようになっている。そして反対運動から真摯さが抜け落ちていく。そんな負のスパイラルから抜けて、事故発災当初の真摯な姿勢を取り戻すことこそ、いま重要になっている。と書いてきて、気が付いた。「燃料デブリ」の問題と「第2廃炉交付金」と「原発の共同事業化」について書くスペースがない。「デブリ」取り出しについてどんな危険があるか、これまでだったら専門家がしっかり指摘してくれていた。いまは専門家の声が聞こえない。というか、聞く耳を持つものが少なくなっている。悲しいことだが、科学的視点が不足し、運動が危機感を煽るしかできなくなり、論理的整合性を保てずにゆるくなり、気持ちを維持するために課題から課題へ、蝶々のように飛び回るしかできなくなりつつあるのか。課題が広がるにつれて、論理の構築力がさらに低下していく。そんな状況にならないことを祈る今日この頃。この国には過去の失敗に学ばない習性が蔓延しており、いつも同じ過ちを繰り返す。封建遺制の罠にハマるな! 歴史を積み上げろ!
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2019年08月02日

金切り声とともに裏面工作に励む人びと

昨日の我が家購読紙7面に「福島第二 廃炉決まれど」中見出し「県内10基作業 人手に懸念」「経営圧迫 料金転嫁も」「遠のく政府の原発比率目標」がある。これで福島県内の原子炉は、事故原発を含めて10基全部が廃炉に向かって動き出す。プールに保管中の約1万体の使用済み核燃料を乾式保管する施設を敷地内に設置し、将来は県外に搬出する予定だが搬出先は未定。建屋や設備の解体で出る低レベル放射性廃棄物5万トン超の埋設処分先はまだみつかっていない。政府はエネ基で2030年度の電力に占める原発比率を20〜22%にするという。だが、新規制基準で再稼働にこぎつけたのは9基。事故前54基あったが、福2を含めてすでに21基が廃炉決定。残りは33基で、他に建設中が3基。30年度原発比率を達成するには30基程度の稼働が必要で、しかも稼働率を8割まで上げないと目標を達成できない。極め付けは昨日の4面月刊誌広告で「原発テロ対策 電力会社に『脱原発』迫る無理難題 1千億円超の巨費をかけ、地下に巨大要塞を築く難工事、現実離れした対策は、電力会社に原発全停止を迫る。原子力規制委の『英断』にも見えるが、実態は手前勝手かつ国家の安全を揺るがす裏切りをはらむ」の見出しが躍る。なにかとてつもない出来事が静かに進んでいる予感がする。れいわの躍進。改憲勢力が3分の2を下回ったこと。「改憲、改憲」と金切り声をあげて異様にはしゃぐ首相。乱心した殿を必死に支えようと走り回るたいこ持ち連。キャスティングボートを握る議員たちをめぐる水面下の激しい暗闘。それほどまでして何をしたいのか。首相悲願の改憲策動は、すでに意味不明の領域にある。結果がどうなろうとも、これからの彼の仕事の大半は、彼が君臨したこの時代を美化するための歴史捏造に費やされる。7月30日4面「統計の監視 内閣官房で 不正防止策『第3者性に疑問』指摘も」では統計資料の組織的隠蔽・改ざんのプロセスに官邸が関わる愚挙。各省の公文書は官邸の意ままに隠蔽・改ざん・破棄が横行中。これで歴史捏造の下地はできたつもりでいるか。いよいよ「殿、御乱行!」の様相が濃厚になっている。
本日の記事に戻って1面「排気筒解体始まる 福島第一 1、2号機」の記事。この排気筒は事故発生時に格納容器から高濃度の放射性物質を含む水蒸気を放出した。事故直後には10Sv/h、15年時点でも2Sv/hを記録する高線量下にあった。高数値を示したのは、ドライベントという方式を採ったためで、蒸気を逃がす時に圧力抑制室の水にくぐらせて排出するのではなく、格納容器から直接外部に放出し、多くの放射性物質が放出されたためという。3面「高い放射線量 遠隔で操作 福島第一排気筒解体 作業員の被曝対策」によると、筒長120メートル、1号基爆発の影響で支柱のつなぎ目が破断している。イラストでは120メートル上空までクレーンで解体装置を持ち上げ、少しずつ筒の解体を行なう。巨大な有人クレーンを操作するのは超熟練作業員。解体装置は筒から約200m離れた高台に設置した大型バスの遠隔操作室で、約140台のカメラ映像を見て操作する。クレーンは高台の下。筒にかなり近い。やっぱりクレーン作業員はとてつもない場所で作業することになるんだろうか。被曝しないことを祈る。大事故に至らないことを祈る。と、そんななかで、アンダーコントロールのあの人は、悲願の「改憲」を成し遂げて、歴史に名を残して、政界を去るってか!
1面トップ「米、10年ぶり利下げ 0・25%先行き懸念 予防措置」には、リーマン前の「米政策金利は年5%超だった。2%台で利下げに反転したことで、次の不況時には利下げで悪影響を緩和する余地は限られる」(本文引用)とあるが、もっと余地が限られている日本はどうなるのか。昨日の日経平均は大した動きはなかったが、今日は一転して大きく動いている。株価は大幅マイナス、為替は円高に大きく振れ、打つ手なしの日銀は青息吐息。3年前のG7伊勢志摩サミットで各国と協調できなかったツケが、いまになってこの国の経済を痛めつける。出だしはいいが、手綱の引き締めかたを知らない権力者に柔軟性は望むべくもなく、そのツケを庶民にまわす悪循環のにがい経験が再現される。
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2019年07月30日

めちゃくちゃの極地を疾走する人々

1面「原発甘い備えの象徴解体へ」中見出し「福島 機能しなかった『事故対策拠点』」「機密性ないドア」「教訓消える懸念」。3面に関連で「前線基地 放射能に無防備 オフサイトセンター解体へ」中見出し「雑居ビルのよう」「対策勧告を無視」「語られない失態」がある。記事を読んで思い出すのは2012年3月の朝日新聞記事。施設内の写真で、「放射線班」の机上に「ヨウ化カリウム丸」と書かれた箱が置いてあって、当時、この記事には驚いたものだった。避難が遅れて約90人の患者のうち50人の患者がバスや避難先で死んだ双葉病院まで車で1〜2分の距離にあったセンターで安定ヨウ素剤が配られていた事実。三春町では同時期、役所が独自判断で町民にヨウ素剤を配り、そのため轟々たる非難を受けている。当ブログ記事を参照すると、配布したのは三春町、富岡町、いわき市の3自治体とある。いまは詳細不明。当時のオフサイトセンターは記事にあるように、まるでただの雑居ビル。正面入り口かどうかもわからないドアが写っており、放射線防護の意識はなかったことがわかる。「うるさいから、適当につくっとけ」という類の認識しかなかったことがありありと伺える。そして今、ようやく解体。原発震災の「負の遺産」として保存する考えもあろうものを、住民に問うこともなく町の意向で解体する。立地する大熊町は、ひとつ下の今年4月当ブログで「大熊町の避難指示解除 帰還困難区域除く 原発立地自治体で初」の新聞記事を紹介している。町面積の約4%が解除され残りは帰還困難区域のまま。「町の中心部だけは『特定復興再生拠点』とし、除染などを進めて22年春に避難指示を解除する。センターはこの拠点内にあり、町は周辺を住宅拠点にするため、建物を所有する県と管理する国に解体を求めていた」(本日1面新聞記事本文引用)。なんたる無残!
☆「4号機倒壊と安定ヨウ素剤配布」当ブログ12年12月26日
http://ji-ji-wanwan.seesaa.net/article/309965405.html
☆「意図せずに自分に仕掛ける自縛の罠」当ブログ2019年4月10日
http://ji-ji-wanwan.seesaa.net/article/465065835.html
こんな無残を強制するのは、国の原子力政策のなせるワザ。7面には原子力を生き延びさせる姑息でややこしいワナがいままさに始動しようとしているのを見ることができる。7面「割安な電気 新取引市場 大手が提供 新電力と競争促す」中見出し「値下げつながるか」がある。原子力・石炭火力・大型水力などを「べースロード電力」と名付け、液化天然ガスなどでつくった余剰電力を売るスポット市場の大きな価格変動を抑制するのが目的という。これは昨年7月の猛暑時にスポット市場で1KW時あたり100円超をつけて新電力の経営を苦しめた事例を、改善するためと称して実施される。大手しか保有しない大型電力の市場で、再稼働していない原発の固定費を含む価格設定が自由にできる。つまり、原発を延命させるための裏工作というオソマツ。こうしたさまざまな画策は、一般市民運動の知らない間に着々と進められている。また、幾つもの流れが出たり引っ込んだりして複雑に動いていくので、単純な論理で動く市民運動では追いつけないほど複雑化していく。それゆえ市民運動は現状、翻弄されるままになっているケースも目立つ。以下に参考資料多数!
☆日経エネルギーNEXT|ニュース&トレンド|連載コラム」目次
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/feature/15/031400070/
4面はそんな動きを進める政権の横暴がぎっしり詰め込まれている。「萩生田氏の議長交代論波紋 『有力な議長をおいて、憲法改正シフトを』」中見出し「幹部『人事口出し 処分もの』」があり、官邸が自民党を強引に引きずりまわし、イエスマンだらけにする意図アリアリ。さらに「統計の監視 内閣官房で 不正防止策『第3者性に疑問』指摘も」が横暴を加速。次いで短記事で「厚労省閣議後会見『議論の場でない』 遺骨収集見解問われ」があり、官房長官と同じ姿勢が閣僚にも蔓延ってきた。じつにバカげている!
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2019年07月28日

権力者の責任押し付け合いは最後にどこへ

今日の我が家購読紙には福島第一事故現場の汚染水問題と、福島第二原発廃炉の問題が大きく掲げられている。汚染水については2面「汚染水 制御しきれず 福島第一建屋地下高濃度1・8万トン」中見出し「水位下がらぬ理由不明」「セシウム流出 違う試算も」と「視/点 潜在リスク直視を」がある。福島第一にとっていま最大の問題が汚染水なのかはわからないが、とにかくこれが難航していることは確か。首相は13年の五輪招致演説で「状況はコントロールされている」と、世界に向けてきっぱり明言した。それからおよそ6年、五輪まであと1年もない現在、「アンダーコントロール」と大見得を切ったわりに、制御できていない。「原子炉建屋などの地下にたまる高濃度汚染水はなお約1万8千トン。計画どおりに減らせていない場所もある」(本文引用)。格納容器内に残る核燃デブリの取り出しは2号機から始まる予定。冷却プールの使用済み核燃料体取り出しは3号機からの予定となっている。「事故当初、1〜4号機の原子炉建屋とタービン建屋の地下にたまっていたのは約10万トン。東電は、井戸から地下水をくみ上げたり、建屋の周りの土壌を凍らせる『凍土壁』をつくったりして地下水の流入を減らしながら、地下の汚染水の水位を徐々に下げてきた。事故から8年が過ぎた今、1万8千トンに。20年度中に6千トンに減らし、最下階の床をほぼ露出させる目標だ」(本文引用)という。
だが3号機の問題の区画だけなぜか地下水が下がらない。この作業と同時に、規制委は津波対策も求めている。国の地震調査研究推進本部が千島海溝で東日本大震災級の地震が切迫している可能性を指摘。「津波時に汚染水の流出ルートになりうる開口部を約50カ所閉じる工事は21年度末」「巨大地震の津波も防げる防潮堤の増設は20年度末までかかる」(本文引用)。首相の力強いアンダー・コントロール発言にも関わらず、そのとき事故現場はあちこちから汚染水が漏れ出てシッチャカメッチャカの状態にあった。と、記事の指摘は当然として、今は汚染水流出はほぼ止まった一方、流出する「放射性セシウム」はまだある、という指摘には若干の疑問が残る。単純に「放射性セシウムだけじゃないだろう」という思いが残る。それは東電もちゃんと計測しているはず。記事でちょこっとでも触れないと、科学的知識のない読者はセシウムの問題だけと思い込んでしまう可能性がある。放射性セシウムはその他の多くの核物質を代表するものであるという基本を忘れたらまずいのではないか。それともうひとつ、トリチウム放出の問題が残る。これもセシウム同様にとらえる視点と、放射性物質としてのトリチウムの危険性とはなんぞや、というかなり科学的に深い見解が求められ、難しい側面はあるものの、報道としてぜったいに無視できるはずのないものであり、チャレンジしてしかるべきではないかと思う。
福島第二の問題では8面「社説」に「福島第二廃炉 世代超えて背負う責任」がある。東電は福島第一を含めて10基の廃炉作業を進めることとなった。いま全国にいくつの原子炉があって、そのうちいくつが廃炉に向かっているのか、調べてみたらややこしくて勘定を間違えそうなので、あとでちゃんと調べることに決定。とにかく東電はこんな状況下でも柏崎刈羽に執着する。経営なんてこんなもんかと思うが、「廃炉はカネばっかり食って儲けを生み出さない」とみなして「このうえ柏崎刈羽の7基まで廃炉なんかにできるか」と突っ張る姿や哀れ。じっさい民間企業にまかせっきりにしたら、事故原発4基を含め廃炉17基同時進行で東電の経営はかなり難かしくなるだろう。こうなったら民間企業としては破綻させ、完全国家管理に移行して、新しい電力供給のあり方を巡る大改革の先頭に立たせ、新時代を担わせていくしかない。つまり現状は、やるべきことを放棄した国が民間企業に国策の重荷を背負わせ、自分は洞ヶ峠で原子力推進にしがみついている状況がアカラサマになるばかり。「国破れて山河在り城春にして草木ふかし」の漢詩にあるように破綻しても国は残る。その国はすべての重荷を民に背負わせ、自らは逃げの算段に走る。そんな行く末が、東電の潰れそうで決して潰れない姿から見えてくる。犠牲は誰に?
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2019年07月24日

感覚で停止せず間断なく進歩する頭脳たち

今度の選挙は「れいわ」にするか「おしどりマコ」にするかすごく迷った。結果、「おしどり」にしたけれど、彼女の得票数はかなり少なかった。原発事故で彼女が果たした役割は、限りなく大きい。壊れた原子炉からどんな放射性核種が飛び出てくるか。環境中でどんな経過を経ながら存在し続けるか。人体に与える影響はどうか。これらの見方について基本の筋道を与えてくれたのは彼女だった。彼女は一生懸命だったし、いまでも一生懸命に走っている。たぶん、気持ちが萎えてしまいそうにツライときもあっただろう。財政的な逼迫も含めて、感情の大きな揺れを感じる瞬間もあろう。相方の「おしどりケン」の包容力がなければ彼女は倒れていたのではないか。それくらい大きな荷物を抱えた8年だったはず。世間の関心が変化してきたのか、それとも元から理解が難しい科学の領域で活躍しているせいか、彼女の評価は広がらなかった。<自分で知って、自分で調べて、自分で考える>といった彼女の口癖をどこかで聞いた。最初は東電記者会見を通じて、報道陣の知識の拙さに驚いたことだろう。自分自身の知識の不足も悟っただろう。そこから立ち上がった切実な思いがあっただろう。いまだにこの原則に立たない市民運動家が多い。さいしょに直感の領域から立ち上がるのは誰でも当然のこととして、ずっと直感のままだったら運動の質は劣化する。そう考えて以下の資料を思い出した。2012年8月21日の文科省のプルトニウム関連調査資料だ。おしどりマコはその翌日に衆議院第一議員会館で行われた「野田首相に申入れする『福島現地からの声』についての記者会見」で、詳細な資料分析をもとに、政府を追及している。これはすでにこの時点で彼女がいなければ成り立たなかった追及であり、運動の質を一気に高めたといえる。元になった資料は以下のもの。2番目の記事は、文科省資料をいち早く読んで理解し、政府に突きつけたときの彼女の発言要旨。はずかしながら、当時のブログ主の緊張度もかなりのものだったから、読み返すといまよりずっと深掘りした記事を書いているのがわかる。この頃がとても重要な時期だったのだと改めて思う。というわけで文科省資料の周辺で書いたブログ記事も、3番目に記しておく。
☆「文部科学省による、プルトニウム238、239+240、241の核種分析の結果(第2次調査)について」放射線モニタリング情報:原子力規制委員会
https://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/7000/6030/view.html
☆「超重要!!!おしどりマコの会見(福島の現状、被曝病気、プルトニウム)」
http://pfx225.blog46.fc2.com/blog-entry-1319.html
☆「緊張が高まりつつある」当ブログ2012年8月26日
http://ji-ji-wanwan.seesaa.net/article/288450157.html
ひるがえって現在の状況を思う。「おしどりマコ」の存在がそれほど認識されないのは、高レベルな知見を必要とする領域であることによっているのは否定できない。そんな議論に追随できない市民運動家に特徴的な、皮膚感覚から眺める放射能への恐怖感が、「安全神話」を掲げる側からの批難につながり「放射脳」という言いがかりを生み出す現状がある。以下の記事は山本太郎についてのものだが、彼自身も最初はだれもが感じたのと同じ直感から出発したのがわかる。そしていま、直感を超えて被曝をどう受け止めるかという次元にまで論理を高めているのがわかる。今の彼は「チェルノブイリ法」もきっちり学んでいる。感覚で止まるのではなく、論理を積み重ねて変化していく柔軟さを確保している点で、彼はおしどりマコとまっすぐに繋がっており、これからもよく学んで成長していける人なのだとわかる。希望はこれらの人たちを生かすところから生まれる。そんな気がした今回の選挙だった。
☆「元東電・賠償担当者からみた、山本太郎氏らに向けられた「放射脳」という“風評被害”」ハーバー・ビジネス・オンライン7月23日
https://hbol.jp/197574?cx_clicks_art_mdl=6_title
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2019年07月08日

改憲を争点にして原発を外す目論見の末は

3面「原発政策 事故当事者の東電 建設前のめり」は久し振りの大きな原発記事。青森県東通村で工事が中断している東電東通原発の現在をルポする。総面積808万平方メートルという広大な敷地。半分は東北電力が持ち、東北電1号機が05年に稼働したが、福島第一原発事故後停止中。東北電2号機と東電1・2号機は着工が1機、未着工2機で運転開始のメドは立っていない。すべて動き出せば525・6万KWになる。東電1・2号機は原発事故後、工事から遠ざかっていたが、昨年8月28日に地質調査を再開。今年3月末、東電は東通村に2億円のふるさと納税を表明し、7月1日には東通村の出先事務所が「青森事業本部」に格上げ開所。「安全で最新鋭の原子力発電所を造り、地域の未来に貢献しなければならない」(本文引用)と、本部長が訓示した。原発事故はこれから建設が大々的に始まるという矢先に発生したため、工事を当て込んで建設作業員向けのアパートや飲食店などのサービス施設が立ちつつあったらしい。事故勃発で思惑が外れたが、「原発建設の早期再開を含めた『地域貢献』を望む声が強かった」(本文引用)といい、ふるさと納税2億円は、そういった声に応えたものか。建設への期待感を細々と維持するための(悪くいうと)工作資金の性格が鮮明だ。「経産省資源エネルギー庁は2月、『事故がなければ原発は完成していたはず』として、村への原発交付金を19年度に10億円積み増すことにした。国会の審議なしにできる交付規則の特例の適用だ」(本文引用)。同2月、朝日新聞世論調査では56%が原発再開に反対するという結果が出ている時期でもあり、10億円積み増しは2億円のふるさと納税と連動した「金で横っ面ひっぱたき」工作とみられても仕方ない。「経産省に言わせれば、再生可能エネルギーより原発のほうが『安定』した電源」(本文引用)とあるが、ひとたび事故ったら「安定じゃなく社会の暗転だ」といいたくなるシロモノを、選挙で主張することもなく着々と進める。日米貿易交渉の最大焦点「農産物」「自動車」「為替」を含めて「すべては選挙後に」か。
3面同記事の中見出し「読まされた復興への思い」には、とんでもないことが書かれている。福島県大熊町で首相と町民5人の「車座集会」が開かれたのは4月14日。「5月の役場再開に先立ち、首相の日程に合わせて実施された開庁式後に、復興庁が企画した」(本文引用)。車座集会とあるが、どうも実態が飲み込めない。記事通りなら、参加者は首相と町民で合計6人。その他に役場や復興庁や商工会、報道陣などがいたかもしれない。でも「車座」だから、大きな集会ではなさそうだ。大勢を集めて大々的に成果をアピールするでもなく、邪魔な発言者たちが混ざらないように配慮した「内内(うちうち)感」が否めない。「これは首相に対する過度の配慮が見えますなあ」と思わず呟きたくなる出来事。町民の一人が読み上げた文章は「復興庁の要請を受け、町が用意した『発言案』」「町からは発言案を読むよう指示されていた。当日、会場で改めて自分の原稿でもいいか聞いたが、『復興庁の職員から「だめだ」と言われてしまった』」(本文引用)。店ができておちついたら娘に任せたい、といった趣旨の発言はしたくなかったので、町案から削った案を作ったがそれも「ダメ」と言われ、苦しい思いで町案を読み上げたようだ。奇妙に感じるのは、「車座の席で、首相から声をかけられた。『喫茶店は「商業施設」が完成し次第、戻ってきたいでしょうね』」(本文引用)。事前に読み上げられる文章を首相は知らされており、それに基づいた言葉であるように感じられるのは、斜め読みすぎるか。言葉の空虚さが高級スーツを着てのし歩いているような気がして仕方ない。そう感じる理由は、31面「首相演説日程 党だんまり」中見出し「HPに掲載せず ヤジを警戒?」の記事でいっそう確信に至る。なんでそんなに気にするのか知らないが、警戒ぶりはかなりのもので、首相への配慮が過剰に働き、周囲をアタフタ走らせているのが露骨に見える。なにやら暗い日常だなあ、と慨嘆する!
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2019年06月11日

「ひたすら聞く」から見えてくるもの

4面「長期戦略に『核融合推進』 温暖化対策4月案から加筆」に注目。「政府が11日に決定予定の、地球温暖化対策の国際ルール『パリ協定』に基づく長期戦略の最新案で、原子力の項目に『夢のエネルギー』とされながら実現が見通せない『核融合』の研究推進が盛り込まれていることが10日わかった。広く意見を募る土台となった4月の案から加筆、研究推進を打ち出している。長期戦略は15、16両日にある主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合に向け、11日に閣議決定の見込み。後に国連に提出される」「水素爆弾の爆発力の源としても知られる核融合は、独立行政法人や大学などで実用化を目指して研究が長年続くが、基礎技術すら確立していない」(本文引用)。温暖化の文脈で「高速炉」の件は聞いていたが、「核融合炉」も盛り込むことにしたという。核融合炉については5月13日の当ブログ「熱核融合炉の可能性について」で書いたばかり。詳しくはそこに譲るとして、2025年の完成を目指して建設中のITER(実験炉)は直径30メートル、総重量2万3千トン。1億5千万度に加熱して作ったプラズマを恒常的に炉内に閉じ込め、核融合を促進させ、水素爆弾の爆発をゆっくりと進めて熱エネルギーを取り出す。
詳しいことは、一般に公開されていないのでまるでわからない。炉の運転が緊急停止しても、たしかに原子炉のように「燠火」が残って熱を長く発し続けることはないかもしれない。だが、1億5千万度のプラズマをつくる装置の安全はどうなのか。「何百万度もの高温に何年間も連続して耐えられる材料」はあるか。実験炉ITERで放射性廃棄物総量は最大2万3千トン。これは商業原発と同じくらいの量だ。実用炉ではどのくらいになるのか。「核融合で生じる中性子が炉の壁にぶつかって反応し、炉内に放射性廃棄物がたまる問題」というのが大きな問題らしいが、「放射性廃棄物がたまる」と言われても、どんな状態でどんな状態のものがたまるのか、まるで見当がつかない。そして思う。原子力についての理解は、市民運動レベルではなかなか正確な理解につながらない。直感的感覚的な理解が不要とは言わないが、持続的に質の高い運動を続けるには、市民が自らの質を高める努力を怠らないようにする必要がある。たとえば来るべき近未来社会の姿について、市民レベルでそれなりの構想を練り、自然との関係や、適正に形成されるべき社会のあり方などの一環として、エネルギー問題が出てくることは必然だと思う。全国レベルの検討もさることながら、地域のエネルギーをどうするか、可能な限り現実的な構想を練っていく必要がある。いまはそんな時期に差し掛かっているのではないかと思う。
そこで目にしたのが2面「ひと 限界集落の『終活』を唱える大学生 前田陽汰さん(18)」の記事。「消滅寸前の集落のことを『再生』の一点張りではなく、『終活』の視点でも語り合おう。そんなネット上の語り場コミュニティー『ムラツムギ』を今春、全国の有志4人とともに立ち上げた」(本文引用)という。高校時代を隠岐で過ごし「週末、釣竿を片手に島内を巡り、農作業などを手伝ううちに、島民の本音に接した」(そして)「先祖が守り続けたものを終わらせてしまう罪悪感。それが島民の人生をつらくしている、と感じたんです」「当面は『「終わり」をタブー視せず、語り合える土壌づくり』に努めるという」(本文引用)。「終活」という側面から限界集落を捉えるのにはブログ主としては、まだ「?」感が消えないが、島民との接触の仕方や理解への至り方などには、学ぶべきものがあると思った。よく耳にする「目覚めない国民」という言葉の奥に、自らの意見を主張して敬遠される自分の姿を見落としている市民運動の側の問題を感じる。この若者は、自己主張する前に「ひたすら聞く」姿勢を堅持している。そこから出発して、自分の発展途上的結論をみつけたのではないか。こうしたら相手の立場に近づき、互いの考えを融合できるかもしれない、という過渡的不十分さを厭わない。自然体でいいなあと思った。難しいからと敬遠して「愚直に実直」と内向きになることを抜ける発想の妙!
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2019年05月30日

いまできるだけ深く考えるべきとき

33面「放射線量計撤去せず 規制委 反発受け方針転換」がある。事故後に設置された約3000台のモニタリングポストのうち、線量が比較的低い地域の約2400台が対象で、昨年3月「これまでに避難指示が出たことがない市町村(略)を3年かけて減らす方針を決め」「昨年6〜11月に15市町村で計18回の住民説明会を開いたところ、反対意見が大多数を占め」「住民の間ではいまも放射線への不安が根強いとして、存続させる方針に転じた」(本文引用)。不安を抱えて地元に住む人々が多いことを知る。危険だから避難するべきだ、という意見を身近でよく耳にする。同時に、避難していた人たちの、避難先での苦悩を思う。ときに彼らが「危険が残る」故郷へ戻っていく意味を思う。そして、今回の処置に対する反発の強さを思う。なぜだろう。不安の多い地元に住むより、避難先で孤立することの方がはるかに苦痛なのだろうか。避難先で生活の不安を抱え、ときには過酷ないじめにさらされながら孤独に生きる。モニタリングポストが目の前にある生活と、機器はないがいじめや差別の視線・言動に耐えて孤独に生きる生活。前者には、「安全・安心」からほど遠いながら、共に生きる仲間がいる。モニタリングポストも全面否定したくなるほど頼りないものではあるけれど、なにがしかの拠り所にはなる。子どもを守る前提がなく、自分だけのこととして被曝を捉えるなら、いじめや差別を孤独に耐えて、自己の尊厳が失われてしまうより、放射線と向き合って仲間と共に生きることを選ぶ。ブログ主が同じ立場にいたとしたら、もちろん定期的に放射線から遠ざかる工夫をしながら、同様の選択をするだろう。原子力災害といっしょになって自分をいじめ差別する外の世間に、個の生き方として、恨みを込めて対峙する。一挙にこれが正しいなんぞと言い切る気はないが、いまの自分の気持ちではある。
そんな前提で「放射線量計撤去せず」の記事を考える。3千台が一気に6百台に減らされる。規制委は「安全宣言」を出したいのだろう。除染が進み、機器の耐用年数も迫っているため撤去するというが、これは理由にならない。ブログ主的には、1)モニタリングポストは次に起こりうる異変を早期に感知する意味を持っている。2)モニタリングポストはガンマ線しか計測しない。3)モニタリングポストは機器周辺の現象しか捉えない。などの理由で「必要十分な機器ではないが、ないよりずっとマシ」と考える。地元に住む人たちも不十分と感じていると思う。そんななか、なんにも示されなくなれば、いっそう不安と感じるのは当然で、外部の反原発運動は安易に、「だったら避難すればいいのに」などと即断してはならない。必要なのは、避難先で孤立感を感じさせるような環境を、どう受け止め解消していくかの視点だろう。「自分はいじめや差別と関係がない」と言い切る自信は、残念ながらブログ主にはない。モニタリングポスト撤去の問題は、個別フクシマの問題ではなく、市民運動に内在する狭い独善への鋭い問いかけでもある。その問いかけはすぐに結論を出せるものではなく、どこかで適当な結論にたどり着いてそこで思考を止めて決着できるものでもない。時間とともに新たに想起される課題を明らかにしつつ発展していくものなのだ、と思う。
東京新聞が静岡県内35市町の首長アンケート(伊豆市と西伊豆町を除き回答)を実施。「浜岡原発が原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合した場合の再稼働について、『賛成』はゼロ、『反対』は8人、『その他』は26人」「半数近い首長が、現状では原発の立地自治体のみが持つとされる事前了解権を広げるべきだ、と考えている」(本文引用)とある。菅直人首相が全面停止を要請以来、すでに8年間も停まったままだ。潜在的な市民意識は、かなりはっきりしてきている。それを市民運動はどう受け止めてどう拡大していくか。考えどころなんだと思う。
☆「浜岡原発 再稼働に賛成ゼロ、反対8人 静岡県内首長アンケート」東京新聞5月22日
https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/1034?fbclid=IwAR0rOu7t3WcC16aRSOp00A0-0FsUXpr9U3pmbGagJMCYrCH1kq4jB38c-Yc
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2019年05月21日

統計不正処理追求、国会論戦はどうなったか

最近の我が家購読紙には3つの傾向がある。「骨っぽい紙面」「ふにゃふにゃ紙面」「両者が分け合う紙面」。日毎に入れ替わっているようだ。「骨っぽい紙面」では、骨っぽさが紙面全体を覆い、中身の紹介すら書けない日があるほど。適度な配分であってほしい。同時に、掘り下げの深い記事にしてほしいと願う。「ふにゃふにゃ紙面」は論外で読むに値しない。「両者が分け合う紙面」は、骨っぽさが削られているようで、なにやら痛々しい。「社内で複雑な葛藤があるのだろうか」とか「アベトモお食事会の腐れ縁が浸透しているのか」と邪推することもある。今日の1面トップは「災害多発 増す保険負担 支払額過去最高1・6兆円 火災保険46%値上げも」と、左側に細長く「GDP年率2・1%増 1〜3月期輸入の落ち込み影響」の配置。そのバランスを考慮したか、2面「陰る内需 視界不良 GDP年率2・1%増1〜3月期 中国減速 設備投資鈍る 個人消費にじむ生活防衛」「消費増税 政府には安心材料■月例報告焦点に」。さらに3面「長期政権の磁界」に「福島の復興 見栄え優先 首相、防護服着ず廃炉視察 統計から外される避難者」「元徴用工問題 日本、仲裁を要請 日韓請求権協定 韓国応じる気配なし 解釈論争再燃懸念か」がある。
GDPについては、今年1〜3月期が年率換算2・1%増。おおかたの予想をひっくり返すような伸びを示し、「専門家から『内容は数字ほど良くない』との指摘が相次ぎ」(2面本文引用)出ているという。輸出も減っているが輸入が大幅に減ったので差し引き相対的に輸出増に見えるだけ、と指摘している。ようするに収入が減ったけれど、支出はもっと減ったので手元に残るお金が増えたように見えるだけ、ということか。中見出しの「個人消費にじむ生活防衛」と同じ傾向が全体に反映されていると理解した。小売大手の広報担当者は、庶民の生活防衛意識の増加を実感しているという。「消費増税を控える政府にとってGDPが2期連続でプラス成長となったことは安心材料」(本文引用)とあり、さすが内閣府の発表だね、と感心する。民間の専門家は、続く4〜6月のGDPをマイナス成長と予測する。「輸出がなかなか戻らず、輸入は1〜3月期の反動でプラスに触れるだろうから、外需がマイナスになる可能性が高い。設備投資も小幅なマイナスが続き、日本経済は低空飛行を続けるのではないか」(本文引用)。24日に政府が公表する月間経済報告はどうなるか、見ものである。
ハリボテ政府の実態を示すのは経済統計などの抽象的次元でなく、現実世界でより色濃いものになっている。3面「福島の復興 見栄え優先」では、防護服とマスクをつけない、スーツ姿の首相について書く。1ヶ月前1〜3号機から100メートル、海抜35メートルの高台で事故原発の現状を視察する姿は、現場の安全性の高まりをアピールするのに格好の材料となった。「首相は『防護服に身を固めることなく、スーツ姿で見られるようになった。着実に廃炉作業も進んでいる』『5年前に視察した時は防護服に身を固めた。今回はスーツ姿で視察ができた』」「首相周辺は防護服やマスクをつけない姿をメディアに取り上げさせることで見栄えを良くし、『復興の進み具合をアピールすること』を狙ったと認める」「1〜3号機周辺の屋外で、防護服を着ないことが許されるのはバスの車内と視察用の高台だけで、高台視察はわずか6分ほど。高台の放射線量は毎時100マイクロシーベルト超と高く、長居は許されない」(本文引用)。見栄え優先の「復興」を強調する姿勢が隠すのは事故現場ばかりではない。記事は「統計から外される避難者」の姿があることに注目。実際の避難者数を低く見積もり、1年前に首相は国会で「避難指示が進んだことで、『避難者の数もピーク時の3分の1。復興は着実に前進している』と語った」(本文引用)。しかし、統計から外れた避難者の存在が隠しようもない。避難者を統計的に減らして表面で取り繕う姿勢は、この政権の悪質さを鮮明にする。熊本地震の被災者を仮設住宅から追い出そうとするのにも、同様の意図を感じる。恣意的統計が、生身の人間を現実世界から排除していく!
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2019年05月13日

熱核融合炉の可能性について

15面に「科学の窓 核融合炉研究の途上」がある。ITERと名付けられた実験炉で、直径30メートル、総重量2万3千トン。当初18年完成を目指していたが、いまは25年に先延ばしされている。「核融合反応は、燃料を入れ続けなければ反応が止まるなど核分裂とは原理が異なり、安全性にも優れるとされる。核融合で生じる中性子が炉の壁にぶつかって反応し、炉内に放射性廃棄物がたまる問題はあるが、二酸化炭素を排出せず、環境問題とエネルギー問題を解決する『夢のエネルギー』として期待され」「ITERでは稼働させるために投入したエネルギーの10倍を取り出すことをめざすが、そもそも膨大なエネルギーに耐える炉の金属材料などが欠かせず、技術革新が必要になる」「日欧で共同開発する(略)『JTー60SA』が来年3月に組み立てを終え、発生させたプラズマを100秒ほど持続させ、成果をITERに反映する」(本文引用)とある。日本では1950年代から研究開発が続けられてきており、実用炉は今世紀半ばが目標という。つまり100年を超える壮大な計画が進行中というわけだ。1950年代といえば、核兵器が実用化されてまだ間もない頃。そのときすでに研究が始まっているということは、もしや核分裂による方法の問題点が、専門的にはすでに語られていたということなのだろうか、と勘ぐりたくなる。
シロウトにはわからないことだらけである。「核融合反応は燃料を入れ続けなければ反応が止まる」というが、どのくらいで止まるのだろう。膨大な熱が発生しているから、完全停止時間の長短によって、燃料閉じ込め用の磁場が止まった後、コントロールを失ったプラズマが暴走するようなことはないだろうか。また、以下のような古い記事もある。ゆっくり進む研究であるだけに、まだそれほど古びた見解にはなっていないと思う。「超電導磁石で作り出した磁場によって水素同位体を保持し、1億5000万℃の高温に加熱する」(本文引用)とあるが、どの部分の設定温度なのかわからない。たぶんプラズマを作り出す過程じゃないかと思うが、炉内の核融合熱も含めてこの高温は装置を止めてすぐ安全域に達し、炉の安全を保てるのだろうか。「この点火はほんの序の口にすぎない。研究者の間では、核融合発電所の建設と運転は,核融合の火の玉を作り出すという物理的課題よりもずっと困難だろうという認識が広がりつつある。実用的な核融合炉を作るには,何百万度もの高温に何年間も連続して耐えられる材料が必要になる。しかも、高エネルギーの核子が常に衝突するので、通常の材料は脆くなるし放射能を帯びてしまう。さらに、一部の核融合燃料を複雑な増殖プロセスによって生産する必要もある。テキサス大学オースティン校にある核融合研究所の所長ヘイゼルタイン(略)は『これまでの考え方は、「確かに難しい問題はあるが、いずれ解決はつくだろうから、まずは核融合反応そのものに集中しよう」というものだった』という。『それは間違いだったかもしれない』」(本文引用)
たしかに「間違いだったかもしれない」との可能性を否定できない。ITERで発生する放射性廃棄物は最大で2万3千トン。発電装置を含む施設になると、さらに莫大な放射性廃棄物が生じる。場合によったら核分裂炉に勝るとも劣らない廃棄物が、宴のあとに残される可能性がある。「核融合で生じる中性子が炉の壁にぶつかって反応し、炉内に放射性廃棄物がたまる問題」というが、反応の全体像がみえてこない。「炉内にたまる」程度の問題なのかどうか。じつは「炉が損傷」するということではないのか。疑問は尽きない。核融合炉は現状でトカマク型が主流だが、ほかにヘリカル型やレーザー核融合型の研究も進行中という。我が家購読紙に戻ると、「日本政府の工程表では、35年ごろに原型炉を(略)判断」「今世紀半ばに実用化」とあるが、全体の進行状況を見ると、この工程表も現実味を感じられるほどのものではない。そこまでしてしがみつくべきものかどうか・・・。
☆「核融合炉は本当に可能か?」日経サイエンス2010年6月号
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1006/201006_102.html
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2019年05月10日

微妙に浸透する誘導のワナ

1面トップに「東京五輪チケット はや熱狂 初日からアクセス集中 18万人待ちも」の記事。そのすぐ下に分量がかなり劣る「福島第一排気筒 20日から解体へ 事故後『ベント』に使用」がある。思ったのはこの二つの記事が同じ分量だったらどうなるか。または、位置関係も分量も真逆だったらどうなるか、ということ。五輪は心を浮き立たせる。福島第一排気筒は心に波風を生じさせる。質は違えど重要性において両者に差はなく、より重く受け止めるべきは、こうした陰と陽が激しく並び立っている現状への認識ではないか。その意味で両者は、少なくとも現代を明確に語りつくすために並び立たせるべき記事ではなかったか。自分の熱狂を求める気分の隣に、こんなに恐ろしい現実がぱっくりと大きな口を開けており、熱狂しようと心はやる自分をじっと覗き込んでいる。おそらく覗き込まれた多くの心は瞬時に怯み、福島第一排気筒が解体に失敗して全長120メートルの筒体が轟音とともに地上に落下する幻想を見たことだろう。そして、見るも無惨な光景が脳裏をよぎる瞬間、心は自分を守るために五輪チケットの熱狂を選び、福島第一排気筒の忌まわしい姿を消去してしまう。そんな心理を誘導する操作が、この記事の並び方にじわり見えがくれしたように思った。1面に両記事が並び立つスペースがないのなら、いっそのこと福島第一排気筒の記事は1面左に押し込め、2面にその詳報をたっぷり掲載すべきだった。マンション記事はどこか他の面で扱われるべきだった。それでこそ原発事故現場で危険な作業を続けているのは、遠くで浮かれている自分の分身なのだと密かに知るきっかけとなったことは間違いない。記事の並べ方で新聞の視点が大きく変化する。そんなことを感じ、報道の弱々しい現状を思わせる紙面の配置に、初っ端から失望を禁じ得なかった今朝の新聞論調だった。
同様に3面の二つの記事「米中攻防 残された難題 知財保護 補助金 市場開放」中見出し「譲らぬ米強硬派」「先端技術巡り危機感」「IT領域歩み寄れず」と「北朝鮮、また飛翔体発射 ミサイルか 日本海へ2発」の関係にも微妙さがつきまとうのを感じた。米中通商交渉は9日開始。米による追加関税は10日に発動。この関係が意味することはなにか。中国は「必要な報復」を示唆し、トランプ米大統領は「『年に1千億ドル以上の関税が入るのが楽しみだ!』とツイート」「追加関税は、大半の商品に実際に適用されるまで数週間かかる」「中国側の譲歩を引き出す交渉材料になる可能性も」(本文引用)とあるように、これはトランプ流の綱渡りだろう。それがただの「綱渡り」ならいいが、米大統領という彼の立場からすれば世界経済に与える影響はディールの範囲を超え、とんでもない結果をもたらす可能性を否定できない。現に日本の輸出産業が大きく中国に依存している現状では、日米通商交渉も含めて、かなりの困難を予感させる。その困難な状況下に、「北朝鮮、また飛翔体発射」の記事がある。少し前なら官邸は「北の挑発だ」「ミサイル発射だ」「さらなる制裁を」とがなり立てるところだが、いまは、誰が見ても弱腰外交でしかない対応に終始している。6者協議で日本だけが蚊帳の外に置かれ、対中、対ロ、対韓ともに話が通じず、まさか米との蜜月もただの過剰な国内向けの演出かと見紛うばかりの現状。外交全般どこを向いても成果がない。そんなどん詰まりに陥って、いまさら彼らしくない妥協を余儀なくされているのを、北はすでに見越しているのではないか。3面に並ぶ二つの記事は、日本にとって最重要であるはずが、それをほとんど匂わせない。そして10面「社説」の「イラン核合意 存続目指す国際協調を」の記事は、中東の核拡散を防ぐはずの米が逆に危機を煽っている構図を描いてみせる一方、論調は北朝鮮関連の記事と微妙に遠い距離を置いている。トランプとの蜜月を誇る日本であるなら、ここでも「外交巧者」の実力を発揮すべきところ、なんの打つ手も持てていないオソマツは書かれないまま。そんななか、この国の民は考える主体である自分を放棄して、いったいなにを頼りに気分を浮き立たせているのだろう。不思議国日本の惨状が音高く進む!
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2019年05月07日

今日が休刊日だったというオソマツ

昨日は休刊日と思い込んでいて、新聞受けなんか覗かなかったので、起床して新聞を取りに行ったら昨日のが夜露にしおれて入ったままになっている。というわけで本日は昨日の5面「社説」の「東海第2原発『茨城方式』が問われる」にまず注目。日本原電が地元6市村と安全協定を結んだのは去年。協定は「事前協議で実質的に事前了解を得る」と定めるが、6市村すべての同意については、原電と地元とで食い違いがある。地元は6市村の納得が必要とし、原電側はあいまいな態度でいる、とこれはすでに周知の事実。「茨城方式」が実現したとき、「これは画期的だ」とブログ主も思ったものだった。茨城県には原発のみならず、さまざまな原子力関連施設が集中している。いろいろと問題を起こす高エネルギー加速器研究機構や日本原子力研究開発機構などの諸施設が動いており、大強度陽子加速器施設(J−PARC)では、放射性同位体漏洩事故が2013年に発生。大騒ぎになったが、確かすぐそばを国道だったかが走っていたと記憶する。大洗研究所の燃料研究棟では2017年に核燃料貯蔵容器の点検中に職員が内部被曝する事故も発生。燃料研究棟は政府が核燃サイクル維持のために進めたがっている高速炉用の新型燃料を研究している。ウィキの「日本原子力研究開発機構」の「研究開発部門」をみると、重要な研究施設が多くあり、いくつかでは杜撰な施設運営がみつかってしばしば注目されている。諸施設のそばには保育園や学校もある。原電とは別施設が多いのだろうが、さまざまな施設が住民生活とごちゃごちゃ混ざり合いながら存在している。いまでも住民の不安は大きく、ここで6市村が大幅譲歩したら、不安が不満になって爆発するだろう。原電も6市村も腹をくくってかからないと、将来に禍根を残すことになる。
「県内市町村の半数以上で、議会が再稼働に反対する趣旨の意見書などを可決した。30キロ圏内の人口は全国の原発で最多の94万人」「市町村の避難計画づくりは難航している。県も独自に安全性の検証作業を続けている」(本文引用)。そんななか、原電は「住民説明会を始め」「原子力規制委員会の審査結果や、新規制基準に対応する安全対策工事について説明し、理解を広げる」「原電は今後、安全対策工事を本格化させる構えだ。再稼働に向けて既成事実を積み重ねるような姿勢は、地元に対し不誠実だと言わざるを得ない」「1740億円と見込まれる費用を、経営難の原電は自力で調達できず、株主の東京電力などに支援してもらう方針だ」「東電には、とりわけ重い説明責任がある。地元同意を得られなければ、この巨額の資金は無駄になる。その場合、関係各社の経営陣は、結果責任を厳しく問われることも忘れてはならない」(本文引用)。それにしても、なんで廃炉にかかるいろんな作業で杜撰な管理運営が起きやすいのか、わけがわからない。電力会社の頭が「再稼働による経常利益」にしかないせいか。「儲け優先、損失後回し」という経営陣の石頭を切り替えないと、いつかこの国はとんでもないことになるのにな。
同面「声」欄に「平成から令和へ 熱狂に違和感」という投書があった。そういえばどこかで100人ほどが提灯行列をやったという記事を読んだっけ。なにを血迷ったのか、というべきか。提灯行列は大日本帝国憲法発布や戦争勝利を祝う時などに行われた。それが意識されているのは確かだろう。関連で以下の記事をみつけた。「宮内庁は当初、平成の代替わりに倣い、10月22日の『即位礼正殿の儀』の後に行う計画だった。官邸サイドが方針転換し、押し切られる形で10連休中の前倒しが決まったという。夏の参院選を控え、代替わりの成功を政権浮揚に結びつけようという官邸の思惑が透ける。『皇室の政治利用と言われてもおかしくない』―宮内庁サイドからそんな声が上がるのも、もっともだと言わざるを得ない」「このところ内政も外交も手詰まり感があったにも関わらず、内閣支持率は大きく上昇」(本文引用)。天皇に制限を加えるが、天皇を政治利用するのに歯止めをかけない、というのは天皇を傀儡化する行為にほなからない。天皇制を主張しつつこれを問題視しない論理矛盾!
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2019年04月26日

あちらの内部はけっこう揺れている

24日の新聞に「消えた『石炭火力全廃』 温暖化対策 有識者懇の提言」中見出し「座長案に産業界が反発」「『秘密』会合2度 議事録も作らず」があり、隣に「長期戦略案 政府が公表」が並ぶ。これは20日当ブログで書いた「温暖化の対策案『原発推進』鮮明 政府、国連に提出へ」の関連記事で、表現に微妙なズレがある。20日新聞記事では、「原発は『実用段階にある脱炭素化の選択肢』とし、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとの目標」を掲げ、これを軸に長期戦略案を確定し、国連へ提出すると書かれていた。また、有識者懇提言は「原発について省エネルギーや再生可能エネルギー、水素などとともに技術的な選択肢のひとつとし、『安全確保を大前提とした原子力の活用について議論が必要』だとして、推進までは踏み込んでいなかった」とあるのを「長期戦略案では『原発を二酸化炭素大幅削減に貢献する主要な革新技術の一つとして取り上げ、「可能な限り原発依存度を低減する」としつつも、「安全確保を大前提に、原子力の利用を安定的に進めていく」』」「23日に公表し、国民から意見を募った上で6月に大阪である主要20カ国・地域首脳会談(略)までの正式決定をめざす」と書かれていた。つまり、有識者懇の結論よりかなり後退した印象だったが、24日新聞記事「長期戦略案 政府が公表」には、「国連に提出」の記述がない。「原発は『実用段階にある脱炭素化の選択肢』と位置づけ、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとし、原発推進の姿勢を鮮明にした」(本文引用)とあるだけで、「G20までの正式決定をめざす」と書かれているが、「国連」と「国民から意見を募る」の文字はない。
24日の記事は、座長案に示されていた「石炭火力全廃」が産業界の委員の発言で消されたことが主題である。提言をまとめた「パリ協定長期戦略懇談会」は首相の指示で設置された組織で、「石炭火力」について座長案は「長期的に全廃」「今後、原則として、公的資金の投入、公的支援は行わない」(本文引用)とあったのを、中西経団連会長が「世界で石炭火力が引き続き受容されている」(本文引用)として反対。日本製鉄やトヨタなどの会長が中西意見に続いたため、後退した文言に収まったという。一方で原発について座長案は、「『気候変動対策としても重要かつ現実的な選択肢』『脱炭素時代のネネルギーミクスにおいて不可欠な構成要素』と位置づけ、推進する表現を盛り込んでいた」(本文引用)とある。これは環境ジャーナリストや河野太郎の意を受けた外務省から異論があって、「可能な限り依存度を低減しつつも、安全性確保を大前提とした活用についての議論が必要」(本文引用)に落ち着いたようだ。この部分に「国民から意見を」との意図が滲んでいるのだろうか。
石炭火力については4月12日当ブログ「時代が大きくうねっているときに」で同日紙面に触れ、「『石炭火力への融資半減へ 三菱UFJ 新設には融資せず』があり、メガバンク三菱UFJが30年度までに石炭火力への融資残高を最大半減するという。思い出すのは昨年の記事だ。『地球温暖化への悪影響が指摘される石炭火力発電への投融資を厳しくする動きが、大手銀行の間で出始めた。海外を中心に高まる石炭火力への批判へ配慮を迫られた格好だ。ただ、日本政府は石炭火力を推進しており、大幅な方針転換は簡単ではない』『3メガバンクグループは、この新指針を今後も定期的に見直し、さらなる厳格化も検討する』」と紹介。これらを見ると、産業界が石炭火力推進を諦めていない一方、3メガバンクはすでに距離を置き始めているのが見て取れる。3メガバンクはこのほか4月4日「地銀の危機でいよいよ独禁法をいじくる」で書いたように、3メガ+日本政策投資銀行が東芝メモリに計1兆3千億円を融資すると報道されたばかり。経済界内部にもズレが見えるというべきか。政治への影響が強まり、それは黒田日銀にも影を落としている。本日7面「動けぬ日銀、苦肉の策『大規模緩和 20年春頃までには』」があり、輸出産業への打撃が懸念される。中西会長の暴走の背景はこのあたりにあるのかな。
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2019年04月25日

責任転嫁は上下前後左右の全方位に向かう

1面「天声人語」が坂口安吾の言葉に託して思いの丈を綴る。「敗戦の年の夏のことを、作家の坂口安吾が苦々しく書いている。『国民は泣いて、ほかならぬ陛下の命令だから、忍びがたいけれども忍んで負けよう、と言う。噓をつけ!嘘をつけ!嘘をつけ!』。我ら国民は戦争をやめたくて仕方がなかったではないか」「日本人のそんな振るまいを安吾は、『歴史的大欺瞞』と呼んだ。死にたくない、戦争が終わって欲しいと切に欲していたのに、自分たちでは何も言えず、権威の行動と価値観に身を委ねる。自らを欺く行為に等しいと、安吾には映った」(本文引用)とある。「死にたくない、戦争が終わって欲しいと切に欲していた」とあるが、若干疑問に思う。「切に欲する」気持ちを封印して、主観的感覚の外へ放り出しひたすら空襲下を逃げ回っていたのではなかったか。せいぜい「死にたくない、『空襲』が終わって欲しい」と切に願っていたかもしれない。だからこそ「戦争が終わり死ななくて済んだ」と自覚したとき、一種の放心状態に陥り、「生き延びたことに安堵して」戦後を生き始めたのではなかったか。などと斜め見の感想を持ち、そのあとの記述で「力がこもってるなあ」と、ちょい感心した。天皇観が大きく変わったはずの現代にもかかわらず、精神構造は同じ感覚を引きずっていないか、とあるのだ。さらに、天皇の「象徴としての務め」は加害の歴史を忘れない平和憲法を体現する道、と評価しつつ、それは天皇という権威が担えば済むものではないのに、国民は「おまかせ民主主義」に陥っていないか、と問い、「世襲に由来する権威をなんとなくありがたがり、時によりどころにする。そんな姿勢を少しずつ変えていく時期が、きているのでは」(本文引用)と、ラストで締める。限界ある商業紙としてはなかなかな書きっぷりだと思った。
1面には「テロ対策遅れ 原発停止へ 規制委方針 期限延長認めず」という記事も。たしか伊方原発で米軍航空機が原発上空をかすめて墜落したことがあったと思い、探して以下の記事を見つけた。写真入りでわかりやすい。「伊方原発上空を飛行していた米海兵隊ヘリが、同原発から800メートル先に墜落するという事故」「機体は強い衝撃で跳ね返り、山頂を越えて南側斜面を200メートルほどずりおちて大破。乗組員7人は全員死亡」「機体が跳ね返らなかったら、原発敷地内に落ちて大惨事になっていた」(本文引用)とあり、伊方原発上空を通過して送電鉄塔群のすぐそばで山腹に衝突してバウンドし、墜落した様子が示されている。この記事を紹介した「アシュラ」の記事では、さらにいくつもの報道が引用されている。伊方については「航空機にとっては800メートルなど目と鼻の先、まさに危機一髪」「加圧水型よりも頑強だといわれる沸騰水型原発の建屋だが、福島第一原発の爆発でボロボロになり、無様な姿を晒した。最上階はクレーンが移動するため柱が立てられないし、崩落したら原子炉や燃料プールを直撃するので、屋根は厚くできない。ペラペラである。航空機の墜落にはとても耐えられないことは明らかである。伊方のような加圧水型原発はさらに脆弱で、航空機が墜落したらひとたまりもない。東京新聞によると、原発上空は飛行禁止という合意があるにもかかわらず、米軍機は無視して飛んでおり、地元民を不安と恐怖に陥れている」(本文引用)。その伊方で3号機が稼働中。しかもテロ対策施設がまだ設置されていないという。「天声人語」に戻ると、「権威に任せとけばなんとかしてくれる」というのは庶民の専売特許ではなく、国全体に蔓延しているものだと知る。最上位に最終責任転嫁装置たる「天皇元首制」を復活させようとしているのが、この国の宿痾の根源を思わせる。
☆「伊方原発上空飛ぶ危険 オスプレイ 普天間〜岩国間で訓練 88年 間近に米ヘリ墜落」しんぶん赤旗2012年7月22日
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-22/2012072201_01_1.html
☆「航空機墜落の恐怖 危機一髪だった伊方原発 六ヶ所村は三沢基地からわずか30キロ」アシュラ2014年12月21日
http://www.asyura2.com/14/genpatu41/msg/448.html
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2019年04月23日

世界に向けて「ご飯論法」かい?

1面に「政府、WTO判断を誇張説明 『日本産食品は科学的に安全』記載なし 『韓国の安全基準クリア』認定取り消し」の記事があるが、なんともわかりにくい。これを理解しようとする人はどれくらいいるだろう。また、理解できる人はどれくらいいるだろう。「韓国による東京電力福島第一原発事故の被災地などからの水産物の全面禁輸を事実上容認した世界貿易機関(略)の判断をめぐり、政府が第一審の判断を根拠に説明している『日本産食品の科学的安全性は認められた』との記載が第一審の判決文にある報告書にはないことがわかった」(本文引用)。なんのことかよくわからない。菅氏は記者会見で「敗訴ではない」と強調。その根拠は(第二審は「日本産食品の安全」に触れていないので)「日本産食品は科学的に安全であり、韓国の安全基準を十分クリアするとの一審の事実認定は維持されている」(本文引用)というのだが、その周辺の説明が回りくどく完全に意味不明。7面「WTO『敗訴』原因と影響」にある論評「科学的根拠 立証避けて裏目」を読んですこし納得した。「今回の紛争の本質は、韓国の輸入禁止処置に科学的な根拠があるのかどうかだ。日本はこの『本丸』を正攻法で立証せずに脇から攻め、裏目に出た印象だ」「WTOの国際ルール『SPS協定』は、2条の2で、各国の輸入規制は『科学的な原則に基づいてとること』を求めている。日本はこの条文では訴えず、『同一または同様の条件下にある国の恣意的または不当な差別』(2条の3)と、『必要以上に貿易制限をしてはならない』(5条の6)で韓国を訴えた」「日本が2条の2違反を主張しなかったのは、立証が難しいと考えたからだろう」「『王道』の議論を避けた時点で勝ち目はなかったと思う」(本文引用)とあり、ブログ主の無い知恵絞った解釈は、「日本政府は訴えるとき『科学的な原則』を故意にはずしたから、それについてWTO上級審は判断しなかっただけ。したがって、書いてないからといって『日本産食品は科学的に安全』という政府の釈明は成り立たない。これはいつもの『ご飯論法』の言い回しだ」というもの。
国際的な論議で「ご飯論法」ってのは、まったくいただけない。もうひとりの「国際経済法の専門家」は「法律論としては、今回は『引き分け』との評価が一番妥当だ。ただ、重要な日本の主張が退けられた観点では、日本の事実上の敗訴といえる。今後、原発の事故を理由に日本産食品に輸入規制をかけている23カ国・地域と、日本が規制撤廃を交渉していく上で、痛いつまずきとなった」「日本は今回の判断を契機に、WTO改革を主導していく役割を果たしてほしい」(本文引用)とある。解説には、日本が15年8月に提訴し、第一審で「不当な差別」として韓国に是正勧告。第二審上級委員会が「検討不十分」として破棄。WTOの紛争処理は二審制なのでこれで確定、と書かれている。「科学的根拠」を避けて「勝てる」と判断したのが間違いだったというが、ここで感じるのは、日本が「科学的根拠による主張に自信がなかった」のではないか、ということ。「国際的に自信がなくても、国内的には避難指示解除を強行して『箱としての地域再生』を強引に進め、人をその目的のために『箱』に配置する」という転倒した「復興」施策が根底にあって、「科学的根拠」の主張が不利になると判断したのではないか、などなど。
4月10日の当ブログ「意図せずに自分に仕掛ける自縛の罠」で書いた「人間の復興を考えずに、事故前にあった人間を入れる箱を整備し、『入れ物ができたから帰還せよ』」という国家の視点が国内向けにはあれこれの策を弄して通用しても、国際的に否定されるリスクを見越したら、「科学的根拠」で敗訴するわけにはいかなかったということがあるのではないか、などと勘ぐる次第。いつまでもこんな姑息なことをやっていたら、国民があからさまな矛盾に気づいていつかとんでもないことが起こり、国際的にもさらに孤立を深めていくことになるんじゃないか。そんな気がした今日の報道・・・。
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2019年04月20日

新規制基準もクリアできないクセに

3面「温暖化の対策案『原発推進』鮮明 政府、国連に提出へ」にびっくり。福島第一原発事故の惨状に直面した各国は、恐れおののきながら事態の推移を見守っていた。その当事国がここまでおおっぴらに原発推進を公言する。「バカじゃないの?」と首をかしげているだろう。「地球温暖化対策の国際ルール『パリ協定』に基づき、政府が国連に提出する長期戦略案」「原発は『実用段階にある脱炭素化の選択肢』とし、安全性・経済性・機動性に優れた炉を追求するとの目標」(本文引用)を掲げるとある。COP21で50年までに温室効果ガス削減の数値目標を各国が出すという提案に対し、日本は抵抗して「数値目標」ではなく「努力目標」に強引に格下げさせた経緯があったと記憶する。「努力目標だから、達成しなくてもいいもんね」なんてはしゃいでいたのもつかの間、たちまち世界から袋叩きにあい、COP22、23と存在感を薄くしていった経緯を忘れたのだろうか。2017年12月4日当ブログ「原子力からの脱出なら温暖化でも寒冷化でも」にあらましを書いているが、当初は最新型石炭火力に露命を繋ぐつもりであったのがそれも各国からの批判を受けて頓挫。ブログは新聞から引用し「高効率を理由に石炭火力発電の輸出を図る日本は、批判にさらされている。『前世紀の技術でしょう』。パリ協定の取りまとめ役だった前条約事務局長のクリスティアナ・フィゲレス氏の厳しい指摘に、日本からCOP23に参加した企業関係者は凍りついた。政府が自国の石炭技術の高さを説明したときだった」「日本気候リーダーズ・パートナーシップ代表代行の加藤茂夫氏は『このままでは、世界から取り残されてしまう危機感を持った』と話す」と書いた。当時の状況はすでに末期的で、ヨーロッパの実情を知った大手輸出企業の社員たちは、あまりの孤立感に涙したとの記事を読んだ記憶がある。
気になるのは2日の政府の有識者懇談会の提言で「原発について省エネルギーや再生可能エネルギー、水素などとともに技術的な選択肢の一つとし、『安全確保を大前提とした原子力の活用について議論が必要』だとして、推進までは踏み込んでいなかった」(本文引用)とある。一方の国連へ提出する長期戦略案では「原発を二酸化炭素大幅削減に貢献する主要な革新技術の一つとして取り上げ、『可能な限り原発依存度を低減する』としつつも、『安全確保を大前提に、原子力の利用を安定的に進めていく』」(本文引用)としていること。有識者懇談会と国連提出案には、若干の隙間が存在するといえるだろうか。「23日に公表し、国民から意見を募った上で6月に大阪である主要20カ国・地域首脳会談(G20サミット)までの正式決定をめざす」(本文引用)とあるように、これが中西経団連会長の「国民的議論」提言に対する政府の考え方だとしたら、経済界の不満が解消するとは言いがたい。隙間拡大を試みる余地が仄見える気がするのは、ブログ主の甘すぎる観測か。「どうせ原子力村の内部事情」などと達観していても事態は前に進まない。というより、後戻りを阻止できない。多少なりとも可能性を見出して隙間をつつくということもあっていいはずと思う。
12面「社説」に「原発テロ対策 期限延長はありえない」がある。この報道は他紙ではすでに散見されていたが、なかなか我が家購読紙には出てこなかった。「なぜかなあ」と思いつつ読むと、「再稼働した原発を持つ関西、九州、四国の電力3社がそろって、『原発のテロ対策施設を期限内に完成できない』との見通しを示した」「3社は今回、6原発12基について、テロ対策施設の設置期限を1年〜2年半ほど超えてしまうと規制委に説明した。工事が大規模で難易度も高いため遅れているという」(本文引用)が、規制委では「見通しが甘い」「延期はありえない」との意見が出ている。記事は、新規制基準のクリアが再稼働に必要なお墨付きである以上、できない原発はいったん止めるべしとし、「暴走し始めると手がつけられなくなる設備を動かしている」(本文引用)そのことを肝に銘じるべき、と主張する。先の国連提出案と重ねて、政府が「国民から意見を募る」ときの参考に、記憶しておくべき一項目と思う。
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2019年04月18日

新たな「徴用工」問題を生み出していないか

1面「原発に特定技能外国人 東電 福島廃炉に受け入れ」の記事。「4月から始まった新しい在留資格『特定技能』の外国人労働者について、東京電力が、廃炉作業の続く福島第一原発などの現場作業に受け入れることがわかった」「元請けなど数十社に周知した」「『建設』『産業機械製造業』『電気・電子情報関連産業』『自動車整備』『ビルクリーニング』『外食業』が該当すると示した」「柏崎刈羽原発でも受け入れる方針」「放射線管理対象区域では『放射線量の正確な理解、班長や同僚からの作業安全指示の理解が可能な日本語能力が必要と考えられる。法令の趣旨にのっとってください』と伝えたという」「法務省は(略)事業について『全て廃炉に関するもので、一般的に海外で発生しうるものではない』とし、『国際貢献』という趣旨から不可としてきた。だが特定技能について東電は、法務省に問い合わせた結果、『新資格は受け入れ可能。日本人が働いている場所は分け隔てなく働いてもらうことができる』(東電広報担当)と判断した」(本文引用)という。3面にも関連記事「『福島廃炉に特定技能外国人』被曝管理 日本語の壁」があり、その背景には東京五輪の影響による人手不足があるとする。これまでにも外国人労働者を受け入れていたようで、「『国際貢献』という趣旨から不可」という記述とどういう関係になるのか、記事からはわからない。しかし、放射線管理対象区域外とはいえ確認が不十分だったと認め、実習生に必要な情報を与えないまま除染作業をさせていた建設関連会社が処分されてもいる。除染作業で従業員100人の会社の役員報酬が77億円というぼったくりタコ部屋が横行する世界だ。言葉の通じにくい実習生たちが、金に群がる亡者たちの犠牲になっていることに目を向けず「平安な日常」を送るなど、我等自身無意識の犯罪に加担しているのではないかと思う。
「東電によると、国外の原発で働いて被曝したことがある場合、被ばく線量は労働者が自己申告することになっている」(福島廃炉作業の経験者は)「日本人ですら被曝による労災申請の方法はよくわからず、ためらう。外国人ではなおさらではないか」(本文引用)という。EU加盟国間では被曝線量を一元管理することになっているが、フランスでも多くの外国人労働者が働いており、制度はあっても一元管理されておらず、知らずに線量限度を超えてしまう恐れを訴える声が労働者からあがっているという。もともと妥当とはいえない国策で無理を重ねる廃炉作業の過酷さに加えて言葉の壁、闇企業の暗躍が重なり、とんでもない労働環境が横行している。この国はまさに国際的闇市場を抱え込んで、泥沼へ深々とはまり込んでいく途上にある。識者は「日本で実効性のある、国境を越えた一元管理の制度を早急につくるべきだ」「第一原発での作業について『防塵マスク以上の装備が必要な現場がほとんどだ。小さなミスや突発的なトラブルの際に瞬時に言葉が理解できないと、大きな事故につながりかねない。(略)』と懸念する」(本文引用)と語る。下請けというシステムは、トラブルなどの責任を下へ下へと押し付けるようにできている。請負の構造が多重になるほど責任の所在が曖昧になり、「国境を越えた一元管理の制度」を自動的に拒むシステムといってもいい。それが従業員100人で役員報酬が約80億円という暴利を許す温床になる。そんな実態を残したまま、「特定技能」に関する協力覚書を5カ国と結び、さらに4カ国との締結を目指している。これは新たな「徴用工」問題を生み出すもとにならないか。すでに過去に同様の経験がある以上、私たちは「知らなかった」では済まされない立場にいると自覚しなければならない。
☆「【独自】『お金ならなんぼでもある』除染で“利益率”5割超…“国民負担”3兆円の闇」プライムニュースデイズ3月12日
https://www.fnn.jp/posts/00435790HDK
☆「『なぜ?』相次ぐ技能実習生の死 ベトナム人尼僧の嘆き」朝日新聞3月30日
https://www.asahi.com/articles/ASM3Y54MRM3YUTIL026.html?fbclid=IwAR2ARZMMZ_AkjVuyAh--ByzbAOwqAZ3U9PgDk_A3Ee62lqbktaMXPiCMHkM
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2019年04月16日

美しくないしょぼい国になったもんだ

3面に「3号機核燃料搬出開始 福島第一 不具合続き 不安の中」がある。使用済み核燃料プールからの取り出しで、長さは約4・5メートル、重さは約250キロ。水中で専用の金属容器に移し、7体を一組として30メートル下の地上へ降ろし、別の共用プールへ移動する。15日は4体を収容。所長は「『本日はゴールではなく、新たなスタート。2020年度の完了に向けて、責任を持って取り組みたい』と、完了時期を維持する方針を示した」(本文引用)という。まったくあたらしいことをやっているので初動ミスはつきものといっていい。昨年3月以降、細かなミスが続出して経産省幹部も「万全」という言葉は使わなかった。「作業開始がさらに先送りされれば、23年度に開始予定の1、2号機の燃料取り出し工程などにも影響しかねない。準備工事の関係者は『安全優先としながら、工程は死守しろというプレッシャーの中の作業だった』と話す」(本文引用)というから、かなりスケジュール的にきつかったことが感じられる。14日には首相が原発構内に入ったため、これにあわせて日程調整があり、14日夜の作業開始も模索されたらしい。なんだか、安全より忖度が優先されたように思うのは斜め見かな?
首相の原発事故現場視察は4面「首相、福島第一原発を視察 5年半ぶり、桜田氏に言及せず」でさらりと書かれている。「復興より議員がだいじ」で有名なあの失言居士の桜田氏が辞任した直後のこととて、「選挙がだいじ」な首相としては、「アンダーコントロール」宣言の手前もあり、少しアピールする必要を感じたらしい。3面には「輸入規制 解除求める 日本産食品 外相会談で中国に」がある。世界貿易機関(WTO)が日本産食品の輸入規制で韓国の規制を容認するとしたことを受け、中国も規制を強める可能性があるなかでの牽制である。こうなると、対中対韓で目くじら立てている場合ではないのに、大阪で開催される予定のG20首脳会議で文在寅大統領との首脳会談を見送るつもりでいる。外交では緩急自在の対応がとくに必要となってくると思うが、首相にそれを望むのは無理のようだ。記事からは、見事にすれ違った会話のお寒い空気しか感じられない。
3号機の問題に戻ると、使用済み核燃料の移動については各原子炉とも、4年から6年ほど作業工程が延期され最終は24年半ば。まずは20年の東京オリンピックまでに3号機が完了できるかどうか。できれば五輪開催中は作業をストップしていたいだろうな、と忖度するが、これが終わったところで、圧力容器を突き抜けて格納容器も突き抜けているかもしれない溶融核燃料の取り出しはこれ以上の困難を伴うし、半端でない放射線量が予測される以上、現在の使用済み燃料よりさらに慎重な対応が求められる。「スケジュールありき」なんて呑気なことでは済まされない困難さがある。「入れ物を復興させるが人間を復興させる気がない」政治にとって、これはまさに収束作業員を特攻作戦に駆り出す冷血しか感じさせない暴虐といえる。入れ物の復興を目指すために汚染水や除染土を含めて袋小路に陥っていくより、長期的に安全を確保しつつ、「鉄板遮水壁と粘土投入」で全体を「石棺化」するのがより望ましい方法だったのではないか。
沖縄に対して「地方には地方の民主主義があり、国には国の民主主義がある」と豪語したのはだれだったか。福島でも同じ構図が進んでいく。桜田発言でもそうだが、ゾロゾロでてきた他の暴言大臣も含めて、彼らの考え方は金太郎飴。拉致問題政治利用で、いまや日朝会談の可能性も目処が立たず、文在寅大統領と会談する機会も得られないまま、国際的な孤立の淵に立たされている。今日のテレビ報道では日米貿易交渉の推移が報じられているが、「日米物品協定」なんて言葉はどこにもでてこない。「為替条項」とか「自動車」とか「農産物」に言及するあたりに、国策よいしょの報道機関でさえ「TAGではなくてFTA」の構図を描き出す。そういえば「こんな時期に消費増税なんて考えられない」と論評していたのは、どこの国の報道機関だったか。いよいよ孤立し小さくなっていくこの国のしょぼい未来が浮かび上がる。
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2019年04月15日

規制緩和は戦後民主主義の全成果を壊す試み

経団連会長が目一杯の焦りや苛立ちを表して政権よりさらに前のめりの提言を発表してから1週間。世間の反応はあまり芳しくない。経済情勢が急速に切羽詰まってきたとき、政治がそれを受け止めて速やかに動けるとは限らない。経済が切実でも、政治にはタイミングがある。そのタイミングが政権の運営者と国民とのあいだで大きくズレているとき、拙速に動けば、政権にとって望まない結果を招きかねない。そんなとき、いくら凶暴な独裁者のあの人でもすぐには対応できない・・・と思っていたら、いつもとんでもない奇策で突っ込んでくるあの人のこと。どんな強硬策を持ち出すかもわからないからご用心。以下の記事は、中西提言が出てきた事情を詳しく深掘りしている。政権の次の一手も、ここから見えてくるように思う。
「原発輸出」が全面頓挫したことのショックは経済界にとって大きなものだった。昨年10〜12月にかけて株の大幅下落があり、現在も10月以前の状態には回復しておらず、4月6日当ブログ「社会のシステム全体を大きく捻じ曲げる意図」で書いたように、様々な経済指標が「景気後退」を示し、政府や日銀の統計でさえ景気落ち込みを隠せなくなっている。各種論調はアベ批判の外でさえ経済の先行きを懸念するようになった。中西提言は「海外で原発をつくれなくなった以上は、原発事業は日本をベースにやるしかない。そんな原発メーカー側の思いを代表したもの」「ただ、そうだとしても、原発メーカーはそれほど焦る必要はないはずだ。原発事業は、新設の需要がないとはいえ、国内で安全規制の強化を受けた改良工事の受注があり、当面は安定した収益が見込めるからだ」「関係者は『むしろ中西氏のいら立ちは政府に対して向けられたものではないのか』と話す」「“国内回帰”を志向しながら、メーカー側が原発輸出からの『撤退』を明言しないのは(略)(ブログ主注:簡単に『原発輸出失敗』を認めるわけにはいかないという)政府の事情を考えてのことだ」「断念でも中止でもなく、『凍結』。会見でのこの表現について、日立は経済産業省や首相官邸と事前に調整していたフシがある」(本文引用)。英は30年までに14基の老朽原発を止める予定で、原発新設がないと電力供給に齟齬が生じる。その他事情が重なり、日本政府も原発輸出の失敗を認めて国内に問題解決の糸口を探る方が現実的だ、というのが中西発言の中身と記事の筆者は書き、「原発輸出はもはや、メーカーからすれば『疫病神』でしかない。暴れだす前に関係を断ち切りたいのが本音だ。これまで政府と呼吸をあわせて推進を掲げながら、もうからないとなればやめるというのもいささか手前勝手な理屈だが」「政府も『失敗』を認めず、現状からの打開策をさぐろうともしない。原発輸出の皮算用がはずれた中で、官民一体の『原子力ムラ』に亀裂が広がっている」(本文引用)と結論する。
☆「原発輸出『総崩れ』でも手じまいできない日立・三菱重工のいら立ち」ダイヤモンドオンライン4月11日
https://diamond.jp/articles/-/199433?display=b
そして今年はいよいよ政権にとって改憲の最終リミット。ジリ貧に陥りつつある現状を強行突破して道筋をつけ、「官民一体の『原子力ムラ』」の亀裂を修復して彼ら流の壮大な歴史逆転ちゃぶ台返しを成功させようと、破れかぶれの作戦に出ようとしている・・・という不穏な噂がちまたに流れ始める。以下の記事には、その一端が覗く。市民運動は、地域に根付いた緻密な政策を欠いたまま野党共闘に進む。このちゃぶ台返しが現実味を帯びたとき、決定的に必要なのは地域が納得できる具体的施策を準備することだが、その動きは鈍い。あらゆる暴政に彼らがかぶせる「規制緩和」の意味を、まず知る必要がある。戦前回帰の意図の芯はここにある。
☆「【特別寄稿】安倍官邸が狙う!?「消費減税」という壮大な「ちゃぶ台返し」!! 衆参W選圧勝!! そして緊急事態条項を含む改憲へ!! 〜永田町の闇の底からのディープレポート 」IWJ2019.4.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/446899
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2019年04月12日

時代が大きくうねっているときに

今日は昨日とは違って重要記事が満載だ。1面「石炭火力への融資半減へ 三菱UFJ 新設には融資せず」があり、メガバンク三菱UFJが30年度までに石炭火力への融資残高を最大半減するという。思い出すのは昨年の記事だ。「地球温暖化への悪影響が指摘される石炭火力発電への投融資を厳しくする動きが、大手銀行の間で出始めた。海外を中心に高まる石炭火力への批判へ配慮を迫られた格好だ。ただ、日本政府は石炭火力を推進しており、大幅な方針転換は簡単ではない」「3メガバンクグループは、この新指針を今後も定期的に見直し、さらなる厳格化も検討する」(昨年記事引用)としていた。今日の新聞に戻ると、日本の銀行は石炭火力への融資額が世界的に突出して多く、1位みずほ、2位三菱UFJ、4位三井住友FG。一方で政府は、昨年決定した新エネルギー基本計画で石炭火力を基幹電源として位置付けている。それゆえ、「今回のメガバンクの方針転換は今後、政府のエネルギー政策にも響く可能性がある」(本文引用)という。この動きに、ブログ主としては、中西提言と東芝救済に動く3メガバンク+日本政策投資銀行の1・3兆円にも注目する。さらに、地銀の危機を独禁法に穴を開けることで切り抜けようとする政府の動きに対する、経済界の警戒感も見逃せない。(4月4日当ブログ「地銀の危機でいよいよ独禁法をいじくる」参照)
☆「石炭火力への投融資、メガバンク見直し 環境配慮迫られ」朝日新聞18年7月25日
https://www.asahi.com/articles/ASL7R5VHZL7RULFA034.html
すべては新エネ基が設定する「2030年の電源構成」(3月23日当ブログ「呉越同舟からの脱出はなぜ難しいのか」参照)に向けての動きだ。「政府は30年度の電源構成に占める原発の割合を20〜22%に引き上げる目標を掲げており、特別扱いしてでも原発の競争力を維持する狙いがある」「30年度から、電力小売り事業者に原発や再生可能エネルギーなどの『非化石エネルギー源』の電気を販売量の44%にするよう義務付ける。小売り業者は、補助制度で原発の電気が割高になっても、一定程度は買わざるを得なくなる可能性がある」「再エネを名目的に含めた処置が多いが、九州電力がすでに実施しているように、再エネ出力制御はじわじわと拡大中で、最終的に再エネの首は完全に絞められる。細々生き残る設備はあるだろうが、勢いはなくなる」と書いた状況が近づく。3月12日当ブログ「まずステップの重要性を認識したい」では「2012年、当時の民主党政権は討論を通じて意見の変化をみる『討論型世論調査』を実施。それをもとに30年代に原発をゼロにする政策を掲げた』とあるが、あの当時は『即ゼロ』が大方の意見で『そんな先のことではダメだ』という声が、いかにも『30年代』の軟弱さを格好良く吹き飛ばすのに大きな役割を果たした」と書いたが、一蹴したはずの30年代が具体的に近づいている。軽々に蹴飛ばすのはやはり「近くを見て遠くが見えない」誤謬ではなかったか。直近の出来事に引きずられて根っこの原因を見過ごしてしまう運動は、悪しきポピュリズムの罠に落ちているということか。
時代が大きくうねっているときに、そのうねりに翻弄されて行き先を見失い次々に失敗を重ねていくとき、たしかに自問はするものの、根本原因を大衆の無理解にあると結論してしまい、大衆蔑視に向かうことがあるのは最悪のパターンと言わねばならない。地に足をつけて情報を集め、自らの力で詳しく吟味し、現状のなかに取り込んでいく。それが重要ではないかと改めて思う。7面「FRBへ露骨介入 トランプ氏 G20前、不安要素に」がある。トランプはFRB理事に人事介入しようとしているとある。FRBが世界経済の減速を懸念して利上げの一時停止に踏み切ったが、トランプはそれに不満で、利下げを求めているという。そんななかでG20の議長国になる日本は、日米通商交渉と向き合うことになる。これも経済界と政権との軋轢を増幅する可能性がある。たとえ弱小な市民運動だとしても、これらの要素を念頭に、戦略戦術を練る必要がある。激震を放置したらどうなるか。ツケがみんな自分へ回ってきたときに誰を恨むか。
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2019年04月10日

意図せずに自分に仕掛ける自縛の罠

1面に「大熊町の避難指示解除 帰還困難区域除く 原発立地自治体で初」がある。放射線量の目安はガンマ線だろう。ベータ線、アルファ線核種は存在しないか。国や県は多様な放射性物質について継続的に測り、公表しているか。「解除対象は町西側の大川原地区と中屋敷地区。町面積の約4%、138世帯67人(3月末現在)が住民登録している」「町は解除後、帰還住民約500人と、東電社員ら新住民約900人を同地区に呼び込む計画を描く」「現在も町民約1万人が避難しているが、町内の居住地区の多くは今回の解除対象ではなく、大半の人々の避難生活は続く」「帰還困難区域となっている町中心部は特定復興再生拠点として除染や整備を進めており、22年春の避難指示解除を目指す」「県の11市町村に出された避難指示が全域で残るのは、第一原発がある双葉町のみとなった」(本文引用)
4%を解除する。残り96%がまだ帰還困難という。4%に帰還する人たちは、96%の帰還困難区域を目のあたりにして暮らす。すぐ地続きのところに危険な区域がある。それはつらいことだろう。しかし、つらくても戻る。そこに、遠くから眺めるだけの立場にあるわたしたちの立場を浮き上がらせる、ある種の闇が仄見える。おそらくだれもそんな危険と隣り合わせの場所へ急いで帰る気になどならない。にも関わらず帰還する。ブログ主的に最も切実に感じるのは、放射能の危険と向き合って生きることよりずっと厳しく困難な状況が、安全な外側にあるという冷たい事実だ。ブログ主個人で言うなら、差別というものの厳しさを現実の中で感じるほどに、「戻るも地獄、残るも地獄」の感覚がいや増していかざるを得ない。そして、「安全な外側にある困難な状況」の「生きる実感を失わせる冷たい空気」を甘受するより、「放射能」と向き合う道を選ぶかもしれない。
放射能から逃れて暮らす。そのとき差別のちまたにひっそりと身を縮めて生きるか、たったひとりでもいい、胸を張って声を上げて立つか。それは人それぞれの選択で、精神的に追い詰められた人々にまで直線的に求められるあり方ではない。第1義的に、支える側の有りようが問われる。映画「種まきうさぎ」で女子大生が「わたしはどこにいても福島と向き合っている」と、観客に背を向けて決然と画面の向こうへ歩み去る姿を、「安全なこちら側」にいて画面を覗き見ていた観客たるわたしたちはどう受け止めたか。「食べて応援みたいでイヤな映画」的な受け止め方をしなかったか。その受け止め方の奥に、差別する世間を容認する自分の姿勢を感じなかったか。国や地方が人間の復興を考えずに、事故前にあった人間を入れる箱を整備し、「入れ物ができたから帰還せよ」とすることに反発し、自分たちが存在する場所の差別構造を無意識に除外する。避難者の意識を「戻るも地獄、残るも地獄」の無限ループに孤立させてしまう無意識の包囲の一員となる。いままで触れずにいた問題が浮き上がる。
15面「多事奏論」に「沖縄の嘆き 民主主義 回ってきとらん」がある。直木賞作品「宝島」で主人公が語る。「おれは最近、思うんだよな。ほんとうに目の敵にしなきゃならんのはアメリカーよりも日本人じゃないかって。(略)この島の人権や民主制はまがいものさ。本物のそれらはもうずっと、本土のやつらが独り占めにしてこっちまで回ってきとらん」(本文引用)。他にも重要な言葉があるが、これで十分に足りる。どうもこの国の民(というと「ブログ主自身が入っているのか?」と自問してしまうが、当然入っているといわばならない)は、民主主義が侵害されると、自分のところまで来ないうちに「小さく縮こまって」自己防衛のガードを固め始める習性があるのではないか。ガードが固まった内部に残されたものは幸いなるかな。その外へ自動的に追いやられたものは、矛盾を一身に背負わされ、塗炭の苦しみを味わうことになる。ガードの内部に生きる者は、この塗炭の苦しみに寄り添うことで、自分も苦しむ可能性を恐れて、自分の立ち位置を微妙にずらす。これを国や地方は敏感に察知して巧みに利用する。「自分は差別していない」とは、意図せずに自分に仕掛ける自縛の罠・・・。
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2019年04月09日

中西会長の提言

7面に「経団連『原発運転延長を』 中西会長が主導、提言」がある。改めて提言といっても1月からこれまで発言してきた内容をまとめたというに過ぎない。しかし、彼の発言の真意を十分に吟味して対応する必要があるのはいうまでもない。1月から立て続けに発信してきて、それをまとめるかのようにこんな提言をする。なぜ周到な準備をしなければならなかったか。国民的議論と言いながら「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が申し入れた公開討論を、なぜ「エモーショナル(感情的)な反対をする人たちと議論をしても意味がない」(本文引用)と拒否するのか。この提言は政府が進めている「電力改革」よりさらに強く業界ペースの願いがにじんでおり、このまま通用させるにはかなり強引な手法をとるしかない。改憲を最優先する政権にとって、この重要な時期にこんな強引な難題を振り回されては迷惑になると考えなかったのか。原発輸出大コケのあと、18年11月19日の面談で世耕経産相は、中西会長に「このままでは事業を続けられません」と泣きつかれ、「もう少しがんばってください」となだめた。その経緯を語る下の記事には、「世耕の言葉に中西は複雑な思いを抱いたはずだ。日立と日英政府が結んだ覚書には『日本企業の出資者は日本政府が責任を持って集める』とある。経産省が役割を果たせていないことこそが、中西の悩みの種だった」(本文引用)とある。昨年10〜12月には株価が急落している。そのとき痛手を受けた輸出産業の傷は今も癒えていない。さらに今年の日米通商交渉では「為替条項」が議題に上るのは必至であり、アベノミ「為替操作」にブレーキがかけられたら、いよいよ輸出産業は追い詰められる。その危機感を背景にしないと、中西会長の提言の奥はみえてこない。
☆「民間に限界、万策尽きる 消えた原発輸出(ルポ迫真)」日本経済新聞2月14日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41217510T10C19A2EA1000/?n_cid=NMAIL007
ようするに中西会長の発言は、民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」事務局長が「身内の原発賛成派だけで議論するなら国民的議論とはいえない。経団連会長という立場を使い、自分の会社に有利になるよう『我田引水』型の提案と言われても仕方がない」(本文引用)と、簡単に一蹴できるものに過ぎない。しかし、ここでよく考えてみる必要がある。先に紹介した記事によると、英原発事業への出資について、当初期待された東電は動かなかった。また、経団連会長就任直前の昨年5月、英首相と直談判して「最大限の支援」を約束させたものの、「再生可能エネルギーの台頭で原発の競争力低下が明確になり、日立の取締役会では18年に入って英事業に反対する声が続出した。特に3分の2を占める社外取締役が『採算が不透明な事業にこれ以上、投資できない』と中西を突き上げた。設計や工事の準備で月数十億円がかかっていた。中西は浮いていたと同社関係者は証言する」(本文引用)。さらに中西経団連会長を追い詰めたのは、英原発事業を「日立のプロジェクト」として切り捨てた経産省の非情だ。東芝や三菱の事業も頓挫し、「IHI横浜工場。原子炉圧力容器や格納容器の製造が主力だった建屋内にいま横たわるのは、トンネルの掘進機だ。ピーク時に約600億円あった原子力関係の売上高は半減した。工場長(略)は『従業員のモチベーションをどう維持するのか悩む』と話す。原発産業は存亡の岐路を迎えつつある」(本文引用)という背景が、中西提言の後ろに見え隠れする。
経産省は「日立のプロジェクト」として英原発事業を土壇場で切り捨てた。上記記事の添付イラストには日立と英企業が前向きな中、日本政府・企業の非協力で事業が頓挫した実態が示されている。国に手厚く庇護されてぬくぬく過ごしてきた経済界のあり方が、国の手のひら返しで露呈したというべきか。中西会長は打つ手もなくのたうちまわっている。この状況を「原子力村の悪あがき」と看過するか、ピンポイントの穴が空いたと感知するか、反原発の論理的力量が試されている。前提としたいのは、日本経済が最終段階の危機に瀕しており、政権はそれでもなお「改憲」にしがみついているということだ。
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2019年03月31日

いよいよ棄民政策の罠が強化されていく

以下の記事を見て唖然とした。「東京電力福島第1原発事故で、避難指示区域外から首都圏などの国家公務員住宅に避難している自主避難者に対し、福島県が今月末までの退去を求めている。引っ越せないと、家賃の2倍の『損害金』も払わなくてはならない。事故から8年が過ぎても、収入が少なく、家賃の高い都会で物件探しに苦しんでいる人は多い。ふるさとを追われた人たちに『本当に寄り添う支援』を求める声が上がっている」(本文引用)。避難区域外から避難している人への住宅無償提供は17年3月に打ち切られている。退去が難しい場合、2年延長し一定の家賃を払う。その後、「(県と避難者が交わした)『国家公務員宿舎セーフティネット使用貸付契約』に基づき、契約終了までに部屋を明け渡さなければ、4月1日から明け渡しが完了するまでの家賃の2倍の額が『損害金』として避難者に請求される」(本文引用)という。退去するまで4月から家賃が2倍になるらしい。打ち切りは国家公務員住宅だけではなく、民間賃貸住宅への家賃補助も対象となっている。なんでいま全面打ち切り?
☆「引っ越さないと家賃2倍 福島県『月内退去を』 国家公務員住宅の区域外避難者」東京新聞3月27日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2019032702000166.html
国と県が進めているのは「場所の復興」=「入れ物の復興」であって「人の復興」ではない。「人」は「入れ物」へ押し込むモノとしての扱いに等しい。まさに「国家には国家の民主主義がある」ということで、「国民の民主主義」とは全く違う施策が大手を振って突き進んでいる。以下の記事に「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」の、具体的で強い主張がほとばしる。「原発事故が発生したら、国は住民に『避難する権利』を認めよ−−。東京電力福島第1原発事故の被災者や、各地の原発周辺の住民にとって、当然の主張のように聞こえるが、チェルノブイリ原発事故が起きた旧ソ連と異なり、日本には『避難の権利』がない。なぜだろうか」「『日本史上最悪のいじめ』というドキリとする言葉が飛び出した。東京都港区のホールで17日に開かれた講演・交流会。福島県からの避難者ら約100人を前にマイクを握った弁護士、柳原敏夫さん(67)は避難者らの声を代弁した。『加害責任を負う日本政府は避難者や残留者の『命の復興』ではなく、経済復興に突き進んでいる」(本文引用)。「日本史上最悪のいじめ」という指摘が心に突き刺さる。「国家は国を守るために全力を尽くすが、国民は守らない」つまり「国民は国を守るための捨て石」であり、いま国民に向けてむき出しの国家意志が襲いかかっている、ということなのだ。
☆「福島原発事故の『自主』避難者ら『アベコベの世界』に憤り 避難の権利、確立を」毎日新聞3月29日
https://mainichi.jp/articles/20190329/dde/012/040/011000c?fbclid=IwAR0ZseBBMqvRBUIVXhZCisUFEjcj-X4O_A48krYfz7nfLchX3BsrTY0-RJU
その国家はいまどんな状態なのか。「国と地方自治体の財政悪化要因を調べた内閣府の分析結果」「健全性を表す『基礎的財政収支』の2020年度の赤字は今年1月の最新試算で10兆1千億円」「高い経済成長率の想定が外れたことによる約5兆4千億円の税収下振れが最大の要因」「楽観的な景気予測は実を結ばず、安倍政権は20年度に収支を黒字化する目標を断念し、25年度に先送り」(本文引用)と完全失敗を認めている。消費増税を再々延期し、総選挙に訴える下工作か。小ずるいやり方に棄民政策の罠が見える。
☆「税収下振れ5・4兆円が最大要因 20年度財政赤字拡大で内閣府」3月29日
https://this.kiji.is/484304970564715617?fbclid=IwAR1jMcKHnLrqeMt6MRojB8cWQBKuLs9f3c6WrEShVl3gYfphBxkmbFqRVa0
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2019年03月24日

言い訳不能で居直るしかない人の末路

今日の我が家購読紙には、ひとつだけ書きたい記事がある。でも、よく考えながら書きたいので、本日は別の記事を書く。
モニタリングポストはなんのためにあるか。以下の記事によると「原子力規制委員会は『線量が十分に低く安定している』として、同県内の八割に当たる約二千四百台の撤去方針を昨年三月に決めた」(本文引用)という。「安心と安全」を確保するのがモニタリングポスト。安定しているなら「安心のため」、安定していないなら「安全のため」設置しておくもの。放射性物質が漏れたら、「安全」確保のために速やかに「緊急対処」する。そのための常時監視は絶対に必要なはず。
☆「モニタリングポスト撤去 福島の母親65%反対」東京新聞3月14日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019031402000159.html?fbclid=IwAR0IUhYvr6h1CInt7gE9CkpV724WmTWS4FkUTF888LSWnNtqu261S3qmkAQ
隠す根拠は以下で明らかになる。「工程表では、事故後30〜40年で廃炉を終える。デブリの取り出しを始める21年から廃炉完了まで、具体的な工程は」(本文引用)ないのに21年に何を始めるのか。安全確認せずに敢行するため、モニタリングポストの設置数を大幅に減らすのか。「石棺化」は事故の初期に語られたが(原子力村が)無視。16年の廃炉プランでも言われたが批判相次ぎお蔵入り。記事ではデブリ取り出しを先送りして石棺化方式を採用したら廃炉は2050年が目処になるという。英国の「(現セラフィールド)原子力施設は、放射線量が下がるまで待ってから施設を解体、廃止完了は100年後」(本文引用)というのにだ。
☆「福島第1、見えぬ廃炉の最終形 当面先送りも選択肢に」日本経済新聞3月17日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42513120V10C19A3TJM000/?fbclid=IwAR3734qFD2zoxtU6VvJbdzuPoNHJ5-gICLNRHFNjqwuPYrXkVvoVt7KaSjA
廃炉作業の費用は膨らむばかり。一方、除染事業はこれまで3兆円が投じられ「役員報酬77億円…従業員100人の除染会社」(本文引用)がある乱脈さ。従業員100人の会社で8人の役員報酬が77億円にな不可解。記事によると元請けは清水建設。最悪の人間崩壊行為がこの国を蝕む!
☆「【独自】『お金ならなんぼでもある』除染で“利益率”5割超…“国民負担”3兆円の闇」プライムニュースデイズ3月12日
https://www.fnn.jp/posts/00435790HDK
トップのデタラメがこれらの事態を呼び起こす。第1次政権のとき、閣僚たちの不祥事続出で退陣を余儀なくされた首相は、今度は何があっても退陣させず、自分は責任を取らない姿勢を貫く。その結果、すべてがデタラメにまみれ、言い逃れできず居直るしかなくなっている。彼の天下はいつか終わる。そのあとの彼は国民からどんな使いを受けることになるだろう。無残だろうな。
☆「また偽装発覚・・・安倍首相が施政方針演説で巧みな“錯覚工作”」日刊ゲンダイ3月16日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/249793
デタラメが極限に達し、県民の怨嗟の声が充満している。軟弱地盤のエリアは調べるほどに拡大。自民党は彼の退陣後いよいよ潰れていくのではないか。というより、政党政治そのものが壊れていくかもしれない。
☆「作業場予定地にも軟弱地盤 辺野古埋め立て ケーソン仮置き場」琉球新報3月18日
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-890145.html
以下は対露交渉だが、日米通商交渉や日中・日朝首脳会談も芳しい成果はない。そんななか五輪組織委は日本独自の制裁を盾に、北にIDを提供しない。それで日朝交渉やる気あるの。4月訪米して根回しするそうだけど本気かな。いく方向は西のはず。逆だよ!
☆「平和条約交渉、プーチン大統領『失速している』と発言か 地元紙も『ロシアは島を引き渡すつもりはない』」ハフポスト3月16日
https://www.huffingtonpost.jp/entry/putin-peace-treaty-japan-and-russia_jp_5c8c9b83e4b0d7f6b0f3bfad
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2019年03月23日

呉越同舟からの脱出はなぜ難しいのか

1面トップに「原発支援へ補助制度案 経産省 売電価格上乗せ」がある。7面にも関連「『原発安い』矛盾あらわ 補助制度案『支援ないと継続困難』」。複雑かつ巧妙を極める仕掛けが顕在化しつつある。シロウトにはわかりにくい制度を細かく実施する方式で、全部まとめてようやくその目標が何なのかわかるという戦略。「政府は30年度の電源構成に占める原発の割合を20〜22%に引き上げる目標を掲げており、特別扱いしてでも原発の競争力を維持する狙いがある」「30年度から、電力小売り事業者に原発や再生可能エネルギーなどの『非化石エネルギー源』の電気を販売量の44%にするよう義務付ける。小売り業者は、補助制度で原発の電気が割高になっても、一定程度は買わざるを得なくなる可能性がある」(1面本文引用)という。再エネを名目的に含めた処置が多いが、九州電力がすでに実施しているように、再エネ出力制御はじわじわと拡大中で、最終的に再エネの首は完全に絞められる。細々と生き残る設備はあるだろうが、勢いはなくなる。こうして原発の我が世の春が再来する。温室効果ガスもただの名目に過ぎない。世界は原発停止が前提の対策を主流とするが、日本は原発ルネッサンスにどっぷり首まで浸かって唯一のオバカ国家への道をひた走る。
「経済産業省が原発補助制度の導入を検討していることが明らかになった。東京電力福島第一原発事故や電力自由化を受けて、原発の価格競争力が落ちていることの裏返しだ」「経産省幹部は『再エネがここまで入ってくるとは思わなかった』と誤算を認める。大手電力会社幹部は『原発はリスクが大きすぎる。制度支援がなければ続けることは難しい』」(7面本文引用)。制度のモデルは米の「ZEC」と英の「FITーCfD」で、原発の電気が安売り競争で基準価格を下回らざるを得なくなったとき、基準価格との差額を補てんする仕組みという。英では基準として設定した価格がそもそも高過ぎるため国内で反発が出ており、経産省内には「ZECの方が電力自由化との相性がよく、原発への投資回収が進むという見方がある」「経産省は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を見直す20年度末に合わせて原発補助制度の導入をめざす」(7面本文引用)という。
以前紹介した「高度化法」については、本日1面に内容が紹介されている。これらのほかに、以下で紹介するように「電力容量市場」という不可解な制度が導入されようとしている。次々に打ち出されるプランの巧妙さに、反原発の諸運動はその場限りの反応をするだけで、まったく対応できていない。原因のひとつとして、それが細切れであることがあげられる。同時に、わかりにくい内容であることもあげられ得る。そして今日の我が家購読紙で感じることだが、「高度化法」は「30年度から、電力小売り事業者に原発や再生可能エネルギーなどの『非化石エネルギー源』の電気を販売量の44%にするよう義務付ける。小売り業者は、補助制度で原発の電気が割高になっても、一定程度は買わざるを得なくなる可能性がある」というように、報道そのものが細切れで、注意喚起とはほど遠い記述になっている。九電の「再エネ出力制御」は、いまや通年の一般行事になってしまったが、その影響が報道されることはほぼない。
https://youtu.be/xdT37npsJAc
3面「てんでんこ」「電気のあした(10)取り戻し」は、「公民館51%、体育館47%・・・。大幅に安い価格で関西電力が落札していた。」という奇妙な記事。「自由化で奪われた需要を取り戻そうと攻勢をかける大手電力に対し、価格競争を続ける体力を持っている新電力はほとんどない。経営悪化から大手電力の影響下に入る新電力も相次ぐ。このままでは大手だけが生き残り、電力自由化の意味がなくなる。そんな不安が漂い始めている」(本文引用)。豊富な資金力と分厚い国家支援によって、新電力や再エネは潰される。そして野山に再エネの残骸がさらされ、再エネ反対を叫んだ人々と原子力村の凱歌が空しくこだまする。だれが、どのように、残骸を整理するかが課題となる。
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2019年03月19日

思念が及ばなくなっていく不安の自覚

9面「風力発電 欧米から熱視線 出遅れの日本勢 提携模索」の記事。「海の上で風車を回して電気をつくる洋上風力発電の普及が遅れている日本に、欧米の大手風力メーカーが熱視線を注ぎ始めている」「好機を迎えながら、日本勢のメーカーは、風車の大型化競争に出遅れ、自前の製品での参入ができない状況だ」(本文引用)。日立は1月、風車の生産から撤退。提携先の独社製品の販売と保守に専念する。東芝は昨秋から独社の風車を日本で販売。三菱重工はデンマークの風車大手に出資、技術や販売面で支援するという。デンマークの関係者は「他の国でも漁業者や地域住民の方によく説明することで友好的に解決してきた。日本だけが解決できない国だとは思っていない」(本文引用)と話しているという。21世紀が始まる前後、再エネの攻防が最初に表面化したのは風力だった。いろんなマイナスが列挙され、最後に九電や北海道電などの買い取り制限による圧迫を受けて風力は無残な姿を野面にさらした。風力追い出し成功で気を良くした麻生政権は、太陽光の補助金制度を停止。日本の再エネは世界的に遅れたものになっていった。復活したのは原発事故後の再エネ拡大や反原発の世界的圧力を背景にしたFIT制度によるが、風力には陽の光は当たらなかった。ではなぜいま風力なのか。それは太陽光の追い出し策が最終段階に入ってきたからに他ならない。
今年3月には2メガ以下の大型設備の系統連系工事着工申し込み受領期限が終了する。3メガ以上でも9月末には終了となる。太陽光関連各社はこの状況を織り込み済みで、3月4日当ブログ「未来3代にわたる構想が必要なとき」でいくつかの実例について書いたばかり。再エネ関連ではいよいよこの国の施策は撤退の色を濃くしているのだが、海外から熱視線が集中し始めると、簡単に国内市場を明け渡すわけにはいかなくなる。すでに東電は千葉県沖で洋上風力の事業を始めようとしている。だが、国家の政策がここまで捻じ曲がっていると、筋の通った事業を継続しにくい。国策に右往左往する経営陣の姿が垣間見える状況になってきている。こんな状況下、再エネ全面批判の徒たちは、どんな論理を展開していくだろう。国策原子力の尻馬に乗ったまま、原発と再エネをセットにした論理をどう組めるのか。難しいだろうと思う。再エネの主導権を敵に全部くれてやり、再エネを批判する。現状のそれは、再エネそのものが破壊的であることを論理として実証できていない。道具は使い方次第。原発は毒を垂れ流す。再エネ装置はどんな毒を垂れ流すか。環境にどんな害をもたらすか。その弊害は原発に匹敵するか。それとも節度ある使い方をすれば、原発を駆逐する力となりうるか。または絶対になり得ないか。その論理矛盾を抱えたまま、いつまでも再エネ批判と原発批判をセットにしていくのには無理がある。それに気づくべきときが来ている。地方と中央との相克を打破する力はどこから生み出せるか。目先の利害から出発するなかれ。遠くを見はるかし、近くで実践する。その観点のキモを探らないと、早晩、運動は行き詰まる。
2面「汚染水 決まらぬ処分法 保管100万トン到達 来年末にも限界」サブタイ「『地元の理解を』政府、結論時期も不透明」「『漁業に致命的』地元、海洋放出は猛反対」の記事。凍土壁でこれまで1日500トンほどあった地下水流入量は100トンに減ったという。でも汚染水は増え続け、ついに100万トン到達。20年末には上限の137万トンになるという。凍土壁という愚策をやるべきではなかった。「復興」なんて暗愚を最優先すべきではなかった。むりやり燃料取り出しまで狙わず鉄板壁を作り、内部を粘土壁とし、別の排熱方法で300年の安静保管ののち、さらにきちんと廃炉を進めていく。その間、原発政策の「負のモニュメント」として残すべきだった。目先の弥縫策でこと足れりとしたツケが、いま究極の愚かさを露呈している。政府は当面、地元に寄り添うなどと言い繕いつつ、時期が来たら辺野古のように「国策」を強力に押し付けるのは明白。被害は地元を超えて本土全体に及び、世界を汚染していく。反原発の性根が試される現在!
posted by ガンコジージ at 10:46| Comment(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月15日

油を用意していないあかりの運命は

1面「天声人語」に俳優のピエール瀧が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたと書かれている。ピエール瀧がどういう人物かはまったく知らない。しかし、「出演した作品にまでフタをするのは行き過ぎではないか」(本文引用)と書かれていたことについては「そうだよな」と思った。連想したのは戦後の出来事だ。映画界では監督他が公職追放になり、彼らの作品も含めてしばらく世間から姿を消していた。一方、俳優は追放されず、戦後の映画隆盛を背景に、銀幕を華やかに彩ったものだった。国策の一端を担ったという意味では監督も俳優も一緒じゃないか、という気がしたが、今度の件で思う。昔は敗戦の責任を背負って公の場から姿を消す対象が選ばれたけれど、今回はいっそうあいまいな社会道徳という通念のもと出演作品が消され、また出演シーンが撮り直しになる。ぜんぜん評価基準が違うけれど、今回の対応が適正かどうか疑問に思う。記事末尾に「作品の魅力は、分けて考えるべきではないか。見続けたい作品かどうかを決めるのは視聴者である。NHKや映画会社ではない」(本文引用)とある。33面にも「滝容疑者のシーンをカット」の極小記事があるが、「天声人語」がなければ大方の人が気にしなかったかもしれない。
つまんないことで大慌てで自粛行動に走る大放送局の姿勢を笑おうとしたら、33面「立憲・小川氏、NHK報道批判 統計不正追及『野党の主張取り上げず』」には、NHKのニュース番組が、統計不正に関する国会討論を意図的に切り張りして、視聴者の受け取りが逆転するような報道をしたというではないか。笑うどころではない。そういえばネットでは貴重な良心的番組が終了させられると指摘されていた件を思い出し、我が家購読紙にもその件について書かれていたと思い、探したら以下の記事があった。「ETV特集」や「ハートネットTV」などの番組は継続することに決まったようで、世間にはミスターモミイの記憶がまだ生々しいのだから、疑われても仕方ないようなことをするんじゃない、と思ったものだった。33面の「ニュース番組」報道は、国営放送局面目躍如の不信感を増大させるだけ。「忖度はない」と弁明するより、「忖度してないなあ」と視聴者に舌を巻かせる番組を作った方がよほど人気を博すでしょ、と思ったわけで・・・。
☆「NHK会長、政権に忖度『一切ない』 制作局の組織改編」朝日新聞3月7日
https://www.asahi.com/articles/ASM375RHQM37UCLV00N.html
33面に「東海原発廃炉 5年先延ばし 解体に必要な装置設計遅れ」がある。記事によると「01年に始まった廃炉作業は、当初は17年度の完了を目指していた」「(原電)は14日、2025年度としてきた廃炉の完了時期を5年先延ばしすると発表した。新年度から始める予定だった原子炉などの解体に必要な装置の設計が遅れているためという。完了時期の先延ばしは3度目」「規制委が廃棄物処分の基準作りを進めており、原電は『基準の策定状況も踏まえて設計する』と遅れの理由を説明している」(本文引用)。新年度から最終段階の原子炉内部の解体を始める予定が、低レベル廃棄物を運び出す装置や廃棄物処分用容器の設計に時間がかかっているというが、そのうえ規制委の基準作り待ちという説明をかぶせるとなると、先延ばしに底意が隠れているのかと疑いたくなる。原電はこれまでいろいろと物議を醸してきた。日本原電は日本初の商用原子炉を運転させた、設立が1957年の老舗だ。ぐずぐずしていたら、国内すべての原発保有電力会社が同じ道を辿っていくだろう。年初の中西経団連会長発言には、国策民営をやめて国策に徹するようにしてほしいという本音が滲み出ている。昨年11月8日当ブログ「『先送り』で硬直しているのは・・・」の冒頭「『マタイによる福音書(新約聖書)』から『思慮の浅い者たちは、あかりは持っていたが、油を用意していなかった』」が現実味を帯びる。先のことは国(その向こうにいる国民)に任せればいいというのが本音であり、彼らはその準備を着々と進めている。油を持たない国民はどうするか。独自の構えが必要な気がする。
posted by ガンコジージ at 11:12| Comment(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする